不健全鎮守府   作:犬魚

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お嬢様救出作戦開始、死人隊VSテロリスト

今回のお話は仁科大佐(ドクター・モロ)に加え、坂下郁様のご好意により“逃げ水の鎮守府”から登場人物をお借りしております

【登場人物】

ドクター・モロ(天才)
プッツンしてる天才、なかなか死なない、マジで死なない
どうやったら死ぬのか私にもわからない

刀の男(ミスター・サムライ)
ポン刀を持つ隻腕のスゴ味のある男、犠牲を考慮しないならむしろこの救出作戦は仁科大佐と彼だけで生存者0で全滅できる




真‼︎不健全鎮守府-提督最後の日-③

赤道直下の南の島に左遷された俺と明石、これからどうしたものかと毎日釣り生活をしていた矢先、以前、なんやかんやあってブチのめしたテロリストが脱獄し有馬のお嬢様の乗ったクルーズを襲撃&占拠、俺と天海を名指しでブチ殺してやると犯行声明と言ってイキまいてるらしいのだが…

 

「あー…コレはかなりいますねぇ」

 

「まぁ、船一隻を襲撃するだけはあるか…」

 

天海とヘンタ…テンサイドクターは肉眼ではまだ遠くに見える船影を双眼鏡で見つつ冷静で的確な意見を述べているが………いや、話に聞いていた戦力と全然違うじゃん!

 

目的のクルーズ船の周りにはなにやら小型の船が何隻かウヨウヨしてるし、どう考えてもテロリスト50人からのお出迎えとは思えない…

 

「フーッ〜………帰るか」

 

「…別に俺は構いませんが?」

 

「私も構いませんよ」

 

「冗談だ、ジョーダン、小粋なテイトクジョークだよバカヤロウども」

 

クソッ!捕まってるのがお嬢様じゃないなら見捨てる選択もマジに考えるが、あのお嬢様が捕まってるとなると俺も腹をくくるしかない…

 

「で?どーすんだ?まず、あの包囲網を突破するだけで常人の俺には無理だが」

 

「無傷で目的のクルーズ船に辿り着くのは難しいか…」

 

「どーすんだよ天海クン、なぁ?天海クンよぉー」

 

「ちょっと黙って貰えますか」

 

グゥゥゥム、いきなり最強カードを使うのは躊躇われるが……やはりこの全身凶器のヘンタイドクターに外のウヨウヨしてる小型船を任せ、俺と天海でクルーズ船に突入するか…

 

正直、出来れば3人で突入してこの全身サイボーグの指マシンガンとか膝ミサイルとか目からビームとか口から怪光線とかでクルーズ船内部を無双、無人の安全地帯を悠々とピクニック気分で歩きたかったのだが…

 

「小型のボートが15と言ったところですか、ま、私1人で注意を引いてとなると少々手に余りますねぇ…」

 

「…となると、やはり俺と大尉である程度犠牲を覚悟でクルーズ船まで行くしかないか」

 

「なぁ天海クン、ある程度の犠牲ってどのくらいの想定だ?肋ぐらいで済みそうか?」

 

「どうですかね、まぁ、無傷で目的のクルーズ船に乗り込めはできないでしょうね」

 

そいつは参ったな、過酷なバトルフィールドを抜けてからが本番ってのが実に参る、あのクルーズ船に回復ポイントとかセーブポイントとかあるってなら多少無茶してもいいが、残念ながら現実は非情である

 

「アッハッハ」

 

「笑いゴトじゃねーよクソ全裸!どーすんだよ!」

 

「まぁーまぁー、このくらいは予想してましたからね、ま、周りの雑魚は私にお任せください」

 

お任せくださいって…マジでこの数をどーにかできるのかよコイツ

 

「こーゆーコトもあろうかと、無駄に荒事を好む知り合いに声をかけておきましたので」

 

「あ?なんだって?」

 

荒事?ナニ言ってんだコイツ、イカレてんのか?と考えていると、お嬢様の居るクルーズ船の方に向かって西側から謎の小型ボートが猛スピードで突っ込んでいるのが見えた

 

なんだアレ?テロリストの増援か?

 

「あー…あー、もしもぉーし?」

 

ドクター・モロはなにやら通信機器的なものをONにしたらしく、突然ナニもないところに向かって喋り出した

 

「とりあえず、私とキミの仕事はそのクルーズ船周囲を綺麗に掃除するコトです、ああモチロン、その辺にいるボートに乗ってるのは全部テロリストですから容赦なく斬って捨てて頂いて構いませんよ」

 

『…………了解した、一応確認しておくが、この場に居る外道は全員斬るからな』

 

「それで構いません、では後ほど…」

 

通話は終わったのか、ドクター・モロは不気味で可笑しそうな笑みを浮かべて、乗っているボートのヘリに立った

 

「さぁ〜て、有馬のお嬢様救出作戦開始といきましょうか」

 

ーーー

 

突如として海域に現れ、猛然と突っ込んできた謎の小型ボートに最初はなんだと疑問に思ったが、テロリスト達はすぐに敵だと気付いてボートを沈めるべく弾丸を浴びせたが、小型ボートは勢いを止める事なく、テロリストの乗るボートの一隻に勢い良く突っ込んだ

 

『Damn it!』

 

『Crazy idiot!』

 

爆発に混乱していたテロリスト達は自分達に何が起こったのかわからない間に、文字通り、両断された

 

「………」

 

『なんだコイツ!?』

 

『カタナ、カタナ持ってるぞコイツ!』

 

『Fuck!SAMURAIかよ!』

 

着ている汚い外套とは対照的に恐ろしく冷たく輝く刀を手にした男が立っていた

 

「あー………悪いな、ナニを言ってるかよくわからんが、オマエら全員斬るぞ」

 

『ナメやがって!』

 

『死ねッ!!』

 

銃器を持った5人に囲まれた刀の男だったが、テロリスト達が銃を構えるより速く、4人のテロリスト達は身体のいずれかが斬り飛ばされ…

 

『オイオイ、ウソだろ…』

 

残る1人も船から海へと首が飛んだ

 

「アッハッハ、まったく、容赦ありませんねぇ」

 

「…チッ」

 

刀の男が振り返ると、足の裏から火を噴くドクター・モロがゲラゲラ笑いながら手を叩いていた

 

「いやぁ、まさか私の依頼に応えて頂けるとは思ってませんでしたよ」

 

「俺にも俺の考えがあるんでな」

 

刀の男はドクター・モロの背後に迫っていた他の船へと跳び、目についたテロリスト達を斬り捨て…

 

「おっと」

刀の一閃がドクター・モロの身体を両断…………せず、一瞬速く動いていたドクター・モロのパンツの紐だけが斬れた

 

「今、私達は協力関係なのでは?」

 

「ここに居る外道は全員斬ると言った」

 

「嗚呼なるほど、それもそうですねぇ」

 

ドクター・モロはケラケラ笑って肘からミサイルを発射して小型ボートを一隻爆破した

 

「それではまぁ、せいぜい斬られないように気をつけましょう」


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