不健全鎮守府   作:犬魚

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第7回、欲望の魔王降臨

【登場人物】

陸海少尉(健全)
健全系純情派、MVPチケット制に関しては知らない



ようこそ 健全鎮守府⑦

演習開始前ミーティング…

 

「えー………次の試合、魚雷投げる禁止します、攻撃は全部主砲で撃ってください」

 

『『『ハァ!?』』』

 

ざわ……ざわ……

 

「えー…主砲を撃つ際、狙うのは相手の顔面のみ、顔面以外を狙ったらペナルティが課されます」

 

『オイオイオイ…』

 

『なんだよペナルティーって、お茶か!?』

 

「具体的にはイマイチな砲撃をした場合、ペナルティとして100万」

 

『ハ?』

 

『ハァ?』

 

『『『ハアアアアァァァ!?』』』

 

ナニ言っとんじゃワレーとエキサイトする艦娘達

うん、たしかにそりゃ驚くよね、僕だって驚いているよ、だってそんな話、僕だって今聞いたからね

 

次の試合、五月雨に全部任せて欲しいと頼まれ、こうして事前ミーティングを開催しているワケだけど………

姉さん、僕は彼女が何を考えているのか、まったくわかりませんッッ!!

 

「しかし逆に、当たらなくてもイイ感じの砲撃をした場合は1発につき30万支払われます」

 

『え?マジ?』

 

『なんだよ、そっちを先に言えよ…』

 

『ちなみにそのイマイチな感じとかイイ感じとかの判断はどうつけるんですか?』

 

「そこは陸海少尉の主観です、あと、ここまでの4試合で皆さんから陸海少尉の指示がイマイチよくわからん、難しい、細かい、童●か、だの意見がありましたので次の試合は皆さんの知能指数に合わせた画期的なサインの出し方を陸海少尉が考えてくれましたのでそれを使います」

 

え?ナニそれ!?聞いてないんだけどォ!?

 

『んだよ、そーゆーの考えてたのか』

 

『なかなかヤるじゃねーの、ボーヤ!』

 

「あと、陸海少尉がこの試合に限りMVPチケット制を採用するとのことなので皆さん頑張りましょう」

 

ざわっ……

 

『よっしゃあ!!やる気がMORI MORI出てきたー!』

 

『皆殺しじゃあ!!』

 

◆◆◆◆◆

 

遂に開始された選抜演習5連戦、最終戦

陸海少尉VS合馬少尉の艦隊演習試合、この最終戦に限り、演習は連合艦隊編成が採用される…

 

「よ、よぉ〜し!やるぞー……やるぞー…」

 

松型駆逐艦、桃

アイドルになる為に田舎を出てパラ宿へ行こうとしたものの、何の因果か海軍に入隊、歌やダンスではなく人の殴り方、銃の撃ち方を叩き込まれたがやはりアイドルになりたい夢を捨てる事ができず、今なお独学でアイドルの勉強を続けている努力家である

 

ちなみに、2つ上の姉からはバカじゃねーのとディスられており、よく冷蔵庫に入れたアイスをパクられている

 

「くらえ!桃ビーム!」

 

ズキューン!!(主砲)

 

アイドル道のレッスンは真面目だが、こと、戦闘訓練の方はイマイチな彼女が撃った弾は相手を大きく外れた…

 

【桃さん、現在マイナス100万】

 

「ヒィ!?」

 

主砲を外し、ベンチをチラ見した桃の見たものはマイナス100万と雑に書かれたプラカードを持っている秘書艦サミー子と腕を組み難しい顔をして座っている陸海少尉…

 

いきなりマイナス100万……

 

マズい、コレはマズい……!ただでさえそんなにお金持ってないのに!!

 

やるしかない、たとえ当たらなくても誰でもいいから敵のキレーな顔フッ飛ばしてやらなくちゃならない!

 

「死ねッッ!!桃ビーム!!」

 

ズギューン!!(主砲)

 

とにかくマイナスを減らさなくてはならない!!桃は勢いよく適当な相手に急接近し主砲を撃つが、残念ながらその弾は外れてしまった…

 

【桃さん、現在マイナス70万】

 

ベンチをチラ見すると、新たに書き込まれたプラカードを持った秘書艦サミー子…

 

「へ、減った!!よ、よぉーし!まだまだ!まだ減らさないと!!」

 

 

「オイオイ、どうやらマジみたいだな」

 

「外れてもイイ感じに狙うだけで30万か…」

 

「コイツはやるしかねーよなァ!なぁオイ!」

 

◇◇◆◆

 

「あきらかに動きが変わったわね」

 

「そうだな」

 

五月雨(あの娘)、なんかベンチのとこでプラカード出したり変なサイン出してるケド、アレが関係あるんでしょうね

 

「陸海少尉のやり方は良くも悪くも基本に忠実、だったハズだがね」

 

「そーね」

 

ウチとやった時はそうだったし、むしろ今までの4戦全部そう、でも今は違う、あの動きはマトモな指示が出てるとはとても思えない

足を止めるとか体勢を崩すとかそーゆーのは無く、どいつもこいつも執拗に相手の顔面を狙ってるし…

 

「あ、外した」

 

「外したね」

 

普通、チャンスの際に仲間が外したら落胆するものだが…

なんだろう、このチーム、仲間が外したのになんか喜んでるようにすら見え、逆に、イイ感じにヒットさせれば露骨に舌打ちしたり罵声を浴びている…

 

…まるで、自分が殺りたかったと言わんばかりにギラギラした目

 

「…なんか少尉クンが五月雨に言ってるわね」

 

「“オレ、聞いてないよ?”…かな」

 

「アンタ、読唇術とかできたの?」

 

「冗談だ」

 

「あぁ、そう…」

 

 

 


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