【登場人物】
提督(メガネ)
好きなラーメンはトンコツラーメン
涼風(壊れた扇風機)
好きなラーメンは棒ラーメン
二日に一度は雨な気がする梅雨の日、今日も真面目に仕事すっか!カーッ!こんなにヤベーのにワクワクすっぞ!と思いつつ執務室へやって来たワケだが…
「オハヨウ」
「ヨォ」
先に来ていた秘書艦サミー子に社会人特有の機械的な朝のアイサツをして自分の机に向かった俺はとりあえず今日の基地スポでも読むかと紙面を広げた…
「鉄人復活、衣笠連夜の逆転打か…」
100マイルの速球に差し込まれることなく強烈なミートで叩いたボールはスタンドに吸い込まれた、これにより大鯨ホエーヌズは球団創設以来ワースト記録となる12連敗を喫し…
「へぇ、ガッサさんサスガだねぇ」
「バカオマエ、衣笠サンだぞ、衣笠サン、あのゴンタクレだらけのプッツン重巡どもを唯一纏めるコトのできるカリスマ的存在、いや…むしろレジェンドと言っていいだろう」
この基地に衣笠さんほどヤキュウに対して真摯に向かいあっている者はいないだろう、しかしその衣笠さん、二回の三冠王、新人王、首位打者6回、本塁打王4回、打点王7回と数々の輝かしいタイトルを手にしたきたが、そんな衣笠さんが唯一手にしたことがないタイトルがある…
優勝、衣笠さん率いる殺天エンジェルスは優勝と言うタイトルを手にしたコトがないのだッ!!
「ふーん、まぁ、アタシは興味ねぇけどな」
「ナニが興味ないだキサマ、舐めてんのか」
しかし今日の秘書艦サミー子は妙に口悪いな………っーか、オイ
「…なんだスズカか」
「スズカじゃねーよ、涼風だボケ、キンタマ蹴り潰すぞ」
「女の子がキンタマとか言うんじゃないよ、この子は」
見た目は五月雨に似ているが言動が些か荒ぶっているコイツの名は涼風、ウチのバカどももコイツが五月雨にやたらと似ている事から見分けがつきにくいらしく、一部のアホガキどもにはサミーとよく似たドッペルゲンガー、もしくは凶暴な方の五月雨、五月雨Bと呼ばれている
「で?なんでオマエが居るんだ?Aはどうした?Aは?」
「あの髪長なら有給とってコロンビアに豆買いに行くって言ってたぜ」
「あのヤロー…」
今、作戦海域期間だってワカってんのかあのヤロー、ナニがコロンビアだっーの、舐めてんのか、これはもうアレだな、ヤツには一度ビッ!と言ってやらにゃいかんな
「でだ、サミー子がコロンビアに行ってる間、オマエが秘書艦の仕事するのか?」
「んなワケねーだろ、アタシにそんなチマチマした仕事出来るワケねーだろ」
「だろうな」
涼風は冷蔵庫からバヤ●ースのペットボトルを取り出し、中身をグラスに注いでイッキに呷った
「ブハァ!!うんめぇー!」
「やかましい、仕事しねーなら消えろ、あと、仕事がデキるHでキレーなお姉さん呼んで来い、巨乳の」
「ブッ飛ばすぞクソメガネ」
「クソメガネじゃない、提督だ」
しかしこのヤロー…マジで口悪いなオイ、白露姉妹はそもそもアレなヤツが多いが、コイツは姉妹の中でもブッちぎりの凶暴性、そして残虐性、残酷性も十分ッ!
五月雨と同じく、ここ近年は海域に出るコトはほぼ無いが、かつてはその残忍性は由良さんをも凌ぐとまで言われたぐらいだ
「いいから巨乳のお姉さん呼んでこいや、だいたいナニが涼風だ、壊れた扇風機みてぇーな名前しやがって」
「あー?やんのかテメー?」ピキッ!パキッ!
「フン、どうやら久々にわからせが必要らしいな、この基地の絶対支配者が誰なのかを…」
俺と涼風は互いに既に必殺の間合いに入っている、先に動くのはどちらか、そんな緊張感が漂う執務室、そこへ…
ゴン!ゴン!(ノックしてもしもし)
「Hi、失礼するわよー、昨日の出撃日報持ってきたわ」
懇切丁寧に執務室の扉をノックして開いたのはアメリカ生まれのハード・パンチャー………えぇと、誰だっけ?たしか、え〜……
「エレナ?」
「Helenaよ、ブッ飛ばすわよ?」
「小粋なテイトクジョークなのだよ」
やって来たのはMAJOR出身の本格右腕、そのパンチ力はあのアイオワですらガードを上げざるを得ないと言わしめる右の大砲、ヘレナくん
そんなヘレナくんは書類の入ったファイルを片手に、執務室をぐるっと見回して、うわっ…汚っ、と軽くディスってきた
「少しは整理しなさいよ、整理整頓、基本でしょ?」
「やかましい、今忙しいのだよ」
「ふ〜ん、いつもの秘書艦の娘にやってもらったら?ってか居るじゃない、え〜……なんだっけ?Sammy子だっけ?」
「アタシはサミーじゃねぇよ」
「え?違うの?」
ヘレナくんはウソでしょ?と言ってみたものの、たしかになんか違う気がすると涼風をマジマジと見た
「そいつは凶暴な方の五月雨、通称五月雨Bだ」
「B?ナルホド、オッケー!覚えたわ!」
「涼風だ!二度と間違えんな」
ヘレナくんは涼風に、スズカゼ?Sammy子のキョーダイ?双子なの?どっちが上なの?と興味津々丸に英語で質問責めにすると、涼風はナニ言ってんだコイツという顔で首を曲げた
「チッ、めんどクセー…アタシはもう行くわ」
「あ、ちょっと待ちなさい!まだハナシは終わってないわ!」
「うっせぇな、あ、そーだオッサン、とりあえず五月雨が居ない間、そのネーちゃんに秘書艦してもらえよ」
「え?やだよ、だってHでキレーで巨乳じゃないじゃん」
ヘレナくんはワールドクラスのパイオツが揃うMAJOR出身でありながら体格にはあまり恵まれなかったらしく、その、わりと貧相な佇まいは資本主義社会の闇を感じさせてくれる
「ハァ?Helenaにナニか不満があるとでも?」
「あるよ、巨乳になって出直してき…」
メコォ!!!(顔面パンチ)
「あぶろぉ…!」
「Helenaが、ナニ?」ニコォ…
こ、このアマ!!提督の美しい顔になんの躊躇いもなくパンチを…ッ!!クッ…!鼻血が止まらん!
「…ヘレナくん、提督はね…巨乳が好…」
ドゴォ!!!(顔面パンチ)
「ゴアッ!!」
「Helenaが、ナニ?」ニコォ…
コイツ、正気かッ!!提督の美しい顔を二度も…ッ!!しかも今のパンチ、一撃目より明らかにパワー、スピード共に増していた…
たしか前にアイオワが、HelenaのPunchに三発耐えられたら地球1のタフ・ガイネ!HAHAHAとか言ってたな…
「………ヘレナくん」
「ナニ?Helenaにナニか謝りたいコトがあるの?いいわよ、Helenaは優しいから聞いてあげる」
「ボクはね、巨乳が…」