【登場人物】
提督(メガネ)
溢れる知性で返り討ち
陽炎(長女)
陽炎姉妹の長女、喧嘩してるの?死ぬまでやりなさい
不知火(次女)
陽炎姉妹の次女、落ち度の塊ではありません
雪風様(様)
時雨様に並び、様付けを許された駆逐艦、深海棲艦とは口を聞かない
突如として基地を駆け抜ける強大な
これほど強大な
戦艦同士の戦いは千日戦争になるのが必至!これを止めるにはどちらかの隙を突いて幻朧魔●拳を打ち込み精神を支配するしかないだろう…
「バカものどもめーっ!」
勢い良く机をダァン!し、とりあえず現場に急行すべく秘書艦サミー子に行くぞ!付いて参れい!と檄を飛ばした俺だったが、秘書艦サミー子はナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?みたいな顔で俺を一瞥し、再び漢字クロスワードパズルの雑誌を眺め始めた…
もしかして俺は嫌われているのだろうか?
いや、そんなコトはない!断じてない、断じて否!何故なら俺は、そう………ハンサムな提督なのだから
ーーー
「バカものどもめーっ!艦娘による私闘は禁じられているのを忘れたかー!」
「あ、テイトクだ」
「たしかにテイトクですね」
強大な
「オマエは……陽炎?」
「なんで疑問形?失礼すぎでしょ、このメガネ」
「そしてキミは……落ち度の不知火」
「まるで不知火が落ち度の塊のような蔑称はヤメてください」
とりあえず、広場にたむろしていたバ……駆逐艦の適当なヤツらに声をかけてみたが、フッ、まさか陽炎型のアタマを張る2人にたまたま声をかけるとは…
どうやら今日のおは朝のラッキーアイテムを執務室に置いてきちまったらしい
「オマエら、これはいったい何の騒ぎだ?誰と誰が殺り合っている?また大和さんか?」
「大和さん?大和さんは見てないけど…」
「大和さんなら朝、コンビニにバイトに行くと言ってまるで人妻のような色気を振りまきつつ歩いているのを不知火は見かけました」
「マジでー?やっぱあの人、人妻なの?」
「さぁ?しかしこれはあくまで不知火の予想ですが、コンビニ、バイト、大和さん、これだけの条件が揃い何もないワケもなく………退屈な生活に満足感を持てず、バイト先での不貞と言う火遊びの中、ふしだらな戦艦ですまないと心の中で謝りつつも身体は否応なく反応してしまうのでは…?」
「バカ言うんじゃないよ落ち度の塊が、大和さんがそんなふしだらな戦艦なワケないだろーが、大和さんは仁・智・勇に優れ、万人に優しくまるで神の如き慈愛を持つ人格者であり、まっこと戦艦の鑑!」
その心にとてつもない邪悪がなければ、おそらく次期提督の座は大和さんだったハズ…
「落ち度の塊じゃありません、不知火です」
「ってかテイトク、ナニしに来たの?」
「ナニしに来たじゃない、むしろこっちがそれを聞きたいのだよ、さっきの
「あ〜………それ、アレよ、アレ」
「アレぇ?」
陽炎が指差す先に立っているのは………まさしくアレ、いや、アレと言うか…
「雪風様じゃねーの?」
「そ、我が妹の雪風」
「我らが愛する妹、雪風が姉妹一の稼ぎ頭なのは不知火の中でも既に常識…」
基本的に、駆逐艦=バカガキなのは既に常識、たまに例外はあるが大抵の駆逐艦はまだ乳臭さの抜けんヤツよ…
しかし、そんな駆逐艦の中にも“怪物”は存在する…
この基地において、何よりも大事で優先されるべきものは“力”である…
そう…“力”さえあれば多少素行は悪かろうが多少問題があろうが容認される、力とはまさに正義であり、その力の持ち主がどんな邪悪な存在であろうが、力がある時点でそれは正義なのだ!
