不健全鎮守府   作:犬魚

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ナ⑭が個人的にどうにも消化不良気味で後味が良くないものを残すのもよくないので今回は⑮ではなく⑭⤴︎(アッパー)のナンバーです

【よく見なくとも美少女はやっぱりよく見なくても美少女】
【黄金体験】

…の2本立て!


提督とルート分岐のエンディング⑭+⤴︎

【よく見なくとも美少女はやっぱりよく見なくても美少女】

 

かつて、戦争があった…

人類と深海棲艦の戦争が始まり百年、泥沼の戦争はいつの頃からか膠着状態となり、既にこの戦争を始めた者もこの世にはおらず戦争を始めた理由すらも曖昧となった現代、止まることのできない大人達に対し、若者達はこの戦争の無意味さを投げかける、何故争うのか、何故同じこの星に生まれたもの同士が互いに手と手を取り合うことができないのか、小さな声は次第に大きくなっていき、ついにはそれが戦いを止める力となった

 

『もうやめましょうよ!僕たちは対話することができる……!たしかに互いに主張が合わないコトだってあるかもしれない、でもわかり合うコトはできる!』

 

『図に乗るなよ小僧ォ!もはや止められぬのだ!もはや……!!』

 

『『だったら僕達(私達)がアナタを止めてみせる!』』

 

『こ、この力は……!バ、バカな……こんなバカな、あ……暖かい光、そうか…!かつて我が理想とし……フッ、そうかぁ……すまなかったな、我が娘よ、これからこの星の未来はお前達に…』

 

…戦争が始まり百年、数多の犠牲や苦難を乗り越え、ついに戦争は終わったのだった…

 

ーーー

 

戦いの日々が終わり、世界は完全平和の下、軍縮の流れとなり海軍も解体され、俺も無事に無職の派閥へと流されてしまった……まぁ、とりあえずは退職金的な金は出たので無職ライフですぐに困るコトはないが、やはり俺もイイ歳こいた大人、今から再就職するには些か足りないものが多い、若さとか…

 

そんなどうしたものかと今後について悩んでいると、俺と同じく今後について悩んでいたかつての部下、海風ちゃんと街のオシャレな喫茶店でバッタリ再会

俺たちは同じ悩みについて考えるもの同士、ここは協力して考えてみようじゃあないかと意気投合し、今後についてのアツい意見を数回に渡りディスカッションを重ね活発に交歓し合った、そして………

 

気が付くと、爽やかな朝を迎えていた…

 

いや、まぁ…あるよね?ほら、俺も酒入ってたし、海風ちゃんも酒入ってたし、と言うか海風ちゃんが悪いんだよ?駆逐艦なのにあの激エロボディなんていやらし駆逐艦なのかな?

 

………こうして、やはりキュウシュウ男児たるもの責任はとらんといかんたい!と言う流れの下、姉妹達に祝福され新しいロードへ踏み出したのだった!

 

「いらっしゃいませー」

 

「お好きなお席へどうぞー」

 

キュウシュウのとあるオシャレな海沿いに居を構えるオシャレ風カフェテリアЁНОКАЗЭ…

俺と海風ちゃんがアツい話し合いを重ね、ついに開店した俺たちの城……俺はやはり短大の近くとかJD狙いの方が良いと思ったが、まぁ、結果としてはここはここでアリだった…

 

「今日は暇ですね…」

 

週末以外は基本暇だが売り上げ的には意外と悪くない、まぁ…人を多く雇うほどは儲からないのだが

 

「まぁそんな日もあるわな」

 

「…海風姉ぇ、テイトク、3番、コーヒー2つ」

 

「へいへい」

 

そしてそんな売り上げ的には大して儲けのないこの店でアルバイトする変わり者、山風はオーダー票をカウンターに置いて給仕盆を用意していた…

 

「へい、コーヒー、二丁!アツアツだよ!」

 

まぁ、ウチでアルバイトしている山風だが、そもそもこの山風、ウチに住んでいる

 

前は江風と涼風もウチに住んでいたが、アイツらバカのくせに俺たちに気を遣ってくれたのか、去年、それぞれアパート見つけて出て行ってしまった…

海風ちゃんには言ってないが、アイツらが出て行く際、夜中に海風姉ぇの声がうっせーのと言ってたが俺は悪くない

 

