不健全鎮守府   作:犬魚

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ゴトランドさんのOKAGE

【登場人物】

提督(理解ある大人)
愛=理解

Gotland(理解の外にいる野獣)
常に真実の愛を求める狩人、獲物への感謝は忘れない


提督とGotlandと獲物の季節

寒い寒いと感じつつ喫煙所にタバコ吸いに行くかと歩いていると、自販機コーナーのベンチのところで北欧から来たプッツン軽航巡がうなだれていた…

正直なところ、コレは無視するのが正解であり、正しい大人としての対応なのだろう………が、俺はこう見えてもこの基地の絶対支配者であり最高司令官でもある、それがどんな些細な悩みであろうと部下の悩みを解決、もしくは解決への手助けをするのは当たり前のコトだ

 

そんな上司の鑑であり、理解ある提督である俺はうなだれるゴトランドに声をかけてみた…

 

「ナニやってんだ?オマエ」

 

「…ん?あぁ、テイトクじゃない、ナニか用?」

 

「用は無い、むしろオマエに随分と覇気がないように見えてな」

 

俺はゴトランドにナニか飲むかね?と尋ね、ゴトランドの野郎はミルクティーを…と答えたので、後ろの自販機でミルクティーを購入してゴトランドに渡し、ベンチに座った

 

「で?ナニかね?オジサンこう見えてもこの基地の提督だからね、悩みがあるなら聞こうじゃあないかね?」

 

「悩み………悩みね、まぁ、悩みと言えば悩みか」

 

「ほらほら、言ってみたまえよ、金か?金の話か?」

 

「なんでお金の話なのよ、ハァ…まぁいいわ、アレよ、アレ」

 

ゴトランドはミルクティーをグィーッ!と飲み干し、缶をベンチに叩きつけた、っーかアレアレで通じるワケねーだろ、舐めてんのかコイツは、そもそも俺とコイツはお互いに好きな音楽のジャンルすら知らない仲なのだよ

 

俺はアレアレ言ってるゴトランドのお腹に優しく拳を当て…

 

「フーッ〜………噴ッッッ!!」

 

ドンッ!!!(お腹パンチ)

 

「オゴォ!!?」

 

俺の光る内氣勁お腹パンチを受けたゴトランドはベンチから転げ落ち光る吐瀉物を吐いて転げ回った…

 

「オ゛エエエエァァァァ……」ビチャ…ビチャ…

 

「オイオイ汚ねーなオイ」

 

「ゴホッ…!!ゴブッ!な、なんでいきなりゴトのお腹殴ったの?」

 

「アレアレじゃわからん、もっとワカりやすく言いたまえ」

 

「く…」

 

「あ?」

 

「口で言えやァァァァァァァァ!!」

 

床に転がっていたゴトランドは勢い良く跳び上がり強襲のニードロップ!!悪くない反撃だ、並の提督なら顔面を砕かれるだろうが残念ながら今、オマエの前に立っている提督は並の提督ではない、知と力を兼ね備え、なおかつハンサムな完璧の提督なのだ

 

「ふんっ!」

 

ガンッ!!(完全ガード)

 

「チイッ!!堅いッ!」

 

「いい判断だ、反撃技の選択、強度、そして殺意も十分」

 

「お褒め頂きどーも」

 

お腹パンチによるダメージはまだ完全回復していないであろうゴトランドだがやる気は十分、ファイティングポーズをとりカマン!と右脚を前に出す!

