健全鎮守府回は全10回なのでもうすぐ終わります
【登場人物】
国後(占守姉妹)
姉妹の髪の色がファンキーなと方と覚えられている子
アホな長女とバカな三女に頭痛がする比較的真面目な子
比較的真面目な子
鬼才・陸海少尉の戦術が牙を剥く第五戦
ここまで格上が相手だった為に本領を発揮できなかったとでも言うかの如き第五戦は、大方の予想を裏切り陸海少尉率いるチームのリードで試合は遂に終盤戦へ!!
「う~ん、夜戦までにもうちょいリードを獲りたいですね、あ、次、阿武隈さんですか?イイ感じでお願いしますね、イイ感じで」
「…あの、五月雨クン」
「なんですか?」
ここまでの四戦、格上相手とは言え惨敗を喫した僕に代わりにこの第五戦、実質的なチームの指揮を執る五月雨…
そのやり方は正直褒められたものではないが、結果として、序盤からここまで主導権を握り試合を有利に進めているのも事実…
「コレ、前の提督のやり方なのかな?」
「う~ん………まぁ、基本はだいたい同じですかね、たぶん」
「たぶんなんだ…」
正直、僕の指揮では窮屈そうだった艦娘達の動きとは違い、今はどの艦娘もギラついた目で動いている…
あまり褒められた手段とは言えないが、やる気を出すと言う点ではコレはコレでありなのかもしれない…
「む、相手もなかなかやるみたいですね」
「そうだろうね」
最初はいきなり今までのやり方と違って対応が遅れがちになっていた相手も徐々にこちらの動きに対応してきている…
さすがは合馬クンだ、兵学校を首席で卒業し、いきなり中央に配属されただけはある…
「ま、でもこの程度で終わると思ったら大間違いですよ、陸海少尉、サイン出して指示をお願いします」
「え?僕が出すの?」
「当たり前ですよ、仮にも提督なんですから」
「いや、だって…キミ、どーんと座ってたらいいって…」
「ここからはプランBです」
なんだよプランBって……とりあえず五月雨から国後ちゃんにコレお願いしますとサイン表を受け取り、指定されたサインの内容を確認してみると……
【単艦突撃して敵戦艦撃沈】
「いやいやいや!!ムリだろ!?コレはさすがにムリだって!!」
しかもサイン送る相手海防艦じゃないか!?海防艦が単艦で突撃して戦艦撃沈しろってどんな無茶だよ…っ!通るか…っ!そんなの…っ!無理っ!どう考えても無理っ!
「いや!ムリだろコレ!!」
「大丈夫ですって、絶対成功しますから」
「いや、大丈夫って言われても…」
「絶対成功しますから」
うっ……なんだろう、この子に強く言われるとなんかホントに大丈夫な気がする、いやいやいや!そんなワケない!そんな無茶なサインを出すワケには…
「私との約束」
五月雨はポケットからチラッと現金のようなものを見せた
「勝ちたいんでしょ?」
「………ハイ」
◇◇◇
初めてメンバーに抜擢された大きな演習!姉さんとハチはいいないいなと羨ましがっていたが、やっぱり緊張する!
とにかく!占守型の代表として選ばれたんだからここでちゃんとビシッとイイトコ見せてやるんだ
「え~…っと、次の指示は」
ベンチの方を見てサインを確認、っと…
【単艦突撃して敵戦艦撃沈】
……………は?
「は?」
いやいやいや、ムリ、いや、ムリ…
あ、わかった!サインミスね!まったく、たしかに新提督はまだまだ新人クンだからね!間違いぐらいあるよね
スゥー…ハーァ…スゥー……ハァー………よし、落ち着いた、大丈夫!アタシはできる子!占守姉妹の良心と呼ばれた国後はできる子!さ、もう一度サインの確認を…
【単艦突撃して敵戦艦撃沈】
できるかァァァァァァァァァァァァ!!!