そして、その“力”の持ち主には誰しもがごく自然に、当たり前のように“敬意”を払うのだ………それは勿論、この俺も含めて
1人は白露型キセキの世代、そして絶対王者西村艦隊を率いる絶対の存在、時雨様…
そしてもう1人は、おそらくはやんごとなき身分であろう雅な御方、初春様…
そして最後の1人こそ、その拳で幾度となく鬼や姫を沈め、深海棲艦からもイベント海域後半であの姿を見たらジ・エンドだと怖れられている無敵の死神、
「バカな、雪風様だと…?しかしあの
「そりゃーもぉーアレよ!アレ!」
「百聞は一見にしかず、男は度胸、何にだってチャレンジしてみるべきだと不知火は提案します」
そう言って落ち度の塊不知火は雪風様のところへ行くと、身振り手振りでなにやら説明し…
「テイトク、雪風、殴りっこOKだそーです」グッ!
「オマエナニ言ってんの!?」
「不知火はテイトクが雪風の力をお疑いのようですから、一発殴って雪風に勝てないコトをわからせる必要があると…」
「その前にオマエにわからせが必要だよ」
ギリギリギリギリ!!(魔のテイトククロー)
「いだい!!痛い痛い痛い痛い!テイトクタップです!タップですギバップ!ギバーップ!不知火の負けだー!」
俺は落ち度の塊不知火のガンメンから手を放し股間に蹴りを入れると、不知火はウッギャアー!とか言いつつ地面を転げ回った
「フン、まぁいい……だが、まぁ、たまには雪風様の力を見せて貰うのも悪くない」
俺は上着を脱ぎつつノーグラブだがいいかね?と聞くと、雪風様は殴りっこにグラブが必要ですか?と逆に尋ねられた…
「さぁ、かかってきたまえ」
…よし、まずはレップウケンで牽制して不用意に飛び込んできたらジェノサイドカッタ!で迎撃を…
互いに距離はあるが………いや、雪風様の様子がおかしい、何か力を溜めているような…
————————————カッ!!!
「な、なんだ…っ!この強大な
ち、違う…っ!!これはいつもの雪風様じゃあない……っ!!まさか改二!?雪風様は新たなステージへと上がったと言うのか!?
い、いや……違う!この力は改二じゃない、なんだ!この赤いオーラ、まさか神の気を修得し、雪風・ゴッドに!!
「アレこそ雪風の新たなる力、丹陽の型!」
「テイトクは明日の朝刊に載りましたねと不知火は確信しました」
「タ…丹陽だと!」
バ……バカな!話には聞いたコトがあったが、神話の時代、数多の邪悪を打ち砕いてきた伝説の戦士が……伝説の戦士が帰ってきたと言うのか!
「………へへへ、こりゃヤベーなぁ、こりゃ相当
こんなにヤベーのに、テイトクワクワクしてくっぞ!
そんな
「バ……バカなっ!!まだ先があると言うのか!?」
あ、ありえない…っ!見たところあの丹陽の型は改二相当!まさかさらに先へ行くと言うのか!あの
———————————カッ!!!!
「こ、これが………雪風改二」
圧倒的な才能……っ!雪風様の才能は、改二の扉すらいとも容易く開けてしまうのか…!!
「えー………テイトク、殴っていいですか?」
「え?あ、あぁ、うん、ドンときなさい」
「わかりました、じゃ、ドンと…」
後に、たまたまその場に居合わせていた陽炎型駆逐艦の不知火は我々の取材にこう答えた…
えぇ…なんと言うか、イッパツでしたね…ハイ
それはもうキレーに顎に、えぇ…回ったんですよ…
いえ、首とか顔とかメガネではなく、身体ごと…もう1回転とか生半可でなく5回転も6回転も…
アレはまぁ……落ち度と言うよりもっとこう………いえ、落ち度でした…
あ、不知火の落ち度ではありませんよ?そこのところは間違えないでください
次回こそたぶん中編、たぶん