【登場人物】
提督(自称)
ハンサムなことに定評のある提督、明石とはよく金の話をする
五月雨(秘書艦)
絶妙なポジショニングに定評のある秘書艦、昔は由良さんとランチに行くぐらいは仲良かったとかなんとか…
夏、長雨だのなんだのあったが季節はまだ夏、サマーってヤツだ、そんなクソ暑い夏の日、既に上からは夏の作戦海域に従事セヨとのお達しがきているが一週間ほど無視していたら大将殿から減俸するぞと理不尽に脅された今日この頃…
そんなメランコリックな気分で夏の終わりを過ごすのは俺の心に後味の良くないものが残るのもよくないので、俺は執務室を本日休業とし、秘書艦サミー子と夏の海に釣りに来た…
「暑いなぁ、なぁオイ?」
「そうですね、ってかその糸、針ついてなくないですか?ラムネとサイダーどっちがいいですか?」
「ツイてませんけど?提督は無意味な殺生はしない人ですけど?」
仙人じゃあるまいし…と秘書艦サミー子の冷静で的確なツッコミは無視し、秘書艦サミー子からキンキンに冷えたサイダーを受けとり渇いた喉をキンキンに潤す
「犯罪的だ…っ!美味過ぎる…っ!」
「そうですか」
このクソ暑い中、麦わら帽子一丁で涼をとれるものか怪しいところだが、秘書艦サミー子は大して暑くはなさげにしている辺り彼女はきっと変温動物なのか、もしくはそのやたらと長い髪が体温の排熱機能か何かを担っているのだろう
「以前にもその仙人みたいな釣りごっこやってましたけど、実は釣りとかよく知らないんじゃないですか?」
「バカ言うんじゃないよこの子、俺はこう見えても昔は近所の川でブラックバスを釣っては投げ釣っては投げしていたのだよ」
「バスかよ」ボソッ…
「オイ、今なんか笑ったろ?バス釣りバカにしたろ?なぁオイ?」
「別に笑ってませんよ、あ、由良さん」
「ヒィィィ!!?ゆ、由良さん!?………って、いねぇじゃねーか!!」
青髪ロング子はそんなワケないじゃないですか、ビビりすぎですよ、ビビりクンとケラケラ笑っていた
普通、この絶対支配者である提督様に対してこれだけの無礼を働いた艦娘は、地獄電気あんま→失禁ショー→失禁地獄あんまの無限ループで処刑するところだが……
「まぁいい、全て許そう」
かつては完璧提督と呼ばれたこの俺も下等であるハズの艦娘どもと長く接する内に、ズイブンと甘ちゃんになったものだ
「ところで提督」
「なんだ?金か?金の話か?」
「なんで金の話一択なんですか…」
秘書艦サミー子はナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?と言いたげな目をしているが、たぶんそれは気のせいだろう
「ではなんだ?金の話じゃないならなんだ?男か?カレシでもデキたか?ガハハハ」
「違いますよ、と言うか、仮にカレシがデキても提督には絶対教えませんし」
「ガハハハ!ジョークなのだよ、小粋なテイトクジョーク、卿は相変わらずユーモアのセンスがないな」
「ユーモアのセンスがないとか提督にだけは言われたくないですね」
「で?ナニかね?金でもオトコでもないなら何の話だ?」
「引き抜きの話です」
「ハァ?」
ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?
「引き抜きって……誰が?俺か?中央なら断ってるぞ」
「いや、提督でなく、私が…」
秘書艦サミー子曰く、練度は既に上限に達しており、さらにここ近年まったくと言っていいほど出撃記録がないせいか、そんな経験豊富でベテラン艦を遊ばせてるとかどうなのよ?と人事的な部署に目をつけられたらしく、遊んでるぐらいならもっと今よりステップアップできるトコに行ってはどうかと…?
「ダメだ、ダメダメ!異動とか絶対ダメ!サミー子、卿はオレのなんだ?」
「…部下?ですかね」
「そうだ、そして共に銀河を手に入れると誓った俺に欠かせぬ存在だ、違うか?」
「銀河はもう何個かあるのでは…?」
「1つ2つの銀河で満足するものか!俺は欲張りなのだ、異動?引き抜き?よしわかった、人事的な部署からハナシがきたんだな?関係者全員ブチのめして話は無しにしてやる」
「…はぁ?」
秘書艦サミー子はアホかコイツみたいなツラしていたが、手持ちのクーラーボックスからサイダーの缶を取り出して俺に放り投げてきた
「あげます」
「うむ………って!!ブヘェ!!キサマ、缶に回転をかけたな!!」
こやつめ、お得意の低回転ストレートではなく高回転で投げやがったな、なんてヤツだ…
「転属にあたりイケメン提督を紹介してくれるって話でしたけど、ま、今更転属するのもアレですし、自称ハンサムな提督で妥協しておきます」
「自称ハンサムな提督じゃない、提督だ」
「知ってます」
次回から夏?夏イベント回
初戦から地獄モードなんですけどー?Pマスとか悪意の塊やん