ナニ考えてんのよあの新提督!!脳ミソが頭に詰まってないんじゃないのォォォォォ!!
【いいからやれ 大丈夫 絶対成功する】
無茶ゆーなァァァァァァァァァァァァ!!敵戦艦って、戦艦よ!!アタシ海防艦よ!?アタシのパンチとか戦艦からしたらちょっと蚊が刺したぐらいのモンでしょ!?仮に奇跡的にイイ感じにお腹に刺さっても、いて…っ、ぐらいで終わるでしょ!?
ムリムリムリムリムリムリ!!絶対ムリ!!
っーかムリ!ナニ考えてんの?多少イケメンだから許されるっての?ムリ!!
……………よし、サインは無視しよう
「………よし」
だってそうじゃない?常識的に考えてムリじゃん、海防艦のパンチで戦艦沈められるなら駆逐艦も軽巡もいらないってのよ
でも、まぁ…まったくサインを無視するのもアレだし、一応爆雷とか投げてやるだけやってみた感を出してやったけどやっぱりムリだったわってアピールしとこ…
「よぉ~し…」
とりあえず爆雷を手に、敵の戦艦がいるところに勢い良く突っ込むべくスピードをあげる!
もちろん、そのまま突っ込んだら100%返り討ちに遭うので射程ギリギリ手前で急停止、爆雷だけ投げて即Uターンよ!!
そうと決まればあとはやるだけ!出来るだけ、そう、出来るだけ本気が伝わる感じで気合入れて突撃(のフリ)よ!よし!完璧!
「ウオオオオオォォォォォォ!!いったらァァァァァァァァァァァァ!!」
◆◆◆
「…なんか海防艦が戦艦に向かって突撃してるんだけど」
いや、無謀でしょ、あの子いったいナニ考えてんの??いや、フツーに無謀でしょ…
「いや、そうでもない」
「そうでもないって…」
戦艦に向かって鬼気迫るおたけびをあげて全速前進していた海防艦の子は射程ギリギリのところで急停止し、手にしていた爆雷をブン投げて全速で後退して行った…
しかも爆雷とかフツーに届いてないし…
もしかしてスゴい強肩なのかと一瞬期待してしまったけど、フツーに届かず、海中にドボンした…
ドボンして、ズドンした
ズドン!!!(爆雷)
「まぁ、そうなるわよね」
「…叢雲、手前をよく見てみるといい」
「手前?戦艦の?」
提督に言われて爆雷が炸裂したところをよく見てみると、どうやら爆雷が直撃したらしい潜水艦が撃沈判定でプカァ…っと浮いてきた
「ウソでしょ!?あんなトコに潜水艦…ってかあの潜水艦ってたしか旗艦じゃ……」
◇◇◇
「ウソだろ!?」
「だから大丈夫って言ったじゃないですか」
いや、キミ、絶対成功するとは言ったけど…
ええぇ……しかもアレ、旗艦マーク付けてるし、コレ、あと時間いっぱい逃げきれば判定勝ち狙えるんじゃ…
そんな事を考えていると、五月雨は手元のマイクのスイッチをONにし…
「さぁーて、旗艦も倒しましたし、あと残ってるのはカスばっかだから大したコトないですよねー!提督ーッ!」
「五月雨クン!声!!声デカい!!」
「大丈夫ですよー、最初にテイトクが言ったとーり!あんなカス、ケチョンケチョンに負かして首席卒業の顔に泥塗りたくって帰って貰いましょー」棒読み
な…なんてコトするんだコイツ…!!完全に相手を煽り散らかすなんて…!?
「大丈夫大丈夫、もう勝ったも同然ですから、陸海少尉はどーん!と構えといてください」
「いや、どーん!じゃないよ!!」
五月雨は大丈夫大丈夫、あ、紅茶飲みます?リプ●ンですけど?ペットボトルですけど?と言いつつリプ●ンのペットボトルを僕の顔にグイグイ押し付ける…!!
笑顔でッッッ!!!