【登場人物】
桃(松型4番)
アイドルを自認するアイドル駆逐艦、売れてない
伊203(潜高型3番)
168さんからゲロシャブと呼ばれている
巻波(夕雲型5番)
金剛サンをマジリスペクトしてる理由を話すなら長い話になる…ジュース用意してくれるかしら?あとお菓子も
涼波(夕雲型10番)
デコが広い?前髪垂れたら邪魔なんだよ
リキッド式のパチモンタバコっぽいモノも意外と悪くないなと思いつつある今日この頃…
半年ぶりぐらいか、新人の面接ってのも……まったく、もう何回やったか数えるのがアホらしいぐらい面接してきたが、何度やってもめんどくせぇな…
「今回は7人です」
「7人か、まずまずだな…パイオツの大きい娘は?」
「いるんじゃないですか?たしか、7人中2人はMAJORからの電撃移籍ですよ」
「ふ〜ん」
MAJOR出身=ダイナマイツバディっーのは最早常識と言っても過言ではないが、たまにヘレナくんみたいなMINOR出身もいるから油断ならない(お胸様的な意味で)
まぁそんなワケで、今回の新人面接7連戦、まずはトップバッターから執務室の重厚なドアをノックし、堂々入室してきた…
「あたし、桃!丁型のアイドル……いえ違うわ!駆逐隊のアイドルが正解?…かな?あ、そう!松型の四番艦!テートク、よっろしくぅー♪」
またいきなり濃いのが来たなオイ、え?ナニ?アイドル…?アイドルってナニ?ウチ田舎の基地っても海軍だよ?面接来るトコ間違えてんじゃあないのか、この子?
「あ、うん、そうなんだ…」
………とりあえず、履歴書的な書類を見る限り間違いってワケじゃなさそうだな、一応艦娘みたいだし……っーか松クンの妹か、なるほどそう言われるとたしかにフロントウ●ングみてぇーなツラだな
「気軽に、モモタスって呼んでね♪」
「わかった、えー…モモタスくんは駆逐艦、あー…」
書類を見るに、性能的にはチンカスクンってトコか…ま、あんま期待してなかったが………ん?なんだこれ?必殺技?
「モモタスくん、この桃ビームってのは何かね?」
「桃のキラキラです」
「キラキラ…?」
「ハイ!喰らったが最後!どんな悪いやつでも桃のファンになります」
ふ〜ん、洗脳系の電磁波とかそんなのだろうか?なるほど、なかなか厄介な能力を持っているのだな
しかしアイドル……アイドルか、アイドルと言えばかつてはブラウン管の向こうで歌って踊り、“親衛隊”と呼ばれた屈強な男達に守られた神聖不可侵な存在…
それが今や顔も名前もまるで見分けがつかない大量生産の量産機扱いだ、アイドルの価値も下がったモンだ(※個人の意見です)
まぁアレだな、そう……なんて言うか、夢!
夢を見れるアイドルってのがいないんだよな、こう…見ていてワクワクするスター、自分と重ねて心の底から応援したくなるような、そんなアイドルが…
「そうか……どんな悪いやつでも、か」
ヘヘッ…!グッときたぜ、この青臭い小娘なんぞに焚きつけられるとはな
「おもしれぇ……いいだろうモモタス、俺についてきな、この世で二番目に強ぇアイドルにしてやるぜ!」
「え!?一番じゃないの!?」
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初っぱなから濃い目の人材にウンザリしつつ、続く二人目…
「水中での圧倒的な機動性を追求した伊号潜水艦の新型高速潜水艦、伊201型潜水艦の三番艦、伊203です」
「え?なんだって?」
「だから、水中での圧倒的な機動性を追求した伊号潜水艦の…」
「いやそーゆーのいいから、キミの名前は?」
「だから、伊203………です、フーミィ?でいいかな…?」
「え?フーミン?」
「フーミィ」
ムッとした顔で抗議……と言うか、常にムッとした顔のフーミンくんはおそらく気難しくて繊細な今風の娘なのだろう
「で、何かね?泳ぎに自信があると?」
「そう、すごく速いよ、私」
「ハッ…?」
「ナニその顔、バカにしてるの…?」
「していないとも、なるほど…水中でのスピードに自信アリと…」
