激震!!最大最強四大鎮守府
【登場人物】
睦海少尉(提督仮免)
前世でどんな大罪を犯したのか疑われ気味ないずれはイケメンの提督、でも、今じゃない
五月雨(寒色系)
地味に、睦海少尉、としか呼ばない
「公開演習…?」
「はい、公開演習です」
拝啓、姉さん
仮とは言え基地の責任者として配属されてそろそろ1ヶ月になろうとしていたある日、秘書艦(仮)の五月雨から公開演習に参加せよと上からゴリゴリに圧されているとの話…
「なんか大将殿……あ、梶和大将ですね、梶和大将と仲悪いのが色々手を回してここぞとばかりにウチを吊るし上げたい感じらしいですよ」
「えぇ……」
「困ったコトにうちは対外試合での態度の悪さとモラルの低さとラフプレーのヒドさから結構恨み買ってるらしくて、あの狂犬がいなくなった今こそ恨み晴らさでおくべきか〜…って、話です」
「えぇ……それ僕のせいじゃなくない?」
恨み買ってるって……それ、前の提督が恨み買ってるワケだろ?正直なところ、そんな知らない恨みの責任をなすりつけるなんて勘弁して欲しいんだが
「ちなみに公開演習の内容は全5戦、相手はヨコスカ、マイヅル、クレ、サセボ、それぞれから各鎮守府でもエース級の提督が率いるが艦隊相手になるらしいです」
「ウソだろォ!?」
海軍最大戦力の四大鎮守府からそれぞれエース級…ッ!?そ、そんなの勝てるワケがないじゃないか!こっちはまだ提督(仮)なんだぞ!!
提督(仮)の僕が最強鎮守府の最強提督艦隊相手に無双しちゃいました、なんて都合のいいハナシはラノベの中だけで現実にはありえない…
「………ちょっと待ってくれ五月雨、さっき、全5戦って言ったよね?」
「はい」
「四大鎮守府からそれぞれエース級の提督で4人、あと1人は…?」
まさかこの流れでいくなら中央の大将とか出てくるんじゃないだろうな、いやいやいや、さすがにそれは考えすぎか…
そんな四天王+魔王のボスラッシュ絶望負け確バトルとかいくらなんでやりすぎだろう、うん
「梶和大将とめっちゃ仲の悪い鞍馬大将です」
「ウソだろォ!?」
「はい、ウソです」
五月雨はびっくりしましたか?と言ってニコリスと擬音付きで笑い、手にしていた書類を机に置いた…
し…心臓に悪いな、ホントに……五月雨、ジョークの才能がないんじゃないか?いや、ホント
「ちなみに公開演習と相手が四大鎮守府だったりは…」
「そこはジョークじゃありません、マジです」
「ああ、そう…」
そこはマジなのか………はぁ、乾いた笑いしかないな
「ちなみに5人目の相手は四大鎮守府の提督から比べたらカス同然のペーペーですから安心してください」
カス同然とか……キミ、結構口悪いよね…いや、まぁ、なんとなくこの1ヶ月の付き合いでわかってはいたけど…
五月雨が机に置いた書類に目をやると、たしかに、そこには公開演習への参加と演習相手の所属階級名前が…
「………五月雨、コレはマジなんだよね?」
「マジです」
5人目の相手の名前は………僕の兵学校時代の第1位だった男、所属も、階級も……間違いない、本人だ
「ね?カスでしょ?」
「そりゃ、四大鎮守府のエースから比べたらね…」
兵学校時代、一度として勝つことができなかった相手だ
しかも僕と違って仮免ではない本物の提督として今は一地方の基地を任されている…
勝てるだろうか…?
