【登場人物】
日女大佐(後輩)
次期長編回“姫巫女の座”の死亡フラグ
提督(先輩)
難関国家資格一級フラグ建築士未所持
秋の特別選抜演習、各地から斡旋された優秀で将来的に有望な将校達が己の下で鍛えぬかれた艦隊を指揮し、戦って、戦って、戦い抜いて、自艦隊の勝利を掴むべく挑むこの戦い…
序盤戦はどの艦隊もまずは様子見から始まるだろうと予想されていたが、開戦直後、蓮華院大佐率いる艦隊と日女大佐率いる艦隊がそれぞれ最も近い艦隊に全速で強襲、この日の為に考えぬいた作戦や陣形を嘲笑うように戦いは一気に六艦隊全戦力による乱戦へと突入した…
「あのヤロー、やりやがった」
「やりやがった、と言うか、事前に組んでたんですかね?ヒメさんと蓮華院大佐さんは」
「どうだかな」
組んだと言うよりは、結果的にお互いに同じ考えに至った感じだろう…
たぶんヒメ的には開戦強襲からの青写真描いてたろーが、この乱戦が想定内かどうだったかはアイツにしかわからん…
「しかし結果的に流れはキてるな、乱戦になれば力勝負と考えがちだが、勝負は卑劣さと卑怯さで決まる」
「さすが、卑劣さと卑怯さを自然に着こなす快男児は言うコトが違いますね」
「褒めるなよ、兵が見ている」
「見てませんけど?あ、私が見てますか」
「相変わらず卿にはジョークのセンスが皆無だな、軍を退役後コメディアンスクールに通ってはどうだ?」
「それも悪くありませんね、ただ、そのコメディアンスクールに一流の講師が在籍し、講義を行なっていれば、ですけど」
◇◇◇
「チッ、やっぱ数が多いっすね」
とりあえずグチャグチャに掻き回すっーセンは上手くいったっすけど、さすがに相手も歴戦の勇者揃い、崩れ方も悪い意味で想定内にしかなってない
ウチの基本的戦法は3人がかりで1人を囲むトライアングルフォーメーション……
ただし、孤立した仲間にヘルプしに入られたら即離脱させてるのであまり敵の数が多いとなかなかどうにも上手くいかない現状…
「ふ〜っ〜……参ったっすねぇ」
液晶パネルに表示された現在の戦況、ウチは大破無しで現在3位ってトコっすが〜………あ、また1つ大破判定出た、また蓮華院のヤローんトコがヤりやがったっすね
ま、ウチの娘じゃないなら誰をヤってくれてもいいんすけど…
っーかあの女、マジでウチの娘には手ぇ出してこないし
かと言って、露骨な共闘を見せつけないよーに牽制だけはするし、なんなんすか?舐められたものっすねと言いたいトコっすよ
『ヒメ、どうすればいい?』
「とりあえず、そのままっすよ」
『了解』
さてどうしたものか、宣言通りに勝ちを譲られるのも癪だし、単純にムカつくんで後ろから殴ってやりたい気持ちもあるっすが…
「う〜ん」
………まぁ、いつか殺すとは思っちゃいても、それは今じゃない
むしろここで勝ちポイント貰っといてさっさと上に昇って権力を手にし、私の目的を達成させる方が優先っー気持ちもあるんすよね
ムカつくっすけど蓮華院は優秀っす、上手く扱えば優秀な手駒になるとは思うんすけど〜………アイツたぶんガチ●ズなんすよね…
いや、わかるっすよ?あの目は“恋”をしている目なんすよ、しかもタチの悪いコトに性的な願望より純粋でキレイなものを見てる目っす、平たく言えば、汚い●ズではなく綺麗な百合っーヤツっすか
「う〜ん……」
よし、決めた
「あー、あー、ヴェーちゃん、聞こえるっすかー?」
『聞こえてるよ、なんだい?』
「………ヤっちまえ」
『了解』
◆◆◆
「やりやがったあのヤロー」
「大破判定されて転がった艦を盾にするとかなかなか出来ることじゃありませんね」
まぁ、そこまでやっときながら最終的戦果は2位、さすがに火力と思いきりが足りなかったのと肉盾戦法が周り全てを敵に回し集中砲火を浴びたのが敗因か
「たまに思うが、アイツ、アホなんじゃないだろうか?」
「う〜ん、アホかアホじゃないかって言われたら、どちらかと言えばアホですね」
「曖昧だなオイ」
「まぁ、提督としてはなんやかんや邪険にしつつも可愛い後輩ですよね」
「可愛いくはねぇな、ウザいが」
しかしアイツ、何考えてんだ?選抜戦2位の戦果は大したもんだが、もうちょいスマートにやれただろうに…
これから先、上を目指すのにわざわざいらん敵を増やしたのは失敗だろ
「まぁそこら辺、よく似てますよね」
「似てねぇよ、っーか似てるとしたら俺じゃないで