まぁ、潜水艦なんだから水中戦が主戦場、しかし当基地にはこのフーミンくんの未だ知らない強豪潜水艦がゴロゴロしている、たかがちょいとスピードが速いってだけでデカいツラできるとは思わないコトだ
「まぁ、ウチの教育方針としての潜水艦に関しては潜水艦センバイ達が優しく教えてくれるのでセンバイの顔を立てつつ潜水艦としての上手な生き方を教えて貰うといい」
「わかった」
「…しかしだ、フーミンくん」
「フーミィ」
「え?ムーミン?」
「ムーミンでもフーミンでもない、フーミィ、二度と間違えないで」
ムッとした顔で抗議するフーミンくん、めんどくせぇなコイツ、もうゲロシャブとかでいいような気がしてきたのだよ
しかしだ、しかしこの提督はさっきから気になって気になって仕方ないコトがある、いや、むしろこのフーミンくんが入室して来た時から気になっていた、正直、その疑問の前にはフーミンの名前とかどうでもいい問題とも言えるだろう…
「で?なに?」
「キミ、潜水艦だよね?」
「そうだけど?」
「それ、水着かね?」
潜水艦!!として新配属されたハズだが、このフーミンくん、どう見ても水着には見えないオシャレな服、いや、もしかしたら今風の水着ってあんな感じのもあるのかな?
「………私服だけど?」
「そ、そうかね」
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今風の気難し屋で繊細な子、フーミンくんが去っての三人目……
「…と、言いたいところですが、今回、夕雲型の人が2人いるので2人同時でいきましょう」
秘書艦サミー子は特に俺の意見を聞くわけでもなく、次の方どうぞーと扉の外へ声をかけ、新たな美しき獲物達が入室してきた…
「夕雲型駆逐艦、五番艦といえばこの私、巻波!そう、長波姉のいっこ下!」
「同じく夕雲型駆逐艦十番艦、涼波さ! 藤波のいっこ上だったかな?たぶん!」
数ある駆逐艦の中でも生れながらのエリートであるエリート駆逐艦姉妹、夕雲型…
そのエリートさ故に姉妹にはレア以下の姉妹など存在せず、パワー・スピード・テクニック、その全てがなかなかの水準にあるまさにエリートの中のエリート…
「え〜…デコの広い方が巻波くん?いや、涼波くんだったかな…っーかめんどくさいなオマエら、同期なのにいきなりキャラ被ってどーすんだよ」
「大きなお世話だし」
「っーかデコ広い以外に他にもっと違うとこあるじゃん、私と巻波姉似てるとか私に失礼じゃん」
まったく、これだから夕雲型は……ナマイキな口を叩きよるわい
「まぁいい、キサマらは下で徹底的に鍛えてやるからカクゴしとけよ、そのお上品な上の口からゲロを吐くまで走り込みさせてやる」
「ヒッ!?い、いやだぁー!」
「鬼かよ!!」
「鬼じゃない、提督だ」
フンッ、ナニがエリート駆逐艦夕雲型だ!お高くとまりおって…どいつもこいつも最初は一丁前の口をきくが、ファームでの徹底的なトレーニングと香取先生のアツい熱血指導で勘違いを正してゆくのだ…
「まぁ、ウチのカリキュラムをこなせば理想の自分になれるので頑張るよーに」
「理想の自分……?もしかして、頑張ったら金剛サンのようになれますか!」
「金剛……だと?」
巻波くんはスゲーキラキラした目をしているが……金剛だと?まさかあの金剛のヤローをリスペクトしてんのか…
っーか金剛のやつ、アイツ意外とガキどもから人気あるんだよな、実の妹の比叡や他の姉妹からもリスペクトされてるし……フン、この基地の絶対支配者気取りか!相変わらず気に入らんヤツだ!
「はい、なれますよ」ニコニコ
「やったぁ!やります!私カンバリます!」
「いや、巻波姉それはさすがにムリじゃね…」
後日、ファームでの訓練を開始した巻波くんは、舐めてんじゃねぇぞこらァ!(ガゴォ!)金剛サンみてぇーに強くなりてぇだと?なれるわけねぇだろうが!(グシャ!)とアツい洗礼を受け、お上品な上の口からゲロ吐くまで走り込みさせられた…
次回はその②
震撼!MAJORから来たKUROFUNE