【登場人物】
提督(メガネ)
射程2メートルの近距離パワー型、必殺技はお腹パンチ
神州丸(太腿)
陸軍から来た美しき暗殺者、第3の殺人技は三角締め
あきつ丸(不浄の穴)
陸軍から来た謎多きサマナー、隠し技は指からビーム
台風と共に暑さも去り、どことなく秋を感じさせつつある昨今、今日も元気にタバコでも吸いに喫煙所に行くかと歩いていると、階段の先にパタパタとスカートを靡かせて立つ熊野………ほぉ、今日は白ですか
ポケットからスマホを取り出し、とりあえず写真を撮ってみるが……まぁ、後で青葉にメールしてやろう
良いコトをした後は最高に気分が良いものだ、思わず鼻唄でも歌ってしまいそうな実に晴れ晴れとした気分だなと思いつつ歩いていると、いきなり目の前に………ナイフッッッ!!!
「はおっ!!」
ブンッ!!!(緊急回避)
突然の顔面狙いに上体を大きく反らすブリッジによる緊急回避ッッ!!
「また殺り損ねたでありますね」
「キミは……」
ナイフを手に、いつの間にやらぬらりと俺の前に立つ目深にフードを被った美しき暗殺者…
陸軍から来た謎多き特殊船、神州丸クン……だったか?たしか
その神州丸は別に俺を殺り損ねた事に特に気にした様子もなく、ナイフを鞘に納めて上着の中にしまいしまいした…
「また、じゃないよ、なんなのかねキミは?誰の差し金だ?」
「それは言えないのであります」
抑揚もなく、何の感情も感じない声、そして死んだ魚のような目……おそらく彼女は幼い時に闇ギルドに拾われ、多感な幼少期から長らく殺しのテクのみを叩き込まれ、殺すコトでしか存在する価値のない殺戮機械として育て上げられた哀しき存在なのだろう…
「ターゲットを殺るまで帰れないのはわかるが、あー……なんだ?神州丸クン」
「なんでありますか?」
「まぁ、そこのベンチにでも座って、ちょっとハナシでもしよーや、な?」
「はぁ?別に構いませんが…」
俺はとりあえずテキトーなベンチを神州丸クンに勧め、自販機で飲み物を買い、神州丸クンに1本渡してやった
「それで?ハナシとは?」
「とりあえずキミにも色々事情があるのはわかる、なんたって俺は海軍の将校で提督だからね、うん、わかるよ、うん、キミはほらアレだ?プロだから雇い主のコトは話せない事情もわかるわけだ」
「はぁ?」
「だからだ、今から提督はキミに質問だけするからキミはハイかイエスで応えて貰えばいい、いいかね?」
「わかったであります」
神州丸クンは頷くとオレンジジュースのプルトップを開け…
「あ」
どうやら気付いたらしい、自分がとんでもないミスを犯してしまったコトに…ッ!!
スッ…(ナイフ)
「!」
ミスに気付いた神州丸クンの行動は疾かった、上着からナイフを素早く取り出し自らの喉にあて即座に死を選んだ………が!!そうはさせまいと俺も即座にナイフの刃を掴む!!
「クッ…!」ギリッ!
「初めてだな、キミの悔しげな顔を見るのは…!」
やはり感情がないワケではない、あるのだ
そして彼女はきっと本当は心の優しい娘なのだろう、その、本心を必死に押し殺しているだけなのだ
「とりあえず、ナイフを引いてくれんかね?」
「ハイ」
律儀な神州丸クンはナイフを鞘に納めて、上着にしまいしまいした………っーかこの手、超痛いんですけど?刃掴むとかムチャプレーしたせいで血がメチャメチャ出てるんですけど?っーかコレ、毒とか塗ってない?目眩すごいんですけど?