「…じゃ、持っていくから」

 

そしてこのいつもトゲトゲで未だにナニを考えているのかよくわからない山風だが、江風曰く、眠りがめっちゃ深いらしい

 

「あ、そうそうテイトク」

 

「なんだ?」

 

「今度の連休終わってからの店休日なんですけど、白露姉さんがたまには姉妹で集まらないかって…」

 

「いいんじゃないのかね?行ってきたまえよ」

 

「あ、いえ、行ってきたまえと言うか………その、なんならウチに来ませんかと誘ってしまって…」

 

「マジか」

 

「スイマセン!でもどうせならって…」

 

まぁ…海風ちゃんにこうお願いされてNOと言える男は生粋のロリ●ン野郎かガチホ●だろう、並のノンケならあのパイオツだけで絶頂射●待った無しだ

 

「まぁ、いいんじゃないか?ウチと言うか……店なら多少人が来ても問題ねぇし」

 

「そうですよね!ですよね!あー…良かったぁ、白露姉さんはテイトクに拒否権はないとか言うし、時雨姉さんはもしダメなら僕がホテルを手配しようか?と言うし…」

 

時雨様曰く、300人収容できる部屋を押さえておこうか?とのコトだが、そんな大規模ホームパーリーできる姉妹はフレッチャーくんぐらいじゃないだろうか…?

 

「ではみんなには連絡しておきますね!」

 

「あぁ、じゃ、その日は俺は終日パチンコにでも行ってるから姉妹水入らずで…」

 

「ナニ言ってるんですか!アナタが居ないと重大発表が………あ、いえ、忘れてください」

 

「重大発表?」

 

「忘れてください!はい、えぇ…!当日までのお楽しみにってコトで…ハハ」

 

そう言った海風ちゃんはハハと焦ったような顔で笑い…

 

「…………っ、スイマセン、ちょっと失礼します」

 

口元を押さえるとダッシュで裏に引っ込んで行った……

あ、もしかして体調悪かったのか?

 

「ハッ………!?まさか飲み過ぎ!みんな寝静まった後に俺の秘蔵のブランデーを!?」

 

「…テイトク、バカなの?」

 

「バカじゃないよ、なんてコト言うのかねこの子は」

 

山風は給仕盆で自らをパタパタと扇ぎため息を吐く…

 

 

…後日、久々に集まった姉妹達の前で、海風姉ちゃんから重大発表が発表され驚き、そして祝福の声があがるコトになる

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

【黄金体験】

 

かつて、戦争があった…

深海棲艦VS人類、その命運を賭けた最後の戦い、ついに深海の力を手に入れた海軍闇将軍はその力を使いこの世界をリセットすると言い放つ!例えどんな悲劇があったとしても、この世界に今、生きる全ての人々を犠牲にしてまでリセットなどさせてはならない、今、永き時を超えてついに深海棲艦と人類は1つとなり、ついに海軍闇将軍の野望を打ち砕いたのだった!!

 

ーーー

 

戦いは終わり、世界の海軍は解体・軍縮となり、俺もまた長かった戦いの日に別れを告げた…

これからは争いや奪い合いもない、そんな優しき世界へ行くのだと考えた俺はまずこの国を出た…っ!

 

かつてまだ少年だった頃、世界地図や地球儀を見て世界はこがいに広いぜよ!とワクワクした少年の気持ちを胸に!仲間達に、未来で会おう!イタリアで!と別れの言葉を残して旅立った…!

