不健全鎮守府   作:犬魚

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健全の裏には不健全がいる、不健全が戦える……って言うコトは、勝てる…!そういうことだよ


帰ってきたイケメン主人公…!


真‼︎不健全鎮守府-提督最後の日-①

キサマ!このワシにこんなコトをしてタダで済むと思うなよ!えぇい!離せ!離さんか下郎が!ワシを誰だと思っておる!誰よりもこの国を憂い!この国の為にと尽くしてきたこのワシを!あ、あり得ぬ…っ!な……な、何かの間違いだーッ!ワシはいずれ中央へ行き、海軍の……いや、この国を手中に収める男なのだ!離せ!離さんかァァァァァァァァ!!

 

ーーー

 

「…………あー息をするのもメンドクセー」

 

このワケのわからん島に上陸してどれくらい経っただろうか?つい先日まで海軍中佐、一地方拠点の艦隊司令として辣腕を振るい、この地上の愛と正義の為に粉骨砕身努力していたハズの俺は上層部の卑劣なる策略に嵌り、ワケのわからん南国へと流された…

 

まったく、俺がいったいナニをしたと言うのか?地上の愛と正義の為に戦ってきた俺に対するこの仕打ち、もし仮にここに海皇ポセイドン様が現れ、たまたま鱗衣があったらシードラゴンにございます!って速攻で忠誠を誓って俺を追放したクズどもに神の怒りを喰らわせてやりたい気分なのだよ…

 

「あ、テイトク、ゴハンできましたよー」

 

「ご苦労」

 

「今日はなんと海で拾った貝をふんだんに使った貝汁です」

 

「それ昨日も食べたよな?っーか毎日食ってるよな?」

 

明石のヤツはそうですかねー?とか言いつつゲラゲラ笑っているが、たぶん拾った変なキノコでも食ったのだろう

明石のバカも俺と同じくポリネシア諸島基地(仮)に島流しされ、今、このよくわからん島の廃墟みてぇーなボロい基地で俺は明石と生活を共にしている…

 

ちなみに食事は交代制、今日は明石、昨日は俺、今日は貝汁、昨日も貝汁である

 

「はぁ〜………こうして自然の中で生活しているとだんだん心が洗われてきましたねぇ〜」

 

「そうか?」

 

「えぇ、以前の私は一にも二にもとにかく金!金こそ全てだ!金さえあれば勝ちまくりモテまくりと欲望にまみれた考えをしていました」

 

ナニが勝ちまくりモテまくりなのだよ

 

「こうして自然と言う名のネイチャーを感じるとザ・ナチュラルって気がしてきましたよ〜…」

 

「オマエやっぱ変なキノコ食ったろ?」

 

「やだなぁ、食べてませんよ」

 

いやコイツ絶対なんか変なキノコ食ってる、だって目がキマってるもん、ア●ルに木の棒でファックした時よりガンギマリしてる目だよ

 

「まぁいい、ちゃんと後で吐いとけよ」

 

そう言って明石にお腹パンチをブチ込んだ俺は上着のポッケに入っていたケイタイがブーブー振動しているコトに気付いた

 

ケイタイとか繋がるんだな、この島…

 

「はいもしもし、ハンサムな提督です」

 

『おう、まだ生きとったか!』

 

「なんだ大将殿か…」

 

このクソオヤジ、ナニがまだ生きとったかガハハハだっーの、なめてんのか…

 

『どうだ?ポリアンナ島は?』

 

「エアコンの効いたオフィスが懐かしいよ」

 

『カッカッカ、ま、リフレッシュも兼ねてネイチャーを満喫するのも悪くないだろう?ザ・ナチュラルと言うやつじゃな』

 

流行ってんのか…?それ?いやいや、ナニがネイチャーだよ、ナイス・ネイチャーどころかバッド・ネイチャーだよ

 

「…で?わざわざ何の用だ?そろそろ中央に席を用意するって話か?」

 

どうせくだらない用かと思いきや、クソオヤジは一つ咳払いした…

 

『…某国に引き渡す予定だったガレムソンが移送中に襲撃されて脱走した話は前にしたな』

 

「誰だよそれ?」

 

『オマエがぶちのめしたテロ屋だ』

 

あー………アレか、前に有馬のお嬢様関係の仕事した時にテロ行為を働いたアゴヒゲ外人、たしか天海の宿敵みたいな空気だったが、空気読まずに俺がヤっちゃったんだよな…

っーか天海の上司の方がヤバすぎてアゴヒゲしか思い出せねぇわ、なんだよあのジジイは、生まれて初めてマジで二度と会いたくねーと思わされたぜ

 

『そのガレムソンが今度は某クルーズ船を襲撃、今現在占拠中だ』

 

「へぇ〜…」

 

『で、その船には有馬嬢が乗っておる』

 

「オイオイオイ、またかよ」

 

どんだけ巻き込まれ体質なんだあのお嬢様は、メインヒロインかっーの

 

「そいつは大変だな、あの凶暴お姉様がブチ切れ案件ってヤツだろ」

 

『その凶暴お姉様は今すぐ妹のところに行くとダンビラ持って暴れていたが聡明なお兄様にストップをかけられておるわい』

 

「なるほど」

 

『でだ、そのクルーズ船は今現在、赤道付近を航行中でな…』

 

「ヘイ!ヘイヘイヘイ、オヤジぃ!あんまムチャゆーなよオヤジぃ!俺にどーしろってんだ?あ?」

 

ロクな船もなければロクな装備もない、そしてロクデナシな部下が1人しかいない今の俺にできるコトなんてのはお嬢様の無事を神に祈るぐらいしかない!違うか?

 

『問題ない、今、そっちに人をよこしとるからまずはそいつと合流しろ』

 

「人をよこしとる?ハハ…ナニ言ってんだこのオヤジは」

 

『ま、詳しい話は合流してからにするか、じゃあな』

 

「あ?ちょ、待てよ!オイ!もしもし!もしもぉーし!!」

 

…………切りやがった、なんてオヤジだ

 

「なんだったんですか?今の電話」

 

明石の野郎はお腹パンチのダメージから復帰したらしく、自分だけ焼いた魚みたいなのをバリボリと貪っていた…

 

「中央の大将殿だ、っーか魚あるじゃねーか!よこせ!」

 

「イヤですよ!コレは私が捕まえた魚ですよォー!」

 

「やかましい!だからオマエはピンクなのだよ!」

 

「ピンク関係ないですぅー!あ、ヤバ、また吐きそう」

 

 

■■■

 

 

…………ナニやってるんだ?あの人

 

「醜い奪い合いと言うものはいつ見ても心が痛みますねぇ」

 

この男が心を痛めるなどあるのだろうか?いや、たぶんない…

アホを見ていても仕方ないと手にしていた双眼鏡をしまい、さっさと合流するべく再び船を始動させる

 

「行くぞ」

 

「…天海クンにはジョークのセンスが必要ですねぇ」

 

「天海じゃな………」

 

…いや、この仕事は天海キョウヤがやり残した最後の仕事だ

 

「…天海でいい」

 

「ツンデレってヤツですか?モテませんよ?」

 

「やかましい!」





次回は健全回④

たぶん

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