はい、わりと余裕がありません、はい
明日の予定も明後日の予定も来週の予定も再来週の予定もギチギチに詰まってます、すごい予定がギチギチに詰まってます
お話の投稿頻度が下がってますが、勘弁してやってください
【登場人物】
陸海少尉(少尉)
未来溢れる希望の新人、犬か猫と問われれば犬派
五月雨(秘書艦)
メガネからの信頼厚い専業秘書艦、勝ちたいんですか?鬼になれ
遂に幕を開けた新人提督(仮)VS演習五連戦…
初戦、川奈大佐率いる艦隊に1人のダメージも許さない6-0の完全試合
続く二戦目、雪之丞大佐率いる艦隊に6-0の完封
そして三戦目、獅子王大佐率いる艦隊に対し健闘するもやはり結果は6-1の大差をつけられ敗退
勝ち越しの目は消えたものの一勝は欲しい四戦目…
「…………ま、敗けた」
「まぁ、敗けますよ、フツーに」
佐世保鎮守府からの刺客、山座大佐率いる艦隊にノーヒット・ノーダメの圧倒的大差での敗北…
ーーー
前略、姉さん…
この毎日がワルのオリンピック状態とディスられている地方基地に司令官(仮)として配属され一月が経過し、自分的にはそれなりに頑張っているつもりです
「………いや、ムリだろ、フツーに」
「そうですね」
四大鎮守府が誇るエース級の大佐を相手にほぼ完璧と言っていい大敗北、四戦試合してこちらの大破数24、敵の大破数1…
艦娘単体の練度で言えば大差はない、むしろほぼ互角と言っていいのだが、やはり艦隊としての練度の差、艦隊を率いる艦隊司令の経験値と練度の差はあまりにも大きい
「まぁ、ここまでは予定通りですね、陸海少尉」
「…予定通り、か」
辛辣か、この秘書艦は…
まぁ事実とは言えこうハッキリと言われるとややヘコむな、事実だけど
正直、勝てるとは思ってなかったけどもしかしたら案外イケるのかもしれないと思っているところもあった、が、現実はやはり厳しい
でも、せめて…一勝は欲しいなぁ
「…はぁ」
「勝ちたいんですか?」
「は?」
ナニを言ってんだこの秘書艦…?勝ちたいかって……そりゃあ勝ちたいよ、仮とは言え僕だって艦隊司令の任を任せられているんだ、勝ちたいに決まっている
「そりゃ、勝てるものなら勝ちたいよ」
ここまで四戦全敗、残すはあと一戦だが、やはり五タテでの完全敗北だけは避けたい、避けたいが…
正直、どうしていいのかがわからない…!
ここまでの四連敗は全て経験の差と言い訳ができるが、最後の相手は僕の同期、兵学校時代、艦隊模擬演習で一度も勝った事がない相手だ
「陸海少尉、一つ提案があるのですが?」
「提案?」
「はい、画期的な提案です」
五月雨に妙案あり、か…
彼女はまがりなりにも前提督の下で長年秘書艦を務めていたし、経験値で言えば僕より遥かに上回る
「最後の一戦、全部私に任せてもらえませんか?」
「…は?」
ナニを言ってるんだこの秘書艦…?
え?ナニ?僕に代わって艦隊の指揮をするってコト?
「い、いやいや…さすがにそれは……」
「大丈夫ですって、表向き指揮官はあくまで陸海少尉ってコトでベンチでドーンと構えといてもらってればいいんで」
「いや、ドーンと構えとけって……キミねぇ」
「あ、もしかして私、信用されてないですか?」
「いや、信用もナニも…そーゆーコトじゃなくて」
五月雨はそうですね〜…と言いつつポケットから何やら紙束みたいなのを取り出して僕の手に握らせた
「ナニコレ…?って!!!?」
げ、現金ッッッ!?ってか、札束…ッッッ!?
「陸海少尉、これで信用を形にするってコトで…」
「いやいやいやいや!!違うッ!!いや、こーゆーのじゃ…」
「あ、もしかして足りませんか?」
そう言って五月雨は左手で再びポケットをゴソゴソとまさぐると同じく札束を取り出した
「いやいやいやいやいやいや!!だから違うって?!僕が言いたいのはこーゆーのはよくないって言うか…」
「そうですか………あ、じゃ、陸海少尉、もし私の提案に乗って、演習に勝ったらそれ返してください、敗けたら全部少尉にあげます」
いや、勝つも敗けるもこんなの受け取れないよ…
「いや、五月雨……いや、おかしいよ!?なんなのコレ?ダメだよこんなコトしちゃあ!」
「いいから、乗るんですか?乗らないんですか?3秒で決めてください、はい、さーん、にー、いち」
「早いよ!!わかったよ、いい!キミに任せる!そこまで言うんならキミの力を見せてもらおーじゃないか!」
イマイチ釈然としないが、彼女がこんなにやる気を出しているのは初めてだ…
いや、きっと彼女はこのままでは僕が最後の五戦目も落とすだろうコトが予想できるだろう、だからこんな強引な手を使ってまで……
「ありがとうございます、じゃ、早速ですけど演習出す娘全員呼んでください、ミーティングしましょう」
「あ、あぁ…」
…本当に大丈夫だろうか?
◇◇◇
こうして始まった全敗を賭けた演習第五戦、陸海少尉率いるチームVS合馬少尉率いるチーム
ここまで四戦全敗、ノーヒット・ノーダメージを含む悲惨な結果から見るに五戦目もかなり危ういと言うのが総合的な評価…
「…ん」
「あぁ、ありがとう」
さっき自販機で買ってきたペットボトルのお茶を渡し、提督の隣に座った私はここまでの戦績に目を通していたらしい提督に次はどうかと尋ねてみた
「どうだろうね」
「ハッキリしないわね、モテないわよ」
「そうかな」
いや、普通にモテるけどね、うちの提督は…
イケメンな上にヨコスカでも上位に数えられる戦績とあればモテない方がおかしい、たぶん本人もジョークとして流してるんでしょうけど…
「叢雲はどう思う?」
「まぁ、フツーにやってたらムリでしょうね」
ここまで四戦、格上が相手だったとは言えその采配は精彩に欠ける、なんと言うか………うまく艦娘達を使いこなせてない?と言う感じだろうか?
まぁ、そもそもあの陸海ってのはほぼ新人で、今、指揮してる艦娘達はもともと別の提督との付き合いが長いんだからそう簡単に行くわけがない
フィクションにある無能な提督の下でクサクサしていた艦娘が突然現れたFラン提督の指揮で無双する俺スゲェ…みたいな展開なんかあるワケがない
「あ、出てきた」
「そうだね」
敗け越し確定とは言え最終戦まで落としたらカッコつかないから〜…で、
ってか、出てくるんなら私とやる時にだけ出てくりゃいいのよ、そしたら私だって今日の演習に出たのに…
「………ん?」
「どうした?叢雲」
「いや、なんか……今出てきた艦娘、なんか気合入ってたなって…」
「そうか」
いや、気合入ってると言うか、なんかうちとやった時と……いや、これまでの四戦と目ツキが違うと言うか
提督もそれに気付いたらしく、開いていた本を閉じ、頬杖をついて演習場に出てくる艦娘達に視線を向けている
「これは何かあるかもな」
「どうかしら?」
次回はもうちょい早めに頑張りたい