 

そして………

 

「何が!これからいったいナニが起きると言うんだ!まさかまた魂が入れ替わるのかーッ!!」

 

「も…もうBOSSなんかにはもうあの矢は絶対に手にするコトはできませぇ〜ん!矢は永遠にザラ姉様のものですぅ〜!」

 

旅立った先、イタリアでギャングの抗争に巻き込まれた俺は何度か死ぬ目にあったが持ち前のラッキーボゥイでなんとかそれを乗り切り、ついに組織のBOSSは倒され、この街に真の誇りと平和が戻ったのだった…

 

「…………はぁ」

 

服飾の街、ナポリ…

ナポリ仕立てはファッションではない、文化である

そう呼ばれるこの街の一角でアツアツのピッツアを焼くコトに何の不思議があろうか?いや、不思議があるとすれば伝統のナポリ窯で、何故東洋人が焼いているのかと言う点だろう…

 

「ヘイ!らっしゃい!」

 

「お待たせしましたぁ!」

 

組織との戦いの後、俺はやはり西欧文明ドナウ起源について調べるべく国を出ようした………しかし、俺は侮っていた!組織は既にあまりにも完璧に構築された組織になっていた!電話、郵便、交通、マスコミ、警察、政治、この社会の全てが俺を孤立させた!

 

それもそうだ、BOSSを倒したザラ姉の正体を知る俺を生かしておく理由がない…っ!俺は覚悟を決め、ワインをたらふく飲んでエンジンをかけ、ザラ姉と話し合うコトにした……

 

……そこから先は、そう、ふふ…そのなんと言うか、下品なんですが…“amore”しちゃいましてね

ってか、ザラ姉って普通に美人じゃないですか?それにこう、あの改二の服の穴……もう完全にパイ●リ専用だと思うんですよね…

 

「ハァー…お客さんはけたし、キューケー、休憩しましょうか?テイトク」

 

「ん、あぁ、そうだな」

 

「ワイン飲みます?」

 

「ワインっーかビールの気分だな、俺は」

 

ザラ姉とアモーレ致した以上、責任からは逃げられない…

“鉄の掟”により、俺は盛大に祝福されつつザラ姉と踊った…

 

しかし生活するには仕事がなくてはならない、そしてギャング的な仕事などハッキリ言って願い下げな俺はザラ姉、いや、組織の幹部であるローマになんか仕事紹介してくれと頼んだら、このナポリ窯を任されたと言うワケだ…

そもそもこの店、その昔、ローマが住んでた店らしいが色々あって閉めていたそうな…

 

「プハァ…!あーDelizioso!」

 

「だな、フーッ〜……しかしアツいな、やっぱ」

 

「そうですか?ザラは気になりませんケド…」

 

「適応してるんだろ、適応」

 

矢のパワーの先へ行ったハズのザラ姉だったが、基本的には俺と一緒にこの店を切り盛りしている、謎の東洋人とハチミツブロンドの美人妻がやってる店で味も悪くないと近所ではそこそこ評判の店だ…

 

「しかしザラ姉ぇよ」

 

「テイトク、前々から気になってるんですけど、そのザラ姉ぇってのそろそろやめてくれませんか?ザラって呼んでください、ザラって」

 

「ザラ、ねぇ」

 

「だから姉ぇはいらないんですって!ザ・ラ!」

 

「すまんすまん、どうにもポーラのクセがな…」

 

「ポーラ………そうですね、あの娘、元気にしてるのかしら?」

 

「さぁ…?」

 

ザラ姉ぇの妹、アル中のポーラ…

ポーラもまた組織と戦いの後、これまでザラ姉様ザラ姉様とザラ姉様頼りだった己を見つめなおすとか言ってどこかへふらりと旅立った…

風の便りでは、現在はアメリカ、フロリダ州マイアミ、全米中の凶悪犯が集まるフロリダ州立刑務所、またの名をグリーン・ドルフィン・ストリートに収監されているとかなんとか…

 

「ま、ポーラももう子供じゃあないし…元気よね」

 

「たぶんな」

 

昔はポーラの事を過保護ぎみに心配していたザラ姉ぇだが、最近はさすがに妹離れしたらしい

 

「あ、そうそうテイトク、今度用事があってアメリカの〜……え〜…フロリダ辺りに行くんですけど?」

 

「ふ〜ん」

 

 

この時、俺は……おそらくザラ姉ぇ自身もまだ知らなかった…

何故ザラ姉ぇはたまたまフロリダへ行くのかを…

 

北緯28度24分西経80度39分にて次の新月に、いったい何が起きるのかを…




次回はその⑮、予告はタイトルはあまりアテにならない、アテにしない

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