【登場人物】
提督(秋刀魚)
あと33尾かな?お前は……ト●コ?
五月雨(秋刀魚)
高いですよね、秋刀魚
Grecale(サンマ)
サンマ?なんか臭くない?
今年も上からお達しがきた秋刀魚漁、何故誇り高き海のエリートである海軍が秋刀魚漁をしなくてはならないのか?そんな疑問を毎年感じつつもやれと言われればやるのが縦社会、たぶん大きな利権とか絡んでいるのだろうが末端の構成員である俺ら下っぱ軍人には関係のない事だ
「オイ、なんか燃料がやたらと減ってないか?中抜きしてンじゃないの?」
「秋刀魚漁で艦出してますからね、そりゃ減りますよ」
「いや、減るのはいいんだ、減るのは、俺が言いたいのはやたらと減ってるってコトだ!コストどうなってんのコレ?費用対効果とか考えてんの?利益出さないと給料出ないよ?ワカってんの?経費だから仕方ないってガバガバ使っていいコトじゃないんだからね、もっと各自がコストカットを意識して効率のいいルーティングとかをね…」
ったく、誰だよ!秋刀魚漁なんか行ってるヤツは…暇人か!いや、たしかサミー子に誰か秋刀魚漁に行きたい暇人に声かけてテキトーに行かせとけと命じた気がするが…
「って!大和さんが行ってるんじゃねーかッ!!」
おもわず、秋刀魚漁暇人編成と書かれた雑な書類を机にダァン!してしまった
「行ってますよ、丁度やることなくて暇そうにしてたし、秋刀魚漁行きますか?って聞いたらイクイクぅ!って二つ返事で毎日ウキウキで出かけてます、提督にはいっぱい出撃させて貰ってありがとうございます、今度お礼にパイ●リしますねって言ってましたよ」
「ウソ吐くんじゃないよこの子は、あと、女の子がパイ●リとか言うんじゃあない」
「まぁ、半分ホントで半分ウソの小粋なサミダレジョークってやつです」
半分は本当なのか…?と言うコトは、大和さんがパイ●リしてくれるってのが…………
「いえ、後半がウソです」
「コイツ…!俺の心を読んだ…!?能力かッ!!」
「そんな能力なくても提督がしょーもないコト考えてる時はわかります」
「しょーもないとか言うな、サミーよ!オマエは俺のなんだ?」
「部下…?ですかね」
「そうだ!そしてこの俺が最も厚く信を置くこの俺の無くてはならない右腕、共にママのアップルパイを食べた仲だ」
「ママのアップルパイですか………昔はたまに作ってくれましたよね」
「あぁ、そしてオマエと由良さんが最後の一切れを醜くも卑しく奪い合い俺やママを困らせていたのも今や懐かしい」
「しれっと記憶の捏造しないでください、顔面グーで醜い奪い合いしてたのは提督と由良さんです、私はそれを止めようとしてとばっちりを………いえ、いいです、思い出したくない系の思い出です」
何もかも懐かしきさらば遠き日と言うやつだな!そんなノスタルジィな気分を感じつつメランコリックな気分でいると、執務室の重厚な扉が勢いよく開き、何者かがノックせずに入室してきた
「Ciaoー♪グレカーレちゃんよ!」
「帰れ」
「は?帰らないし、死ね」
パスタの国から来た合法駆逐艦、マエストラーレ姉妹の1人にして褐色の弾丸の異名を持つ天才メスガキファイター、グレカーレ…
そのメスガキ力は高く、並のおじさん程度ではキンタマをグシャグシャにされ屈服させられるのは必至…ッ!だが、俺ほどの大人になれば返り討ちは可能!
