【登場人物】
軽巡新棲姫(縦ローラー)
見た目のわりに気は小さく自信もあまり過剰でない堅実派、深海棲艦には珍しいオシャレに気を遣える娘
最終ステージ、過去、何度となく訪れその度に血で血を洗う惨劇を繰り返してきた因縁の聖地、鉄底海峡
今回も血で血を洗うデスマッチを予感させる風と共にトビウオはその辺を跳ねていた…
「ゲ、ゲェーッ!オマエはー!」
「バカなーッ!オマエは死んだはずじゃあ…!」
『フッ、甦ッタノヨ…!
前回の戦い!ノルウェー沖/北極海での死闘を繰り広げた戦慄の蟹少女ッ!!
「愚かものめ………なまじ私の正体を知るからこうなったのだ」ザワザワザワ…
『ナ、ナンダコイツ!?ナンダコノ邪悪ナ
「死ねーッ!!」
グサアァツ!!(貫通腹パン)
『ガハァ…!!バ、バカナ…!』
「フンッ…この大和はいずれ提督となり、この海上を支配する者だ、その秘めたる野望と私の正体を知った貴様を生かしておくワケにはいかぬなぁ〜…」ニマァ…
『ス…救イハ…救イハナイノカ……グフッ』
前回は苦戦を強いられた戦艦新棲姫だったが、やはり再生怪人は弱体化してると言う宿命には抗えなかったのか、むしろ相手が悪かったのか…
とにかく無事に戦艦新棲姫を海にバラ撒き、チームは海域最奥!最終決戦へと臨むのであった…っ!
◆◆◆
最終決戦鉄底海峡、VS深海艦隊鉄底海峡任務部隊を率いるのは今回がデビュー戦になる大型新人、軽巡新棲姫
痴女ファッションと裸族が多めの深海棲艦にしては珍しいオシャレに気を遣える娘である
『オマエラノタクラミ……アタシガゼェンブダッセンサセテヤルヨ!……ンン!イヤ、チョットテンションアレカナ?ヨシ!モウ一回!オマエラノータクラミィー!』
『軽巡新棲姫クン!海軍ノ野郎ドモガ来ヤガッタヨ!』
『ウエッ!?モォ来タノォォ!?』
事前のミーティングで、このポイントに来るまでにはこれでもか!ってぐらい多彩なギミックとつよつよな他チームが海軍どもの前に立ちはだかる!ウェーイ!とかホワイトボードに書かれており、戦艦新棲姫ちゃんやネ級改さんがあんなのワンパンでKOしてやっからよ!ドーンと構えとけ!ガハハハー…とか自信満々にしてたのに
『ゼンゼンダメジャン…』
話が全然違うじゃんと思ったが、まぁ、来るものは仕方ない、そもそも自分の仕事は栄誉あるラスボスの仕事だ、それも!デビュー戦からの大仕事!普通はないよ!こんな大仕事は…っ!
そもそもアレだ、軽巡姫級は今までも何度か登場したが、その誰もがカマセ犬!!なんか大したコトねーなコイツ、とディスられ、ぶっちゃけその辺のナ級の方が怖いとか言われる始末…
しかし!そんな軽巡氷河時代に終止符を打つべく!ついに巡ってきた活躍のチャンス!軽巡はツ級だけじゃないです、姫級こそ深海軽巡最強です!と万人に目にもの見せてやる日が来た!!
『キタゾー!海軍ドモダァー!』
『野郎ドモ、海軍ヲ滅ボセー!』
幸いな事に、チームの仲間達は良いヤツらばかりだ…
頭は悪いけど身体はエロいネ級、口は悪いけど実力は確かなト級、運が悪いけど頑張り屋さんなロ級…
みんな今日まで自分を信じてついてきてくれた最高のチームメイト達だ…
『クタバレコラァー!!』
『深海ノ力ヲオモイシレ海軍ッー!!』
血気盛んなチームメイト達は先手必勝だぜーッ!と言わんばかりに飛び出した…ッ!!
飛び出した………が
「…そのまま讃える姿で思い知れ、オマエ達の敗北は絶対だ」
讃える姿で爆散した仲間達
そして、そんな仲間達を当たり前のように屠った海軍の刺客…ッ!!
「そして絶対は、僕だ」
『ア…?ア…?』
目が合ったら全力で逃げろ!深海ビンゴ・ブック危険度S級駆逐艦…!シグレ!!あかん、いや、ムリ……やだ、なにあの駆逐艦らメッチャ怖い、ってか駆逐艦の迫力じゃないよあんなの!貫禄ありすぎでしょ!息するみたいにごく当たり前に人を従わせるとかフツーの駆逐艦じゃないわアレ
ってか、目からパリパリなんか漏れてる!アレに完全にゾーンとかそんな感じのに入ってる…っ!!
「頭が高いぞ」
グシャァッ!!(ズガタカ)
『ウギャア!!』
「僕を見下ろす事を許しているのは西村艦隊のチームメイトと白露型の姉妹だけだ、僕に逆らう者は提督でも殺すし、白露姉さんに近づく有明は特に念入りに殺す」
『ゥゥゥゥ…ウゲェ…!オロォォォォォ…」ビチャ…ビチャ…
◆◆◆
夏の暑さを先取りし過ぎてアンダーがビチョ濡れな今日この頃の執務室…
「ヤリすぎでしょ!!なんなのあの子!?」
「時雨様だ」
「ハァ…?シグレって……ってか様付けなの?」
「いいかねヘレナくん?この基地で最も大切、いや、もっとも重要とされているものはナニかわかるかね?」
「え?ナニ?え〜…チームワークとか?」
チームワーク……ククク、チームワークねぇ、まさかヘレナくんからそんなヌルい言葉を聞くことになるとは…
「“力”だ、当基地ではどんなゴンタクレであろうが素行不良であろうが力さえあれば、多少のワガママは許されるのだよ」
完全実力主義、それ故に、誰に対してもチャンスはあり、たとえスペック的にはどんなクソザコ性能であろうとも必ず誰もが第一線で登板できる練度にまで鍛え抜く安心のカリキュラムを組んでいる…
だが、そんな中でも抜きん出た“怪物”は存在し、そんな怪物達に対しては自然と敬意を払ってしまうものだ…
「なるほどね、ってか惨殺すぎるでしょ…なんなのこの子?ヒクわー」
「ヒクとかゆーな、あとヘレナくん、パンツ見せて貰っても構わんかね?」
「いいわけないでしょ、殺すぞ」ニコッ