【登場人物】
提督(だらしない)
油断するとパンツから横ティンがハミでるのが僕の悪い癖
秋雲(カイニ)
最近力を手にし新たなステージに上がった
早霜(KAI)
秋雲には心底死んで欲しい
「てぇへんだてぇへんだ〜」
朝夕の寒さに冬の支配を感じつつある秋の日、事務的な業務を午前に済まし、午後から香取先生との明日の教育について大いに語らう会に行かねばならない俺は姿見で念入りに己がハンサムであることをチェックし、いざ出陣と執務室を出ると秋雲のアホンダラが手へんがどーのと走っていた…
「ナニがてぇへんなんだ?あと、廊下は走るな、殺されるぞ」
「あ、テイトク、こんちはっす」
「こんにちは、で?ナニがてぇへんなんだ?巻雲が巻グソでもしたのか?」
「や、巻雲は最近便秘気味らしくコー●ックありったけ飲んだらお腹ピーピーでウ●チ止まらなくて下痢便気味らしいっす」
バカかアイツ?どんだけコーラ●ク飲んだんだよ、まったく…一言俺に相談してれば尊厳と羞恥心と引き換えに強制排泄させて今後は脱糞する度に快楽を感じるよう身体に教えてやったものを…
「まぁ巻雲クンが便秘だろーが下痢便だろーが心底どーでもいいのだよ」
「そーっすか」
俺はとりあえずヘラヘラ笑う秋雲のお腹にパンチした
「うげぇ!!」ビチャビチャ…
「それで?ナニがてぇへんなのかさっさと答えろ、次は貫通お腹パンチでブチ抜くからな」
「へ、へぇ………じ、実は、なんか寮の廊下に変なのが棲みついてるんすよ」
「ナニが変なのなのだよ」
相変わらずナニ言ってんのかよくわからんヤローだなコイツは、もしかしてウスラトンカチか?
「よくワカんねーっすけどなんかヘビみてーなヤツなんすよ、しかもデカい」
「ヘビみてーなヤツってなんだ?ヘビみてーなヤツとは?ヘビではないのか?」
「とりあえず見に来てくださいっすよ、百聞は一見にしかず、男は度胸、なんでもチャレンジしてみるべきっすよ」
「ナニがなんでもチャレンジしてみるべきなのだよ、だからお前はダメなのだよ」
とりあえず、俺は秋雲がナニを言ってるのかサッパリ理解できないので、そのヘビみてーなヤツを寮まで見に行くコトにした…
◆◆◆
『…………』
居た、たしかに………うん、なんか居た
駆逐艦寮、通称“ハラキリ寮”1Fの廊下のど真ん中にたしかに変なのが居座っており、駆逐艦のアホどもがそいつと距離を取りつつコミュニケーションを図っていた…
「コイツめ!梨を食らうのです!」
「あったわ!豚肉よ!」
「ハラショー、コレなら効くかもしれないよ」
……アホガキどもはとりあえず食材っぽいものを投げつけているが、どうにもあまりお気に召すものではないらしい
「…へヴィだな」
「だからヘビみてーなヤツって言ったじゃねーすか」
しかしヘビか、ヘビと言えばメイジンことニンジャマスター川内が口からゲロゲロ吐いたりするのを真っ先に思いついたが………やはり川内のヘビだろうか?
