不健全鎮守府   作:犬魚

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イベント終了したのに遅延中のだらしないお話ですまない…

【登場人物】

深海竹棲姫(ラスボス)
イキリ駆逐艦2号、驚異の超射程雷撃能力を持つ深海期待のスーパーエース、駆逐林棲姫は親戚の子


竹の輝き

前半の海とは違う海の豪傑どもがウヨウヨする後半の海、ルソン島沖/オルモック沖…

 

「誰だよ!回避不可で航空戦4連戦とか考えたヤローは!!」

 

「痛い!!このクソキモ鳥、噛みやがったー!」

 

「チクショウ!!こっちは空母がいないってのに…!」

 

「あったよ!Atlantaと5inch連装両用砲(集中配備)とGFCS Mk.37が!」

 

「でかした!」

 

前半戦、苛烈な航空アウェーの洗礼に苦戦しつつも輸送チームは無事に任務をこなし、この海域を支配するBOSSへの挑戦権を手にいれた我々は新たにBOSS攻略チームを編成、この海域の奥で待ち構える深海竹棲姫を打倒するべく小●宙(コ●モ)を燃やすのだった…

 

ーーー

 

『駆逐林棲姫ガマタヤラレタダト?』

 

『ヤツハ駆逐姫級ノナカデハマァマァノ実力者…』

 

『駆逐姫級ノ恥サラシメ』

 

この海を制圧する深海棲艦のヘッド、深海竹棲姫…

駆逐艦離れどころか軽巡や雷巡にすら不可能な第一艦隊の超々長距離からの精密射撃能力を持つ深海期待の駆逐姫級スーパーエース…

 

前回の戦いで、海軍に腹ボコォ!になるほど殴られ深海記念病院に入院していた駆逐林棲姫は彼女の親戚であると同時に仲の良い友人だった…

そんな駆逐林棲姫が、海軍のヤツらにリベンジしたいと頭を下げてきた時は正直言って悩んだ…

 

チームは既に決まっていたし、その為のフォーメーションは既に成熟・機能している以上はいたずらにチームを変えるのはどうかと思ったが………アイツの目は死んでいなかった

かつて深海小学校で二人、ミュージシャンになりたいと語り合ったあの頃と同じ目…

 

『ッテ、負ケテルジャネーカ!!』

 

そもそもあまり期待はしてなかったが普通に突破されてるじゃねーかあのバカ、ナニがリベンジだよ、航空戦四連打のオマケまで付けてやったのに!!

 

『……マ、シャーナシダナ』

 

『深海竹棲姫クン!海軍ダ!海軍ガ来ヤガッター!』

 

『クソッ!海軍ドモメ!』

 

『野郎共!海軍ヲ滅ボセー!』

 

苛烈・残忍・残酷、いくつもの哀しみの海を越えてやって来た海軍の精鋭部隊…

 

「ひーふーみぃー……おーおー、深海のクズどもウヨウヨいますわねぇ」

 

「榛名サン、アレ、全部死刑でいいんでしょ?」

 

後に、オルモック沖の決闘と呼ばれる決戦の火蓋が今、切られようとしていた…

 

◆◆◆

 

一月のゴキゲンな執務室…

 

「ハイ!ハイ!ハイ、そーゆーワケでして…ハッ!いえ、決してそのようなコトでは、ハイ、えぇ!やはり身の丈にあった挑戦をするべきと……ハイ、重々承知しております、ハイ!ですので、今回も確実たる勝利の吉報をお知らせできるかと……ハイ!誠心誠意励ませて頂きます!それでは!」ペコォ!!

 

俺は受話器を静かに電話器の上に置き、胸ポケからタバコを取り出した…

 

「ペコペコ具合がなかなか堂にいってますね」

 

「やかましい、サミー、アツい茶だ」

 

上への儀式的な電話を終え、今回も輝く甲勲章は目指さない、俺が求めるのは確実なる“勝利”…

 

「余裕で倒せる、レベルのね❤︎」

 

「紅茶ですか?緑茶ですか?あと、言ってることスンゴイカッコ悪いですよ」

 

「やかましい、紅茶にしてくれ」

 

「紅茶ですね」

 

しかし毎度毎度こうやって難易度に関して申請しているが、昔はこんな制度なかった気がするのだよ

と言うか、以前は丙=なさけないヤツのレッテルを貼られていたが、今や丙はなさけないヤツではない不思議…

 

「そういや今回、時雨様が出陣てるんだっけか?」

 

「あー…たしか出てましたね、なんかイマイチ気が乗らなげでしたケド」

 

「意外だな、時雨様にも気が乗らないとかあるのか?」

 

「ありますよ、意外と天気とか気にする繊細なタイプなんですよ、時雨様」

 

「ふ〜ん」

 

そもそも姉妹からごく当たり前のように様付けされるのが異常な気がするが、それがまるで自然で当然な事のように思えるのもまた、時雨様の持つ天性の才能なのだろう

 

そんなコトを考えつつテレビのチャンネルを現場の中継に変えると、既に大勢は決したらしく、島風が姫級っぽいヤツの腹に蹴りをブチ込んでいた…

 

「あー…コレは肋骨イきましたね、紅茶です」

 

「うむ」

 

見たところ時雨様はまだ無傷で屈伸とかしてるし、たぶんコレは勝つ流れだろう…

 

「時雨様まで打順回りますかね」

 

「どう言うコトだってばよ?」

 

「だって、雪風様が右腕を既にハンマーコックしてますし…」

 

全身の血流操作により筋肉の伸縮と急速な活性化を利用して驚異的なスピードで拳を放つ雪風様にだけ許された絶対破壊攻撃(アブソリュート・ブレイク・ショット)

今まであのマグナムに耐えきれたヤツは数えるほどしかおらず、数多の深海棲艦を撃破してきた必殺の拳…

 

そして…!今やその拳は雪風様と共に新たなるステージへと進化を果たしているッッッ!!

 

ーーー

 

後に、病院のベッドの上で深海竹棲姫は我々にこう語ってくれた…

 

えぇ、死んだと思いましたね、俺、今日死ぬんだって不思議と確信してました…

避ける?ハハ、無理ですよ、アレと目が合ったら誰だってそうじゃないかな?そう、生物なら誰だって持ってる……“本能”ってヤツですかね、こう、身体が硬直して、頭では逃げなきゃって思うんですけど、身体は動かないんですよ

殴られた瞬間?さぁ…?あ、来るぞっ!と思ったらもう終わってましたね、怖いとか痛いとかそーゆーのなかったですね、不思議と

センパイ達から“死神”の噂話だけは聞いてはいたんですが、なんと言うか……もっと恐怖と絶望でおしっこチビるってイメージでしたけど、聞いてたよりずっと優しい“死神”でしたね…





周回遅れだァ!

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