【登場人物】
提督(自称ハンサム)
お誕生日にはケーキを買う
五月雨(秘書艦)
誕生日じゃなくともケーキは食べる
「オイ、机の引き出しに入れといた箱知らねーか?」
「箱?どんなやつですか?120サイズですか?」
「そんな箱が引き出しに入るかボケ、舐めてんのかテメーは」
春、血湧き肉躍るこのうららかな季節…
そんな爽やかな春の執務室にて、悪夢は静かに幕を開けていることを、この時俺は気付く事ができなかった…
「アレだよ、アレ、指輪が入った小箱だ」
「指輪…?あぁ、呪いのリングとか言うヤツですか」
「ナニが呪いのリングだ、上層部に謝れ」
…とは言ったものの、五月雨の言った呪いのリングという名称もあながち間違いではない
一度指に嵌めたが最後、決して外すことが出来ず、その頑強さはシャ●クだろーが教会で金払おーが外せないらしく、限界を超える強さと引き換えに大切なものを失ってしまうことから、あの指輪、カース・オブ・アドミラルと一部では呼ばれている…
以前、上からK.K.K(ケッコン・カッコ・カリ)お試しセットとか言う名目で送られてきたのだが(着払いで)…
どうにもうさんくさいアイテムなので机の中にしまっていた
だいたいアレだ、指輪嵌めるだけで強くなるとか雑誌の広告かっーの、勝ちまくりモテまくりかっーの
「アレ、わりと貴重なモノでは?」
「貴重か貴重ではないかっーと微妙だな、たしか全国の明石の店にも売ってるってハナシだし」
たぶんウチのピンクはそんなうさんくさい商品を入荷してないだろうが…
「まぁいい、見かけたら返せよ」
「見かけたら返しますけど………ってかいいんですか?アレ、もし誰かが拾って嵌めたりしたら…」
「大丈夫だろ、指輪は“資格”のあるヤツにしか使えないらしいしな」
指輪は“資格”のある者を自ら選ぶ、もし指輪から資格がないと判断されれば指輪のパワーの先へは進めない、ふふふ…器ではなかったのだよこの未熟者がァ!
「ならいいんですけど…」
「なんだ?オマエにしては随分心配性だな、珍しく」
「まぁ、たとえばの話ですけど、アレを由良さんとか邪悪の化身が手に入れたらどうなるのかな〜…と」
「邪悪の化身って……オマエ、唯一の同期になんてコト言うのかね、この子は」
せめて邪悪のDNAとか、悪のエリートとかにしてやればいいものを……
「………しかし、それはハッキリ言ってマズいな」
「でしょう?」
あの由良さんが練度と言う限界を超える……それはもうかなり絶望ではないだろうか?太陽の光を背にして立つ由良さん、無敵…ッ!もう誰も敵わない…ッ!究極生物の由良の誕生に人類は震えなければならないッ!!
「マジでどこやったんだ?アレ」
「知りませんよ、ってか提督、こないだ机の整理してませんでした?」
「したよ、いらねー書類とかキャバ●ラの領収書とか整理したよ」
「それ絶対経費で落としませんよ」
「バカ言うんじゃないよ、交際費ってヤツだ、交際費」
しかし思いつく限り、机の中を整理したのはまさしくつい先日のコト、まさかあの時、いらないもの袋に一緒にポイしてしまったのでは…?
「オイ、ウチはゴミ袋どうしてるんだ?収集車が持ってくのか?」
「たしか燃えるのは焼却炉で燃やしてますよ、ほら、あそこに煙突あるし」
「ホントだ、いまどき珍しいのな」
ーーー
とりあえず、燃えるゴミを集めた焼却炉の前へやって来た俺と五月雨だが…
「この中から探すのか…」
「帰っていいですか?」
「マミー屋のお高いやつ買ってやるから手伝え、な?」
ハッキリ言ってこの中から探すのはかなり至難の技と言えよう、しかも燃えるゴミ…
とりあえず足元に転がってるやつから開けてみるか…
「……誰のパンツだコレ?キタネーなぁ、黄ばんでんじゃねーっーの」
「そのサイズだと大人の人じゃなさそうですね、ってか、下着漁りしに来たワケじゃないでしょ…」
「好きで漁ってねーよ、ハッ!?ま、まさか……この中、いや、フフ…下品なんですけど、浜風ちゃんの下着、もあったりするのかなぁ?」
「さぁ?無いとは言い切れませんけど…ってかホントにキモいです」
「キモくない、提督だ」
思わぬお宝が眠っているかもしれない!その、ステキなワクワクが提督を行動させたッッッ!!
集中しろ、呼吸だ、呼吸を整えて感覚を研ぎ澄ませ!このゴミの山から目的のものを嗅ぎ分けろ!浜風ちゃんのパンツ!浜風ちゃんのパンツ!俺になら見つけられる…っ!