「勝てるだろうか?とか考えるだけムダですよ」
「…キミは心でも読めるのか?」
「そんなもの読まなくても陸海少尉の考えてそうなコトぐらいはわかりますよ」
「そうか…」
「相手はほぼ格上なんですから、ドーンと構えときましょうよ、この公開演習自体、鞍馬大将のイヤがらせみたいなモノなんですから」
イヤがらせかぁ〜……いや、ホントに勘弁してほしいんだけど…
「ま、なるようになりますよ」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本日の業務も終わり、陸海少尉にお疲れ様でしたと挨拶して退室し、たまにはマミー屋でアマイモンでも食べたい気分だった私のポッケに入っていたケイタイがブルブル震えていたので何事かと思って画面を見たら知り合いからの着信…
「お疲れ様です叢雲ちゃん」
『お疲れ様………アンタ、演習出る?』
「出ませんけど?」
『あ、そ……じゃ私も出ない、ちょっと待って、ちょっとだけ………あ、もしもし?消したから大丈夫、うん、大したコトじゃないから、っっ!ちょ、笑ってんじゃないわよ!』
「あの〜…なんかつまんない惚気なら切っていいですか?」
『惚気じゃないし!提出する演習参加予定をちょっと修正してたのよ』
「叢雲ちゃん出ないんですか?」
『アンタが出るなら出るケド?出ないんでしょ?』
「出ませんけど?」
『ならいいのよ』
相変わらず叢雲ちゃんはメンドくさ可愛いですね、イケメン提督の秘書艦たる者、やはりこうありたいと考えていた時期が、私にもありました
「しかし公開演習の件、よく参加しましたね?叢雲ちゃんの提督はそーゆーのあまり関心なさげと言うか好きじゃなさそうと言うか…」
『上からゴリゴリに圧されたのよ、あのクソ大将!イヤがらせに部下を使うなっーの!あー!!腹立つ!!』
「あははは…」
『ってか今回の公開演習、ウチも含めてマイヅル、クレ、サセボ、同期が全員集まるみたいじゃない』
「らしいですね」
海軍兵学校時代、最初から最後までトップの成績を誇った叢雲ちゃんの提督だけでなく、卒業後に各地に散り、それぞれが各地で戦果を挙げて今や四大鎮守府内でも屈指のエースに成長している同期が集まるのなんて最初の配属式以来でしょうか…
『まぁ、アンタのトコのは左遷されたけど…』
「………………そうですね」
『じょ……ジョークよ!いい?今のは軽いジョークだからね!』
「知ってます、正直ちょっとイラっときましたけど叢雲ちゃんの高度なヨコスカジョークですね」
そして左遷されたテイトクは成績下位者から数えた方が早い系でしたけど…
『ま、なんにせよ楽しみにしているわ!』
「なんかお土産買って来てくださいよ、ヨコスカ土産」
『お土産ってアンタねぇ……あ〜……ま、いいわ、買って来てあげるからお茶ぐらい用意しときなさいよ!』
「コーヒーでいいなら用意しておきます」
◆◆◆◇◇◇◇◆◇
「あー…………食い過ぎた、吐きそう」
「アタシはアンタと席が近いだけで吐きそうだわ」
公開演習の地、キュウシュウへと向かう海軍特別運行列車…
この列車には今、3組の勢力が乗車している…
1つはヨコスカ、兵学校時代からトップを譲らず、未だ世代最強の名を欲しいままに手にする海軍大佐、川奈大佐
もう1つはマイヅル、兵学校時代、同世代に居た川奈という天才のせいでトップに立つ事は出来ずに銀メダリストに甘んじたもう1人の天才、雪之丞大佐
そして最後、クレ、兵学校時代、同期に天才2人がいる中では見劣りするが彼もまた紛れもなく成績上位、獅子王大佐
それぞれの司令官に率いられた3つの勢力とその所属艦娘達が今、この列車には乗っていた
「ゲェーップ〜……」
「ちょっと獅子王!ヤメてよね!アンタ下品過ぎでしょ!」
「悪い悪いユキ、しかしゲップはどうしようもねーだろ?ガハハハハ!」
「もぉ〜!ジュンからも言ってやってよォ〜」
「………」
かつての同期達と言っても互いにそこまで仲良くはなかった
「しかし獅子王、アンタまた指輪増えたんじゃない?」
「お?ワカったか?そうよ!たぶんオマエと前に会ったのはケッコー前だったからな、前に比べりゃそりゃー嫁の数は増えてるな!ガハハハハハハ!」
雪之丞が指した獅子王の首にかけられたチェーン、そのチェーンには10、20では到底済まされない数の指輪が通されている、その指輪の数こそ、獅子王がケッコンカッコカリをしている数であり、彼の愛すべき嫁の数である
「なぁに!まだまだ増えるからな!毎日毎日嫁の相手をせにゃならんからオレはこうして自らを鍛えているのだ!」ムキッ!
「ナニがムキッよ、気持ち悪っ…」
「セックスパワーアップと言うヤツだ!だいたいユキ、オマエは嫁の数が少なすぎる!
「やーよ、アタシはお気に入りのコにしか指輪を渡さない主義なの」
ケッコンカッコカリによる練度上限の突破が海軍にて正式に採用されて以来、その使用法は全て現場の司令官に一任されており、獅子王大佐のように片っ端からヤる者、雪之丞大佐のようにお気に入りの娘にだけ渡す者、他にも戦力して有能だと判断した者にのみ渡す者、ただのロリコン、その使途は様々である…
「だいたい嫁の数とか言ったらジュンの方が問題よ、まだ使用ってないんでしょ?」
「……あぁ」
「川奈!
「アンタさっきからセックスセックスって、アンタはいちいち下品なのよ」
「下品とはなんだ!!オレはオレの嫁を愛す!セックスは愛だ!!オレはアイツらに愛を教え、アイツらはオレに愛を与えてくれる!!」
「…ハァ、もぉいいわ、アンタ昔からバカだものね」
続々と集まって来る各地の参加者達を迎え……
いよいよ公開演習の日がやって来る
【登場人物】
川奈大佐(ヨコスカ)
先んじている最終章、提督地獄変に出てくるイケメンの提督、どちからと言えば無口でクールと評判、実はただのコミュ障の疑惑がある
雪之丞大佐(マイヅル)
提督の同期生、オネエ提督、オネエとオカマは強キャラ
獅子王大佐(クレ)
提督の同期生、名は体を表す豪快な快男児、レ●プは趣味じゃない、愛が必要
山座大佐(サセボ)
提督の同期、次回登場