【登場人物】
提督(丙提督)
俺は全うできただろうか…?ちゃんとやれましたか?
五月雨(丙秘書艦)
いや、全然できてないです
勝つのは五十鈴!勝つのは五十鈴!勝者は五十鈴!負けるの深海!
「でたー!五十鈴サンの五十鈴
「ヤツのウィークポイントはもうツルスケじゃねーの!」
「あぁ…あかんなぁ、そんな近くて……五十鈴サンの対潜射程はそんな遠くないで」
「五十鈴サンの射程は、“海域”全てだ!」
◆◆◆
師匠が走る師走の執務室…
寒い寒いと言いつつも日中は暖かい気がする今日この頃、秋刀魚狩りから間髪入れずに始まった異例の作戦海域の期間も本日で無事終了、今回はなんとたった二海域で憧れの甲提督になれるとあって、初めての甲勲章を受勲して嬉し恥ずかしな海兵・将兵も多いだろう…
きっと今日は初めての甲勲章を記念してパーティーかな?秘書艦とか間宮とかが作った山盛りのごちそうと美味い酒が美味いのだろう………たぶん
「ハイ!ハイ!まことにー!まことに申し訳ございませんー!」
今日も変わらぬ執務室、さっきまで手にしていた受話器を電話機の上に置いた俺は胸ポケットから取り出したタバコに火を点けた
「フーッ〜………」
「執務室は禁煙ですよ」
「カテぇコト言うなよサミー子ちゃん」
「カテぇコトではなくルールを守ってください」
「へいへい………まぁ、でも火ぃ点けたしコレ1本くらいサービスしてくれや」
当基地のルールでは、本部からお達しがある海域作戦の期間中のみは執務室での喫煙が許される(窓は開ける)
まぁ、期間は今日までだったし多少は許されてもいいだろう
「そんな体たらくだから怒られるんですよ」
「やかましい、だいたいあの呪いの札システムってのが全部悪い、俺は悪くない」
秋刀魚狩りからの間髪入れずに始まった海域作戦、今回こそは意気込んで乗り込んだ一発目から誤出撃!呪いの札システムを発動!このターン、特定のクリーチャーは攻撃も守備もできなくなる!
…ガーン、いきなり出鼻をくじかれたな……とやる気を失った俺は安心安全の丙クルージングを迷わず選択!
「まぁ、提督がアレなのは今に始まったコトじゃないですが…」
「アレじゃない、提督だ」
ちなみに、今回のMVPチケットランキングはやはり対潜水艦狩りの達人集団が上位を独占し、パイオツが大きい五十鈴さんは金の橋が作れるくらいの札束を獲得した
「あー………そういや新人さんが来てましたよ」
「新人?何人だ?2人か3人か?」
「1人です」
「1人かよ!!」
1人だけとは珍し……いや、そんなコトだってあるだろう、うん、たしかサムくんとかも1人だけフラっと変な時期に来たしな
「ちなみに予定としては2人だったんですが、もう1人はお腹痛いとのコトで今回の配属は見送りになりました」
「マジかー」
まぁそーゆーコトもあるわな、こーゆーのいつ以来だろうな、たしか高波クンだったかなんだかが肩を壊したとか膝を壊したとかで配属を見送りになったっけか…
「で?ちなみに新人ってのはなんだ?戦艦か?」
「いえ、潜水艦の人です、米国出身」
「MAJORかッ!!」
戦艦、空母、重巡、軽巡、駆逐艦……MAJORから様々な大型新人が電撃移籍してきたが、これまで潜水艦はいなかったな…
「とりあえず明日面接に来るからビッと小綺麗な格好しといてくださいね、面接の時ぐらいは」
「やかましい、それではまるで俺が普段から小綺麗じゃないみてーだろーが」
「小汚いとは言いませんが、小綺麗ではないですね」
「カッカッカ!こやつめ!カッカッカ!」
この髪長ロング子が、普通なら提督様に対するその不遜は極刑に値するが………全て許そう、何故なら俺は心の広い大人だからだ
「まぁいい、今夜は反省会と忘年会とクリスマス会の打ち合わせを兼ねて香取先生らとメシ食いに行くから、オマエもテキトーな時間にアガっていいぞ」
「兼ねすぎでしょ…」
「いいんだよ、大人っーのはなんでも兼ねたがるモンだからな」
「ちなみにオマエ、クリスマスは何が欲しい?金か?女か?」
「そうですね、若くてイケメンな提督ですかね」
「そいつはサンタさんでも用意できないな」
「じゃ、金でいいです」
「ユメのねぇヤロウだな」