不健全鎮守府   作:犬魚

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美術5

【登場人物】

提督(才能0)
美の信奉者

山風(才能3)
美とかワリとどうでもいい




提督と山風と絵の心

1月も終わり、季節はいつの間にやら2月…

まだ外気は肌寒いと感じるそんな2月の執務室で、たまには真面目にレポート的なものでも書くかと真面目に仕事に従事していると、執務室の扉を勢いよく開き、緑色のトゲトゲしい頭をしたのがやって来た…

 

「…遊びにきた」

 

「山風クン、執務室は遊びに来るところじゃあないのだよ」

 

緑色のトゲトゲしい頭に毛のないネコを乗せた山風は執務室内をぐるっと見回した

 

「…五月雨姉ぇは?」

 

「今日は休みなのだよ、なんか豆買いに行くとかなんとか言ってたな」

 

「…ふ〜ん」

 

わかったようなわかってないような、どちらとも言えない気のない返事をしつつ山風は空いている秘書艦サミー子の秘書艦机の椅子に座った

 

「…今日は、私が秘書艦、する」

 

「あぁ…そう、うん、そうね、ヨロシク」

 

とりあえず邪魔にならないなら放置しといて構わんか、むしろ秘書艦だからといって頼む仕事はないし…

 

「…なんかない?」

 

「ないのだよ、とりあえずテキトーな紙に絵でも描いてたらどうかね?」

 

「…絵?なんの絵?」

 

「そうだな、絵は心のままに描くのがいいんじゃないかな?風景画、静物画、人物画、博物画、宗教画、己の心に宿る美を意識することから始め、それを可能な限り表現するといい」

 

「…もうちょいわかりやすく」

 

「そのキモいネコでも描いてみたらどうかね?」

 

「…キモくない、よく見なくてもかわいい」

 

よし、とりあえずこれで俺の邪魔にならないだろう、そして俺は山風から見たら自分の机でポテチを食べつつ書類仕事をしているようにしか見えない

焦る必要はない、一枚づつポテチを袋から取り出し一文字づつ正確に書けばいい

 

「よし、このレポートも完成だ」

 

さて、今日の昼飯はなに食うかな……普通にラーメンか、普通にうどんか、いや、ここは普通に焼きそばあたりがいいかもしれん

 

「…できたよ」

 

そんなお昼のランチについてイイ感じに考えていると、山風は何やら描いたらしい紙を持ってきた

 

「早いな、どれ…」

 

うん…………奇妙な生物画か、正直、俺も絵に関しては他人に対して言えたモンじゃないぐらい絵心はないが、コレはクソ下手な部類に入るだろう

 

さて、俺はコレをどう評価するべきか、ストレートにクソだなと評するべきか、オブラートに包んでクソだと評すべきか………こんな時、俺はどうすべきなのでしょうか香取先生!

 

「…どう?」

 

「………まぁ、モデルがキモいしな」

 

「…キモくない、よく描けてて可愛い」

 

どんだけこのクソキモいネコ可愛がりなんだよコイツは、どう見てもキモいじゃねーか、しかも妙に愛嬌ないし、ネコのくせににゃあとも鳴かない

そんなキモいネコについて考えていると、執務室の扉が勢いよく開き、新たな侵入者が入って来た…

 

「ティーッス、どこに出しても恥ずかしくないちょっとエッチでワリと気安いメインヒロインオブメインヒロイン鈴谷様が遊びに来ましたよォ〜」

 

「やかましいぞ、ビッチが」

 

「ビッチじゃねーし、ってかサミーは?いなくね?」

 

「今日は休みだ、ビッチが」

 

「だからビッチじゃねーし!っーかチビスケェじゃん、ナニやってんの?」

 

「…チビスケェじゃない、山風」

 

ビッチはハイハイそーですかとか言いつつズカズカ執務室に入り、備え付けの冷蔵庫を開けてカル●スウォーターのペットボトルを取り出しグラスに注ぎ…

 

「ぶはっ!うんめー!」

 

「うんめー!じゃねぇよ、ナニ勝手に飲んでんだテメーは、上半身と下半身をAパーツとBパーツにバラされてーのか?」

 

「残虐ッ!!刑が残虐過ぎる!」

 