「神州丸クン………包帯とか毒消しとか持ってるかね?」
「ハイ」
神州丸クンは上着から治療キットらしきものを取り出すと手慣れた動作でスピーディーに俺の手をとりあえず治療してくれた
「提督殿は毒に耐性がおありで?」
「ねぇよ、我慢してるだけだ」
「そうでありますか、象も2秒でコロっといく毒だったのですが…」
…危なかった、もしチャムキ●ビアからぬすんだリ●ンをたまたま持っていなかったら死んでいたかもしれん
と言うかこの娘、なんて危険なモノをナイフに塗りたくってるんだ、危ないじゃないか
「フーッ〜………まぁいいや、で?どこの誰の依頼かは知らんが、キミの仕事は俺を殺るってコトでいいのかね?」
「イエスであります」
「海軍筋かね?」
「…」
「陸軍筋かね?」
「…」
「それとも別の…」
「…」
そもそも俺に恨まれる筋合いはないのだが……いや、待てよ、たしか前に天海のヤローが俺を殺りに来たが、もしかしてそのスジか?グゥゥゥム、謎は深まるばかりだわい
「あ、そういや神州丸クン、ちょっと前に包丁振り回すサイコ女から俺を助けてくれたな」
「サイコ女…?あぁ、アレでありますか」
以前、いきなり好きって言ったのに!とか言って暴れたイカレたサイコ鯨に命を狙われた俺、そのピンチに颯爽と現れ救ってくれたのはこの神州丸クンだった…
「とりあえず提督殿から殺すなと言われたので視覚を封じて拘束椅子に座らせ薬物投与による幻覚催眠状態で70時間程、深層心理に暗示をかけて解放しました、定期的に薬物の投与は必要でありますが…」
怖いよ…ッ!!なんだよこの娘!やり方が大規模組織のプロの手口だよ!
そんなプロの神州丸クンに戦慄を禁じずにはいられずにいると、廊下の向こう側からデビルサ●ナーみたいなハイカラな格好をしたのが歩いてきた…
「おや、提督殿に神州丸……こりゃまた珍しい組み合わせですな」
「オマエは……あきつ丸」
やって来たのは神州丸クンと同じく、陸軍からやって来た謎多き強襲揚陸艦、あきつ丸…
普段は役に立たないが、たまに烈風積んでみたりと活躍することも以前はあったが最近は特に仕事もなく、毎日プラプラしており、その行動には謎が多い…
唯一わかっているコトがあるとするなら………ア●ルがキツキツでおチ●ポ様には無様に敗北ア●メ晒すコトぐらいだろう
「こんなところで男女が2人………ハハァ〜ン、さては神州丸も提督殿のイツモツに興味津々丸でありますなぁ?」
「いえ、興味ないであります」
即答かよ、まぁいいけど…
っーかセクハラ上司かコイツは…
「ハッハッハ、興味ないでありますかぁ!ハッハッハ!」
「笑うな!っーか、あきつ丸、オマエ、この神州丸の同僚なんだよな?」
「ハッハッハ、それはモチロン、神州丸のコトは生まれ育ちア●ルの皺の数まで知ってるでありま…」
サクッ!!(投げナイフ)
「危ないでありますなぁ」
神州丸クンのノーモーション顔面狙い投げナイフを謎の巻物でハタキ落としたあきつ丸はおぉ怖い怖いとナイフを拾って神州丸クンに手渡した
「あきつ丸は少しお喋りなようでありますな…」ジロッ
「ハッハッハ、これは失態」
…もしかしてコイツら、仲悪いのだろうか?いや、おそらく所属は同じ“組織”だが仲良しクラブと言うワケではないのだろう…
「…ふん、まぁいい、神州丸クンよ、キミの仕事が俺を殺るコトなら精々頑張りたまえ」
「?、提督殿は変なコトを言うでありますな」
「俺の紳士道には何事だろーが頑張る子は応援しろって書いてあるんだよ、じゃあな」
俺は飲み干した缶コーヒーの缶をダストシュートに投げ入れてさっさとその場を去った…
自分を狙う暗殺者か………いいね、いつかあの太腿ペロペロして俺のイヌにしてやろうじゃあないか…