不健全鎮守府   作:犬魚

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蒸し暑いせいかイマイチ調子がよろしくない今日この頃

【登場人物】

提督(食欲不振)
夏は激烈に痩せるタイプ、だって暑いもん



提督と英国の逆襲

朝っぱらから蒸し暑さすら感じる初夏の気配、そんなたった一度の今日と言う日、喫煙所にタバコでも吸いに行くかと歩いていると、中庭で自らが作ったアクメガスを暴発させアクメ死んでいる夕張とアクメガスの暴発に巻き込まれたらしいコロちゃんがアクメ転げ回っていたが、些細なことだと感じ関わり合いにならないように無視した…

 

「あ、Darling!」

 

「…ん?」

 

廊下の先に立っていたキンパツサラサラヘアーは元気ハツラツゥ!に手を大きく振るとダッシュで駆け寄ってきた

 

「よぉ、ジャーヴィーくん、元気かね?」

 

「モチ・ローン!Lucky Jervisは今日もゲンキ!ね?Darlingもしかしてヒマー?」

 

「いや、普通に忙しいのだよ」

 

嘘である、今日は普通に大してやる事がないせいか朝から速吸クンとキャッチボールに勤しんでいると、長良主将からもっとナイスガッツ燃やせよ!とアツく声をかけられ、いつの間にか砲丸投げをさせられ身体中が悲鳴を上げていた

 

「ヒマー?ネー?ヒマー?ネー?ネー?」

 

「いや、ヒマではないのだが…」

 

相変わらずグイグイくるなこの子、っーか物理的にグイグイくるのはやめて欲しいのだが…

提督はこーゆーグイグイくるタイプの今風で多感な年頃の子は苦手なのだよ、グイグイくるジャーヴィーくんをベリッと引き剥がし、あくまで紳士的に提督は暇人ではないのだよと懇切丁寧に説明する…

 

本来ならバカガキ相手ならベリッと引き剥がしつつダブルニークラッシャーでダブルのニーを破壊してやるところだがこのジャーヴィーくんは“あの御方”が目をかけているお子、下手に手を出してあの御方の逆鱗に触れることだけは避けねばならない高度に政治的な事情がある

 

「ソウ、じゃいつヒマになる?あ、ソーダ!お昼はlunchを一緒にしまショー!それカラー、それカラー、Afternoon teaしテー、楽しくオシャベリしてー」

 

ダメだこの子、まるで話を聞いてねぇよッ!!クソッ!なんて面倒なお子だッ!!

 

そんな面倒くささに頭を悩ませていると、廊下の先から隠しきれない溢れる高貴さのオーラを放つ、或る高貴な女性と赤い髪の騎士が歩いて来た…ッ!!

 

「ん?Jervis、オマエこんなところで何をして……む、Admiralも一緒か」

 

下等なオークやゴブリンなどは舐めてかかるのが女騎士の悪い癖、女王陛下の女騎士、アークロイヤル

 

「あらAdmiral、こんにちは」ニコッ

 

そして生まれながらの女王の中の女王、その圧倒的な尊さの前には誰も讃える姿で膝を折る絶対女王、女王陛下

 

その、女王陛下の圧倒的な輝きと高貴さから放たれるロイヤルスマイルは常人がマトモに被弾すれば確実に膝と心をまるでHBのエンペツのようにベキっとヘシ折られ、生涯をこの御方の為に尽くそうと永遠の忠誠を誓うのは必至ッ!!

しかし俺は今やこの国の男には失われつつあるヤマトダマシイと、キュウシュウ男児の誇り、そしてとっさに自らの左手の指を2本ヘシ折り忠誠を誓うその誘惑に耐えたッッッ!!

 

「ど…どうも、陛下……このような場所で珍しい、お、お散歩ですか?」

 

「えぇ、天気も良いので」

 

陛下曰く、天気も良いのでたまには執務棟の中庭にある池で飼育されている鯉でも見ようと散歩がてらにここまでと…

 

「あの………陛下、1つよろしいでしょうか?」

 

「なんです?」

 

「あ、いえ、大したことではないのですが……今、陛下がお抱きになっているソレ」

 

「ソレ…?あぁ、この子ですか?」

 

不遜にも女王陛下の腕の中でふてぶてしく眠る生物………いや、まぁ、ただの猫なんだが…

そのただの猫、たしか前にどっかで見たことある気がするんだが、なんだっけか?たしかスコッティーだかシコティッシュだかそんな名前だった気が…

 

「以前、Jervisが世話をすると言う条件で飼うのを許可した猫です」

 

「あー…」

 

やっぱ見覚えのあるヤツかよ、以前、ジャーヴィーくんにペット・ショップに付き合わされた

 

「まぁもっとも、残念ながら未だにJervisには懐いてないようですが」

 

「懐いてないんすか」

 

安売りの猫のくせにプライドは高いのか、単にジャーヴィーくんが舐められてるのか…

 

「ところでAdmiral、これから少し時間はありますか?」

 

「時間、ですか…」

 

陛下から時間はあるかと問われ、無いと言える剛の者などこの世界には数えるほどしかおるまい

 

が!しかし今の俺は長良主将のナイスガッツのおかげで全身がズタズタである、正直、タバコを吸う動作以外に右手をシコシコ動かすのすら苦痛を伴いかねない大ダメージを負っている

ならばここはイイ感じにカドを立てないようにお断りするのが最良…

 

「Lady、Darlingはワタシとlunchしてteaする予定が入ってマス」

 

「そうですか、ふむ…」

 

ジャーヴィーくん、提督にその予定はないのだが?

 

「ならば丁度いいです、Admiralに少々お話ししたいことがありますし、Ark、今日のlunchは?」

 

「ハッ!Sheffieldによる季節の素材を活かしたCourseを御用意しております」

 

「結構、すぐに1人分追加させなさい」

 

「ハッ!ただちに!」

 

女騎士は姿勢正しく恭しく頭を下げ、ただちに矢文の発射準備にかかる!っーか矢文かよ!!電話しろよ!

 

「いや、陛下、自分、お昼は秘書艦と近所のうどん屋に行く約束が…」

 

嘘である、だがまぁ、金出すったら来るだろあの青髪ロングなら

 

「そうですか、では秘書艦も一緒に……Ark、追加は2……3人分にしておきましょうか」

 

クッ!陛下から絶対に逃がさないと言う強い意志と強固な信念を感じるッッッ!!

 

どうする?ここでハンサムな提督なら良い考えが思い浮かぶか、空気読めないけど仕事はできるヘレナくんがジャジャーンとアメリカンコミックヒーローのように助けに来てくれるかの二択を選びたいところだが、良い考えはまったく浮かばないし、ヘレナくんはたしか今日ホノルルくんとアトランタくんと街に水着を買いに行くとか言っていたな……正直、提督としてはそれはただの自殺行為だと思ったがヘレナくんはきっと強い心を持っているのだろう

 

「…では、それでよろしいですね?Admiral」ニコッ

 

「ハッ!謹んでお受けします!」

 

 

この後、電話でサミー子を今すぐ来いと呼び出し、女王陛下と英国の刺客達に囲まれての高貴な食事会となったが、席を同じくしていたネルソンが瞳孔の開いた目でうまい!うまい!とバクバク食っていたせいか、陛下のお話がイマイチ入ってこなかった





あと1〜2回くらいやってからifエンド回にいきますの
地味に今月でこのクソみてぇなお話も5周年ですって!

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