不健全鎮守府   作:犬魚

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モモタス The Roman Idol

【登場人物】

提督(マネじゃない)
バッティングセンターで野球経験もないのに子供に熱血指導するタイプのアイドルへの浅い知識での熱血指導

桃(モモタス)
松型の四女、提督からは内心、エロゲーで見た顔だなとディスられている


提督と群像暗黒伝モモタス

アイドルとは 何ぞ………?

 

いつから高学歴でなくてはならなくなった?いつから露出の少ない制服姿と決められたのだ?いつから減点法でしかアイドルの評価をしないようなった?何故こんなにも周りを気にして不自由になった?何故つまらん規則で自分達の首をしめ続けるのだ?

 

「1 2 3!1 2 3!クルッと回ってー!ハイ!」

 

ビシッ!!(ズギギヤァァン!)

 

「よし!1分休憩、あと10回だ」

 

「えー!!マネ!も、もうちょっと休ませてよォー!」

 

「甘えたコトを抜かすな!あとマネじゃない、提督だ」

 

天と地のはざまに立つ美の海軍基地と呼ばれるキュウシュウにある都市圏から微妙に離れた地方基地

海軍でも手がつけられないワルどもが集まるとディスられて久しい当基地だが、そんな場所にもアイドルは存在する

 

いや、アイドルなのかどうかは微妙なのだが…

 

「ハーッ………マネ、水ちょーだい、水、フランス産の、硬水のやつ」

 

「水道水で十分だ、あと、マネじゃない、提督だ」

 

つい先日……いや、先日と言うにはかなり日が空いてはいるが、当基地に配属された松型駆逐艦の四女、桃

彼女は駆逐艦と言う本分をあまり理解していないどころか自分はアイドルになる為にここへ来たッッッ!!と公言しており、日夜そのトレーニングに精を出している

 

「はぁ〜……腕痛い、って足も痛い」

 

「フン、その程度で音をあげるようではなれるワケがないな、トップ・アイドルには…」

 

「ハァ?なれるし!いや、なるし!」

 

アイドルに必要なものは第一にやる気、熱意、情熱、そしてそれを叶える為の根性、たしかに彼女は努力家であり、その点ではクリアーしていると言えよう…

いや、その最低条件を満たしているからこそ、俺はこの子に賭けてみたいと思ったのだ

 

モモタスにはたしかにアイドルとしての才能がある、しかしだ、それはあくまでただの才能であり天性の才能ではない、99%のアイドルにはなれても100%のアイドルには決してかなわない

その1%こそが絶対的な壁であり、モモタスが目指すトップ・アイドルへの絶対条件なのだ

 

「そうだモモタス、週末、オマエのライブが決まったぞ」

 

「どうせまた近所の公民館とかでしょ?知ってるし」

 

「近所の公民館を無礼るな、そーゆー細かいコトの積み重ねが大事なのだ」

 

「ハイハイ、わかってるわかってる」

 

そしてモモタスは小柄である、アイドルとして小柄すぎて体格に恵まれていない事はやはり不利になるが、その点に関してはスピード、そしてテクニックを磨く事で補う事ができる

 

モモタスが目指すトップ・アイドルの座に君臨するNAKAさんは体格・技術・歌唱力・残忍性・カリスマ性、その全てが揃ったNAKAさんがどれほど恐ろしいアイドルなのかはもはや語るまでもないだろう…

 

「そして残念ながら今回は近所の公民館のジジババの寄り合いでない」

 

「ウソ!?ホント!やったぁ!!」

 

「近所のスーパーのリニューアルオープンイベントだ」

 

「…………ペッ!」

 

「アイドルがツバを吐くんじゃあない!」

 

「マネ、もーちょい他の仕事ないのー?ねぇー?もっとこう、ビッグなやつとか…」

 

「甘えるな、あとマネじゃない、提督だ」

 

まったく、ナマイキにも程があるなコイツは…

ちょっとカワイイからと言って地元じゃちやほやされてたらしいが…

 

「ちなみに今回はNAKAさんの作詞を手がけたこともあるらしいある意味有名な作詞家が曲を書いてくれたぞ」

 

「マジ!?ホント!ウソでしょ?」

 

「ウソじゃない」

 

そう言って俺は懐から取り出したA4コピー用紙を紙飛行機に折りモモタスの額に刺してやった

 

「痛いっ!!アイドルは顔が命ーっ!」

 

ーーー

 

「膝ガクガクだぞ!もうスタミナ切れてんのかー!やる気ないなら帰れ!」

 

「は、はいっ!!うおぉぉぉぉ!!」

 

週末のライブに向けての練習再開、口は悪いし多少ナマイキではあるがやはりモモタスは努力家である、その努力は買おうと頷いていると、明石の店で菓子でも買ったらしいビニル袋を手に下げた秘書艦サミー子が歩いてきた…

 

「提督、こんなとこでサボってたんですか…」

 

「サボっていたワケではない、トレーニング中だ」

 

「トレーニング?あぁ…え〜……桃さんでしたっけ?」

 

五月雨は大して興味なさげにビニル袋からパピコを取り出して半分にへし折り、半分を俺の口に突き刺さした

 

「どうなんですか?桃さん、多少かわいいからって地元じゃちやほやされてた系ですか?」

 

「彼女は努力家だ、才能もある」

 

「へぇ〜、と言うか提督、アイドルの育成とかできるんですか?」

 

「バカ言うんじゃないよこの子は、俺はアイド●ープライドも全話見たし、セレ●ロも見てるからな!」

 

「浅っ!!アイドルへの知識浅っ!せめてアイ●スやってるとかないんですか?」

 

「ないっ!!」

 

「………よくそれで桃さんをトップアイドルにするとか無責任なコト言えましたね」

 

「無責任じゃない、提督だ」

 

まぁいざとなったらトップ・アイドルの心臓を奪ってモモタスに移植してやればいいんだろう!

 

「雑!心臓奪う発想が猟奇的なことに疑問とか感じないんですか…」

 

「冗談だ、小粋なテイトクジョーク」

 

「はぁ?」

 

「まぁ正直なところ、アイドルと言われてもアイドルと言ったら西条き●りちゃんぐらいしか思いつかないのも事実」

 

「さすがにANG●LとかTHE HE●RTSとか言わないあたりに多少なりともピンアイドルの知ってた感がありますね」

 

ちなみにそこら辺は五月雨や陸奥の方が詳しい

 

「ま、恥をかかせない程度に頑張ってください」

 

「大丈夫だ、モモタスはやれる」


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