「…いえ、アレはヘビではありません」ボソボソ…
「キミは………キタローくん」
いつの間にやら俺の後に立っていたのは夕雲姉妹の十七女、キタローくん…
「お、ハヤシじゃねーっすか、今日も暗いっすね」
「…そうかしら?そしてアナタは相変わらず提督の傍に当たり前のようにウロチョロと……正直、アナタに対しては殺意しか湧かないし今この瞬間にも誰にも迷惑をかけない場所で可能な限り苦しんで死んで欲しいわ」ボソボソ…
「え?なんだって?よく聞こえねーっす」
空気の読めない秋雲と陰鬱な空気の漂うキタローくん、もしかして仲が良いのだろうか?まぁ、キタローくんは友達少なそうだから秋雲のバカが友達ヅラしてるだけな気もするが…
「しかしキタローくん、アレがヘビではないとするナニかね?もしかしてアレかね?妖怪の類…」
「…妖怪、とも言い難いです」ボソボソ…
「じゃなんなんすか?バイオ工学が創り出した哀しき存在っすか?」
「…おそらく、空想上の生物の一種かと」ボソボソ…
キタローくん曰く、アレはいわゆる伝説とか神話とかに出てくる系の生物だろうとのコトだが………え?ナニ?ファンタジー?ファンタジーな存在なの?
「ナニワケわかんねーコト言ってんすかね、このネクラっ娘は」
「お前…ネクラとかゆーな、キタローくんに謝れ」
「ゴメーヌ」
「…いえ、いいです、大して気にしてませんから」ボソボソ…
まったく、キタローくんは心の広い子だな、きっと将来は良いお嫁さんになるだろう
「しかし空想上の生物か………だとすれば、アレはファンタジー的なモンスターとかそんな類と考えればいいのかな?」
「…まぁ、平たく言ってしまえば」ボソボソ…
モンスターか…ま、とりあえず、見た目からしてゴブリンではないな
「アレじゃねーっすか?リヴァ●アサン」
「リヴァ●アサンか…」
たしかに、あのヘビっぽさは神話に名高きリヴァ●アサンに見えなくもないな、もし仮にアレがリヴァ●アサンだとするならばそこらの低級なゴブリンとは違い溢れる知性を持っており、もしかしたら話し合うコトも可能かもしれん
「よし秋雲、ちょっとオマエ、アイツに話しかけてみろ」
「なんで私なんすか!?テイトクが話しかけてみりゃいいじゃねーっすか!」
「バカ言うんじゃないよ、ほら、さっさと行け、女は愛嬌、なんでもチャレンジしてみるもんだ」
俺は秋雲の背中を押すと、秋雲は後でチョコレートパフェ奢ってくださいっすよと軽口を叩きつつリヴァ●アサンのところへ近づき…
「あー…あー……アイアムアボーイ!ジスイズアオクトパス!」カッ!
バカだった、清霜級のバカだった
『この妖刀マサムネが、貴様たち青き星の民などに扱えると思ってか!』
「あ、コイツ喋った!!テイトク!コイツ日本語ペラペラっす………ぶべらぁ!!」
ギュュュュュュュン!!(ワール)
謎の黄色い竜巻を喰らった秋雲はまるで瀕死になったかの如くふっとばされたッ!!
「秋雲ォォォォォォォォ!!」
「クッ…!テイトク、コイツやべぇっす、マジヤベー、っす、ぐふっ!」
俺は絶命のセリフを吐いた秋雲の身体を激しくガックンガックン揺らす!ナニが“ぐふっ!”だ!
「秋雲ォォォォォォォォ!!バカ野郎!死ぬなバカ野郎ォォォォ!」
「へ……へへ、ど…どうやらこの秋雲さんは地獄の鬼だけじゃなく閻魔様にも嫌われてるらしい…」(HP1)
「ヘッ…!オマエってヤツぁ!」
まったく!しぶとい野郎だぜ!
「…チッ、まだ生きてる、死ねば良かったのに」ボソボソ…
この後、この生物はリヴァ●アサンではなくタイダリアサンだったらしく、タイダリアさんに我々は妖刀マサムネが欲しい意思はないことを伝えるとタイダリアさんは納得したらしく海へと帰って行った…
ちなみに、何故寮の廊下に居たのかについては最後までわからずじまいだったが、キタローくん曰く、たまには人里に来たかったのではないか?とのコトだ…
おそらくタイダリアさんもまた、この青い星の環境破壊を憂う哀しき存在なのかもしれない…
あと、秋雲は2日寝込んだ