「その集中力を指輪探しに使ってください」
「そうだな、いや……そうだ、すまない、つい興奮して」
「長い付き合いですけど、ドン引きです」
「ドン引きじゃない、提督だ」
さて、しかしマジでこの中から見つけるのはダルいな、そうだ!金属探知機!金属探知機でピーピーやるのはどうだろうか?
「サミー子、金属探知機持ってないか?」
「持ってるわけないでしょ、そうですね……夕張さんなら持ってるかも」
「それだ!」
「呼んでみましょうか?」
「よし、今すぐ金属探知機持って来いと伝えろ!」
ーーー
「お待たせしました、金属探知機です」
「…足があるな」
「えぇ、足なんか飾りです」
五月雨経由で夕張に今すぐ金属探知機を持って集合と連絡させたワケだが……
夕張の持ってきた金属探知機と言う名のマシーンは、俺の知ってる金属探知機より、大きく、分厚く、重く、そしてメカメカし過ぎた…
「コレ、オ●ガじゃねーか!古代ロンカ文明が作り出した殺戮の為のマシーンじゃねー!」
「いえ、コレは一見オ●ガっぽく見えますが立派な金属探知機です、各部に搭載されたセンサーにより対象を速やかに発見、排除することができます!」
「排除してんじゃねーよッ!!」
ギリギリギリギリギリギリ!!(OLAP)
「イダダダダダ!!痛い痛い痛い痛い!痛ァァァァ!!ギバ!ギバーップ!!」
怒りのOLAPから解放された夕張は両腕をプラプラさせて立ち上がり、不気味な笑みを浮かべた…
「ったく、フツーの金属探知機持ってこいや!フツーの!」
「あ、提督、アレ…」
「なんだ?」
ナニかを見つけたらしい五月雨の指差す方向を見ると…
ゴミの山からなんか鳥が小箱を突いて中からキラリと光るものを啄ばんでいたッ!!
「あったァァァァァァァァ!!この鳥野郎!フライドチキンにしてやるぜー!」
『!?、ギャース!ギャース!』
ダッシュした俺より速かった!指輪を咥えた鳥は俺に鳥キックをかまし、そのまま山の方へと飛び去って行った…
「クソ!逃すかよ!夕張、波動砲だ!波動砲で撃て!」
「いや、コイツ、オ●ガじゃないでプロトタ●プがベースなので波動砲ついてないんですけど…」
「ファックス!!使えねーなオイ!」
「まぁ、結果としてはアレですが、いいじゃないですか、誰か変な人に拾われてリングの力で魔王降臨とかにならなくて…」
「フン、まぁそれもそうか、サミダーツ、卿の意見を是とする」
「それはどうも、あと、五月雨です」
こうして、指輪は永遠に失われ、闇の魔王降臨の危機は去った…………ハズだった
3日後…
ーーー
朝、今日もさわやかで知性溢れるハンサムな執務室…
「おはようございます、提督、テレビ見ましたか?」
「おはよう、テレビ?今日のおは朝の占いなら青髪ロングで白系の服のアナタ、今日死にまーすとか言ったぞ」
「そんなつまらないジョークはどうでもいいです、ほら」
「んだよバカヤロー、どーせつまんねー芸能ニュースだろ…」
執務室のテレビのスイッチを入れると、どの局も同じようなニュースばっかだな…
え〜…なんだって?突如として現れたトーナメント・マウンテン、この山を制するタッグ・チームこそリアル・タッグ・チャンピオンだーッ!か………ゴクローなこった
「コレがどーしたよ?」
「この山の1番上、よく見てください」
「1番上だぁ?」
…………見たところナニもないように見えるが、なんだよ、トロフィーとか刺さってるんじゃねぇのか?サギだな、コレは
「ナニもなさげに見えるが?」
「あるんですよ、ってか刺さってるんですよ、こないだ鳥に持っていかれた指輪」
「ハァ?」
指輪って……アレか!?カース・オブ・アドミラルか!なんでそんなトコに!
『この山の頂上に刺さっているあのリングこそ艦娘の限界を超える指輪!嵌めれば全てを超越した
『なるほどー!あの伝説の!』
ナニ言ってんだテレビ屋ァァァァァァァァ!!変なコト言って煽るんじゃねぇよォォォォ!!
「…どうするんですか?」
「…どうするも何も、アレは俺のだよ」
っーかなんなんだよ!トーナメント・マウンテン!!意味がわからねぇよ!!
「チッ、しゃーなしだな、奪られたモンは奪り返す!それが俺達じゃねーのか?サミー、なぁオイ?」
「達ってまとめないでください、達って」
「よし!サミー、オマエ、トーナメント参加してサクっとアレ回収してこい!」
「え?普通にイヤですけど?」
次回
夢の艦娘タッグトーナメント編
熊野でございますわ
全8チームが参加する予定ですの
一応、既に決まってる組はありますが、半分くらい決まってない組がありますので名コンビがあれば教えていただけると助かりますわ!
採用されるとマ●ルドマン並の扱いをお約束しましてよ!
しましてよ!