まだクリスマスとか勘違いしている狂った堕天使だよ…
後編は2本勃て
背後から俺を呼び止める声!!振り返るとそこに…
◆◆◆
【④不自由・不平等・自己愛】
「…なんだリシュリューか」
「Excuse-moi、なんだとはナニよ、なんだとは」
まるで獅子のタテガミの如き豪奢なキンパツをブワァーっとしつつフランスから来た自称最強戦艦はなんかよくわからんがフランス語で俺を罵倒してきたが、ナニを言ってるのかわからんのでとりあえず俺はイングリッシュノーノー、アイムジャパニーズオンリーと答えた
「ところでAmiralは1人かしら?」
「俺が2人いるように見えるのか?」
「そーゆー意味じゃないわ、このfêteの場で1人で居るのかって聞いているのよ!」
「ご覧の通り、ご覧の有り様だよ」
俺は手にしたチキンをバリバリかじりつき、グラスに入ったビールを呷りアルコール呼気の含まれた息を吐いた
「ブザマね」
「ブザマじゃない、テイトクだ」
「まぁいいわ!mon amiral、1人だと言うならこのRichelieuが付き合ってあげてもいいわ」
「え?いいよォ…(謙虚)」
「エンリョはナシよ、いい?アナタはこのRichelieuのamiralなのよ、常に堂々としていなさいな」
バカ言ってんじゃないよコイツ、パリでスーパーモデルやってた本人としがないハンサムな提督とでは物事の価値基準が違いすぎる
そんな既にキミが嫌いだと言う練り上げられたオーラを全開にしていた俺に対し、リシュリューはもうちょい横に移動しなさいよと物理的にグイグイきて俺の横に座った
「それBière?vinに付き合って貰えるかしら?」
「ワインか……まぁ、別に構わないが………あ、そーいやボルドー産のイイのがあったな、たしか」
「へぇ…………って、まさか私の実家のじゃないでしょうね?」
「オマエの実家のやつ」
リシュリューのママンが毎年送ってくれる一級品…
まだ多感なティーンエイジャーの頃、こんな田舎でブドウ踏み潰すなんてダセー仕事はイヤだ!パリでスーパーモデルになると実家を飛び出し、なんやかんやあって海軍に入って今は遠い異国で頑張る娘をよろしくお願いしますと毎年俺宛に送ってくれるリシュリューのママンは本当に良いお母さんなのだろう…
「クッ!また余計なコトを…!」
「余計なコトとか言うなよ、オマエのママン、家業がイヤだと飛び出したバカ娘でもこーやって心配してくれて、たまに電話とかしてやれよ、真面目に更生して私は元気ですって」
「だ・れ・が!わざわざそんな連絡しないわ!」
まったく、なんて性格のねじ曲がった娘かねコイツは、ツンデレか?今どき流行らねーぞオイ
「やれやれ、今更飛び出した実家に連絡するのハズカシーとかビビってるのなら俺が電話してやろーか?」
「恥ずかしくもないしビビってもないわ!!」
「そうか、なら自分で連絡しとけよ」
リシュリューは苦々しげなツラでなにやらフランス語で俺をディスっているようだが、ナニ言ってるかよくわからないのでとりあえずワインの栓を開けてグラスに注ぎ…
「…ンンッ!エクセレンツ!」
…美味いなコレ
「そ、そう?」
「オマエも飲むんだろ?ほれ」
俺はリシュリューが手にしていたグラスにワインをなみなみと注いでやった
「雑!!Amiral……アナタ、もう少しマナーとか雰囲気とか………まぁいいわ」
◆◆◆
背後から俺を呼び止める声!!振り返るとそこに…
【⑤その名はG】
「さっきはよくもやってくれたじゃない!!」
振り返ったそこに居たのは怒り狂った顔と語気でイキリ散らす北欧から来た狂犬、ゴトランド…
ついさっき岸クンにメーワクかけそうな匂いがプンプンしていたので非貫通お腹パンチで黙らせたハズだったが…どうやらまだ生きていたらしい
「しぶとい奴め」
「いきなり殴る野蛮人には言われたくないわ、いけっ!ゴトシープ」
ゴトランドは手のひらサイズの黒いモコモコを手にとると俺に向かって投げつけてきた、フン…そんなスロウな黒いモコモコなどこの俺に当たるハズが…
ビタンッ!(ゴトシープ)
「ドヘァ!」
コイツ!直前で軌道を変えた…!?クッ、どうやら投擲と言うワケではないらしい、高度なサイコ・ミュによる操作か!
「しかし当たらなければどうと言うコトはない」
「クッ!もうゴトシープに対応した…!」
ゴトランドはゴトシープを手元に戻すと一気に距離を詰め、この距離なら当たるでしょ!と鋭いキックを打ち込んできた
「イイ蹴りだ、この威力、並の提督程度ならばアバラが砕けるだろう、がッッッ!!」
俺は蹴りを放つゴトランドの足をそのまま掴み力任せ+遠心力を利用しその身体を床に叩きつけた!
「ガハァ!!!」
「ガハハハ!その程度では真の完璧提督には勝てぬわーッ!」
テイトク・インパクトをモロに被弾し、うっにゃあー!とか言いつつ床を転げ回っていたゴトランドだったが、意外にもダメージは軽かったらしくフラフラと立ち上がった
「い……痛いじゃない!フツーそーゆー殺人技する!?アナタおかしいんじゃない!?」
「おかしくない、提督だ」
「なんてやつ…!」
「だいたいキサマ、なんだそのサンタ服は、あざといにも程があるわ、モテたいのか?」
「モテたいわ!当然じゃない」
ハッキリ言う……気に入らんな、だが、モテたいと言う強い意志は買おう
「どう?北欧ブランドのこのステキなサンタ服は、可愛いでしょ?モテるでしょ?」
「バカめ、オマエが可愛いとか認めん、北欧ブランドに傷がつくからな」
「なんですってェー!!!」
ゴトランドは怒り狂って俺の胸ぐらを掴んできたが、俺はあくまで冷静かつ適切にゴトランドの手を払い、ゴトランドのお腹に非貫通お腹キックを叩き込んだ
「ハワーッ!!」
「ゴプッ!!」
「とにかくキサマが北欧ブランドとは認めん、北欧ブランドに傷がつくからな」
「クッ…!こんなFラン基地でブランドもナニもないでしょ…!」
「なんだとぉ……」