 

「まぁ待て、オマエの実力はよくわかった、そしてオマエも俺の実力は理解したハズ、とりあえずミルクティーでも飲むかね?」

 

「そうね、頂くわ!」

 

俺は自販機でミルクティーを購入してゴトランドに渡し、まぁ座りたまえとベンチの空いているところをほらここ!ここ座れよとバシバシ叩いた

 

「で?前置きは長くなったが、どんなくだらん悩みだ?」

 

「くだらなくないわよ!深刻な悩みよ!」

 

「なんだ?どうせアレだろ?女の悩みなんてのは最近ちょっと太っただの腰回りがアレだの肌のむくみがどうだの9割はくだらねーコトなんだよ」

 

アレだ、飲み屋の話と床屋の話と女の話っーのは大抵がくだらねーどーでもいいコトなんだよ、うん

 

「…最近、岸ちゃんから避けられてる気がするのよ」

 

「そりゃオマエ、フツーに避けられるだろ」

 

「なんでよ!?」

 

コイツ、岸クンにドン引きされる蛮行を散々働いといて自覚ねぇのかコイツ、やっぱタチ悪いな…

 

「…ハッ!?ま、まさかアレかしら!岸ちゃん、まさかゴト以外に好きな子ができたとか!」

 

「岸クンに好きな男…?ハハッ、参ったなこりゃ」

 

「なんでテイトクが照れるのよ、ってかキモっ…」

 

「キモくない、提督だ」

 

俺の小粋なテイトクジョークにプンスコするゴトランド………まぁ、仮に岸クンが彼氏連れてきたらこの俺自ら殺してくださいと懇願するまでボコボコにして玄界灘に捨ててやるわいガハハハ

 

「まぁ岸クンだって気難しくて多感な歳頃だしな、そーゆー時期だってある」

 

「そ、そうかな…?」

 

「それにアレだ、岸クンはかわいいからな、そりゃモテるだろうし何の不思議もない」

 

駆逐艦の中でもスーパーエリート駆逐艦と評される夕雲姉妹、中でも岸クンはどこか大人びた感じで気配りもでき、ゆるふわヘアーの似合う才女だ

 

「じゃあナニ?岸ちゃんは気難しくて多感なオトシゴロだからゴトと距離を置いていると…」

 

「然り」

 

もしくは、マジでオマエを嫌っているからだ、と言う言葉を呑み込んだ俺は空気の読める大人である

 

「なるほどね、つまり……別に嫌われているとかじゃないのね!」

 

「…」

 

「なんで黙るのよ!!」

 

「その質問に答えるメリットを感じないからだ、あと、顔が近い」

 

相変わらず悪い意味でグイグイきやがるなコイツ、っーかグイグイくるせいでグイグイ当たってるが、コイツ結構乳デケーな、もし俺が(ピュア)若僧(グリーンボーイ)だったらムスコさんカチンコチンになっただろう

 

知性と理性に溢れる俺はそんなくだらないコトを考えていると、廊下の先からその、岸クンが歩いて来た…

 

「あ、テイトク……とゴトランドさん、こんにちは」ペコォ

 

「うむ、こんにちは」

 

「こんにちは岸ちゃん、今日もかわいいね!」

 

う〜む、コイツがかわいいねと言うと変質者感が増すのは何故だろう

 

「ゴトランドさん、ちょっと頼みがあるんですけど…」

 

「ナニ!?岸ちゃんの頼みならなんでも聞いちゃうわ!お金?それとも権力?岸ちゃんが望むならこのクソメガネ今すぐ殺してこの基地の全てを与えるわ!」

 

このクズが、本来ならばその不敬、今すぐ死をもって償わせるところだが………まぁいい、小粋なジョークとして流してやろう、何故なら俺は心が広く懐が深く慈愛に満ち溢れた提督だからな

 

「そんな物騒なものはいらないです」

 

「あら?そう、残念だわ」

 

「ゴトランド、オマエとは後で話があるので地下の拷問室まで来るよーに」

 

よし、神州丸クンに頼んで闇ギルド特有の洗脳術とかヤって貰おう…たぶん、なんかそれっぽいのあるだろ、うん、目からハイライト消えるヤツみたいな

 

「ゴトランドさんの飼ってる黒いやつなんですけど…」

 

「黒いやつ?あぁ、ゴトシープのこと?」

 

「それです、ちょっと触らせて貰えないかなと…」

 

「いいわよ、そんなのお安い御用よ!岸ちゃんは何匹欲しい?2匹?3匹?」

 

「いや、1匹でいいです、あ、でも、できれば大きい子がいいかな…」


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