不健全鎮守府   作:犬魚

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前中後の中編、選抜戦開始

【登場人物】

日女大佐(糸目)
勝敗は常に顔で決まる

蓮華院大佐(お嬢様)
後輩の後輩、人格には些か難がある


提督と後輩の後輩【中編】

センパイに相談と言う名の名目で会いに行って数日後…

まぁ、予想通りに大して相談にはならなかったが、久々に会ったんだから酒ぐらい付き合ってやるよと言ってくれたのでセンパイの財布がカラになるほど付き合わせた…

 

「で?どうなんだい?今日、勝てそうなのかい?」

 

「は?ナニ言ってんすかヴェーちゃん、フツーに勝つっすよ?」

 

「そうかい」

 

頼れる秘書艦ヴェールヌイちゃんことヴェーちゃんは私の返答に特に不安な様子もなく、チームのメンバー達に楽しんでハラショーぜと言ってハラショーしていた…

まったく、ヴェーちゃんはホントによくデキた子っすね

 

「やれやれっすね」

 

相手は全て私と同じ階級、海軍大佐…それも、特別選抜に選ばれるレベルと言うコトは大佐の中でも手練れの上級大佐…

 

その中でも一番厄介なのが………

 

「ヒメちゃん!嗚呼…やっぱり!ヒメちゃん!お久しぶりですー!」

 

「…ちゃん付けすんな、馴れ馴れしいんすよ」

 

資料を片手に考え事をしていると、その、一番厄介な相手が満面の笑みを浮かべ小走りに駆け寄ってきた

 

「なんなんすか?演習前に私を毒殺でもしに来たんすか?蓮 華 院 大 佐?」

 

「フフッ、相変わらずヒメちゃんの冗談は面白いです、と言うか……蓮華院大佐なんて他人行儀な呼び方をされてはこう……むず痒いですわ」

 

「他人行儀じゃねーで他人っす、っーかむしろ、今日のアンタさんは敵っすよ、わかってんすか?」

 

「!?、敵だなんて……あ、そうです、今日は私達で組んで戦いましょう、他の4人を排除してしまえばあとは私とヒメちゃんだけになりますし」

 

モチロン最後に勝ちはお譲りします!と笑顔で言えるこの女の顔をブン殴りたい衝動を抑えるべく左手の小指を自らヘシ折った私をセンパイは誉めてくれるだろうか

 

そんなイライラと戦っていると、あっちの方から一航戦の青いのが歩いてきた…

 

「レンカ、そろそろ時間ですよ」

 

「あ、はいは~い、じゃヒメちゃん、また後でお会いしましょう」

 

笑顔でヒラヒラと手を振り、この場を去る蓮華院…

正直、最近会ってもなかったしアイツも多少はウザさが薄まっているかもしれないと淡い期待をしていた自分がバカだったと改めて思ったっすよ

 

「ヴェーちゃん」

 

「なんだい?ヒメ」

 

「開始直後はアイツの部隊にはゼッテー手ぇ出すな、アイツを殺るのは最後っす」

 

「?、驚いた、真っ先に殺せじゃないのかい?」

 

「バカ言ってんじゃねーっすよ、この日女ミコト、利用できるモノはなんでもボロ雑巾のよーになるまで利用するが信条っす」

 

◆◆◆

 

暑いのやら寒いのやらよくわからない秋の空の執務室…

 

「あ、今日、日女大佐の言ってた選抜戦の日じゃないですか?」

 

「そうだっけか?何時からだ?」

 

「15:00からですね」

 

よく覚えてたなコイツ、さすがは我が信の厚き秘書艦様と言ったところか、大したやつだ…

とりあえず、せっかく忘れていたのに思い出したのもまた何かの縁、俺はPCを起動させ選抜戦中継をやってるであろうインターネットのページを開いた

 

「ほぉ、さすがは特別選抜、なかなかの顔ぶれだな」

 

「ネット中継あるんですね」

 

「ヒメは〜……人気低いな、5番人気ってトコか」

 

「提督、それ、なんてホームページですか?」

 

「マクーレってページだ、中央から地方まで幅広く中継してるぞ」

 

海軍が開設しているホームページ、マクーレ

全国津々浦々の演習場で行なわれている演習を中継し、ついでに、インターネット投票による艦券を購入することができる(R18、子供は艦券を購入できません)

 

「それただの公営ギャンブ…」

 

「1番人気はコイツか、蓮華院大佐(舞鶴)……ふむ、たしかにヤリそうなツラだな」

 

「あ、その人じゃないですか?ヒメさんがいつか殺すとか言ってた人」

 

「そうだっけか?」

 

言われてみればたしかに、前に写真で見たツラに見える気がするが……それよりなによりアレだ、写真では角度のせいであまり気にならなかったのか、こう改めて見るとこの蓮華院大佐殿、かなり豊満なpeachの持ち主だ…

 

「たしかにヒメでは勝てんな、コレは」

 

しかもお嬢様育ちで性格もいいと言うならばあのバカが勝てる要素は1つもないだろう

 

さらに、1番人気の蓮華院大佐(舞鶴)の他にも白の四天王と呼ばれる強敵がなんと2人もこの選抜戦にエントリーしており、この演習のレヴェルの高さを窺い知る事ができる…

 

「勝てますかね?ヒメさん」

 

「無理だろ」

 

卑劣さで言うなら俺と互角と言っていいヒメだが、さすがにこの選抜戦は相手が悪すぎるだろう、とりあえずヒメのは100円だけ買っといて、本命を押さえておくのが無難…

 

「それ、ついでに私のも買って頂いていいですか?」

 

「いいぞ、ヒメに100円か?」

 

「ヒメさんに5万円」

 

5万…っ!?この青髪ロング子、正気の沙汰とは思えない…っ!あまりに無謀…っ!無茶…っ!常人にできない発想……

秘書艦サミー子は机に置いた鞄から財布を取り出し、現金(キャッシュ)を机に置いた…

 

「これで」

 

「………まぁいいけどよ」

 

◇◇◇

 

「さぁ〜て、今日もギタギタに負かしてやりましょうかねぇ〜」

 

選抜戦開始15分前、用意された艦隊指揮所に入った私は既に海上に待機している艦娘達とキチンと通信が出来ているか確認する…

 

「もしもーし?聞こえるっすか〜?聞こえてない娘は手ぇあげてー」

 

『ハラショー、聞こえているよ』

 

「あっそ、ならOKっす」

 

こちらの戦力は旗艦のヴェーちゃんを含めて駆逐艦2、戦艦1、空母1、航巡2

尖ったものは無いが、他がどんな編成組んできてもある程度幅広く対応可能なスタンダードな編成…

 

「じゃ、とりあえず作戦は予定通りプランBで行くっすよ」


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