「上司に向かって死ねとはなんだ、死ねとは」
「うっさいなァ、ザコのくせに、あ、カミナゲーナちゃんなんか飲み物ないー?アタシ喉渇いててさァ~」
「バヤ●ースかカル●スならありますけど?あとカミナゲーナじゃないで五月雨です」
グレカーレはフーアッツイアッツイとか言いつつシャツとスカートをパタパタさせつつお客様用応接ソファーに大股開きでワイルドに座った
「用が無いなら今すぐ消えろクソガキ、ここは神聖なる執務室だ、キサマのようなメスガキ臭いガキが気軽に入っていい場所ではない」
「ハァ?メスガキじゃないし、ってかアタシにメーレーすんなハゲ、足臭いんだよ」
「俺はハゲてないし足も臭くない、オイ、サミー、ジュースとか出さなくていいからコイツ
「
「ファーックス!!」
サミーはバヤ●ースと氷の入ったキンキンに冷えたグラスをグレカーレの座るお客様ソファーの前の応接机に置き、ついでにチーズアーモンドとホワイトロリータの入った菓子皿も置いた
「Grazie、アリガトー……ってオバーちゃんちかよ!もっと他のやつないの?biscottiとか?」
「ないです、文句があるなら他所の子になってください」
あのサミーですらこうもアッサリとイラっとさせるとかやはりこのガキ相当にデキるな
「オイクソガキ、用がないならそれ食ったらさっさと帰れよ」
「用があるから来たんじゃん、ザコかっての」
「ザコじゃない提督だ、で?用とはなんだ?くだらない用件なら両肩脱臼させて膝の皿叩き割るぞ」
「んー?なんかLittorio……あー今Italiaだっけ?なんか ˈpittsa焼いてるからテートクもどーですかー?とかそんな感じー」
「ふ〜ん」
ピザか……悪くないな、たしかイタリアだかローマだかが、焼いたピザはホントに美味いんだよな、本格派っーのか?焼き立てアツアツのピッツアとビールの組み合わせは最高だな
「フーッ〜…よっ、じゃ、行こーか?」
空になったグラスと食い散らした菓子皿を放置し、グレカーレはグィーッと伸びをしつつごくごく当たり前のように言った…
「行く?どこへ?」
「寮にキマってんじゃん、ハナシ聞いてたの?」
「いや、普通に行かないが…」
「ハァ!?このグレカーレちゃんがわざわざ呼びに来たのにィ!?」
「ご覧の通り、提督は暇人ではなくてね」
「イヤイヤイヤイヤイヤイヤ!!困る困る困る困る困る困る困る!!なんで!?なんで来てくれないの!?ねえなんで!!」
グレカーレは青ざめた顔で俺の腕に縋り付く!!な、なんだ…?何故コイツがここまで困る?
「ご覧の通り、仕事中でね」
「そんなのアトでいいじゃん!ほら!ほらほら!行こ行こ!ね?そんなのアトにしてさァ!!」
「やかましい、っーか邪魔すんな」
「いやホント困るの!テートクが来てくれないとアタシ、アタシRomaに殺され……と、とにかく来て!!お願いだから来て!!」
「え?ムリ」
「クッ!いいから来い!!」
グレカーレは執務机を蹴り俺の腕をグイグイ引っ張るが、いつもの精彩さと狡猾さが欠けたコイツでは話にならず、俺はグレカーレの顔面を掴むとそのまま勢いよく執務室の壁に叩きつけた!!
グシャァッ!!(スネークバ●トォー!)
「グハァ!!」
「話にならんな、クニに帰るといい、お前にも家族がいるんだろう」
「クッ…!ゆ、油断した…!いつもならこんなカンタンに間合いに…!」
この後、グレカーレは何度倒しても立ち上がる不死鳥のような粘りとタフネスを見せこの俺を戦慄させたが、心を入れ替え、その力と情熱を認めた俺がグレカーレの願いを聞き入れ、ついにその重い腰を上げて最早立ち上がることすら難しいグレカーレをまるでディ●ニープリンセスのように抱き上げて仲間達の待つ寮へと向かった
………と言うジャスト1分の幸せな“ユメ”を見ながら眠った
「…ユメは見れたかよ?」
「久々に使いましたね、
「使いどころか難しいからな」