「俺は昔からおばあちゃんにビッチには一切容赦すんな、二度と甦らないようにハラワタをブチ撒けろ!と言われてたからな」

 

「なんなの!?テイトクのおばあちゃんビッチになんか恨みでもあんの!?」

 

「知らん、だが、おばあちゃんっ子である俺はおばあちゃんの忠告に従う義務がある」

 

特にこの鈴谷に関しては要警戒どころかビッチ係数オーバー300のエリートビッチだ

 

「っーか鈴谷ビッチじゃねーし、ってかその変な絵ナニ?百鬼夜行?ウケるんですケド」

 

ビタンッ!!(ローキック)

 

山風怒りのローキックを浴び、鈴谷はうっぎゃあー!とか言いつつそこら辺を跳ね回った

 

「痛てぇし!!オイコラ、チビスケェ…ナニしてくれてんの?アーン?」

 

「…チビスケでもないし、変な絵でもない!」

 

「アーン?聞こえないじゃーん?」

 

鈴谷に胸ぐら掴まれて吊り上げられた山風はキックで応戦しようとするも足が!足が届かない!!体格によるリーチの差はやはり大きい!

 

「無駄無駄無駄ァ、脆弱で矮小な駆逐艦などこの鈴谷様の敵ではないわー!ヒャーッハッハッハッハ!」

 

「よさんか、見苦しい」

 

「ハァー?見苦しいー?」

 

ま、それもそうかと山風をリリースした鈴谷は再びカル●スウォーターのグラスを呷った

 

「だいたいお前、ナニしにきた?先に言っておくが俺は仕事中であり忙しい、あとお前に小遣いをやる義理もない、小遣いが欲しけりゃいつもみてーに街行ってパパ活でもしてろ」

 

「パパ活とかしてねーし」

 

「じゃブル●ラショップにでも行ってパンツ売ってこいよ、そのアンモニアクセー尿漏れパンツをな」

 

「アンモニアくさくねーし、ってか尿漏れとかしてねーし」

 

「…テイトク、ブルセ●ショップってナニ?」

 

「山風クンにはまだ早い店だな、村雨にでも聞いてみろ、たぶん詳しい」

 

…後日、山風が村雨ではなくよりによって海風姉ちゃんにブ●セラショップについて尋ね、怒り狂った海風姉ちゃんが執務室に来たのはまた別の話

 

「…ちなみにこの絵は百鬼夜行じゃない、ネコの絵」

 

「ネコ?あー……そのなんかキモいの」

 

「…キモくない、可愛い!」

 

山風はネコを定位置の頭に乗せて鈴谷にグイグイ押し付けるが、鈴谷は、うわ!なんかグニュっとする!とごくごく当たり前の感想を吐いた

 

「ネコの絵ねぇ、よし…」

 

鈴谷はそこらにあった紙とペンを手に取ると、山風に動くなよ〜…とか言いつつペンを走らせた

 

「なんだ?お前、絵とか描けるのか?」

 

「まぁ、鈴谷、美術は成績良かったし、美術5!」

 

「保健体育5の間違いだろ」

 

「うっさいな、ほら………えー……ほら!出来た!」

 

そう言って鈴谷が自信満々見せた絵は……

 

「…ビッチお姉さん、意外と絵が上手い」

 

「だからビッチじゃねーし、ってかどーよ?美術5!」

 

意外…ッ!!たしかにワリと上手い!!この短時間でこれなら時間をかければ…

 

「お前、絵が描けたのか?」

 

「メインヒロインは絵が上手、これは既に常識じゃね?」

 

「グゥゥゥム、意外な特技だな」

 

「ちなみに、ピアノも弾けるじゃん」

 

「マジかお前、まるでお嬢様だなオイ」

 

「まるでもナニも鈴谷はワリとお嬢様育ちだしね!小中高一貫のお嬢様学校出てるしね!」

 

ちなみに高雄姉妹と妙高姉妹は河を挟んで対立する工業出身、古鷹さんは摩天学●高校とか言う女子校出身らしい

 

「ま、メインヒロインとしてはトーゼンじゃん?フッ、テイトクにもわかる?このオーラが」

 

「いや、全くオーラ感じねぇけど」

 

「ファーックス!!」


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