【登場人物】
有明(駆逐艦)
雅な御方、初春様の妹らしいもののあまり似てない
Helena(軽巡)
田舎のお嬢様風ハードパンチャー
South Dakota(戦艦)
アメリカン風アメリカン、夢はこの手で掴むタイプ
屋代(海防艦)
御蔵の妹
Hornet(空母)
英国顔したアメリカ空母、山田ゼレフ先生の愛読者
聖なる完璧の基地に現れたいずれも劣らぬ魔人揃いの10人の刺客達…
午前中、前半5人との面接を終え、マミー屋でランチしてからの午後、新たなる聖戦の幕が上がる…
とりあえず次の方どうぞーと言って入室を促す様式美、その様式美を打ち砕くかの如くバーン!と勢い良く開いた執務室の重厚な扉…ッ!!
「フッ、アタシが初春型駆逐艦五番艦、有明さ!」
「ふ~ん、有明クンね」
いきなり失礼なヤロウだなオイ、多少イケメンだからってヤンチャしても許されると思うなよ、まずはそう……アレだ、こーゆーヤカラにはこの基地の絶対支配者が誰なのかをガツンと最初にわからせてやる必要がある
「へぇ、キミがテイトクか…」
「なんだ?提督の美しい顔に惚れたかね?」
「ハハッ、 まさか!」
有明クンはハハッ!と笑いくるりと回って椅子に座った…
「でもまぁ、実はキミには興味があったんだ、ツユがキミを気に入ってるってハナシを聞いてたからね」
「ツユ?」
「フッ、でも……まぁ、安心したよ」
ナニ言ってんだコイツ?イカれているのか?っーかちょいちょいムカつくなコイツ、なんなんだ一体…
「有明さんは昔から白露姉さんが好きで好きでしょうがない残念ガチレズヤローなんですよ」
「なんじゃそりゃ?」
五月雨曰く、この有明クンはガキの頃から近所に住んでた幼馴染み系らしく、あの白露のコトをマジで好きらしい…
まぁ、黙って立ってりゃたしかにカッコいい系ではあるが…
「まぁ、白露姉さん的には有明さんのコトは幼馴染みで仲の良い友達ぐらいにしか思ってないですけど…」
「だろうな」
ちなみにこの有明クン、あの時雨様から珍しく毛嫌いされており、村雨や夕立からはサンドバッグみたいな扱いをされていたらしく、姉妹の中でも白露だけを一途に想う純情派なそうな
「フッ、キミには負けないよ、そう……ツユはキミには渡さない!」
「やだ、ナニこの子、超残念イケメン!」
有明クンは俺に恋の宣戦布告をすると席を立ちアデューとか言いながら去って行った…
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恋の黄金律とはなんぞや?そんなふうに考えていた時期が、オレにもありました…
昔のオトコ+幼馴染み属性、イケメン有明BOYから恋のライバル宣言されたことはワリとどうでもいいとして迎える7人目、面接後半戦、遂にMAJORからの刺客が現れるッ!!
「My name is Helena!St Louis class軽巡洋艦二番艦USS CL50 Helenaよ、よろしくね!」
「OK、えー…ヘレンくんだっけか?」
「Helena!ヘ・レ・ナ!Do you understand?」
「ヘイヘイ、ヘレナくんね、ヘレナくん…」
MAJORからの新たなる刺客は最近流行りの海外軽巡ヘレナくん、怪物揃いのMAJORリーガーにしては………まぁ、ズイブンとなんだ?その、なんだ?慎ましいな
「ナニ?Helenaにナニか言いたいコトあるって顔ね」
「いや、別に…」
「ウソ!!ナニか言いたいんでしょ!!ハッキリ言ったらどうなの!」
MAJOR特有のグイグイくるグイグイ感で俺に詰め寄ったヘレナくんはなんか英語でまくし立ててくるが、とりあえずFuck!ぐらいしか意味はわからなかったのでナニか怒っているのだろう…
「まぁまぁヘレナくん、落ち着いて、飲み物でもどうかね?サミー、冷蔵庫にオレンジジュースあるからヘレナくんに」
「頂くわ!」
しかしこのヘレナくん、パイオツに関してはMAJORどころかリトルリーグだが、全体的な見た目としては育ちの良さそうな田舎のお嬢様感がある…
「えー…ヘレナくんはアレかね?軽巡ってワケだが………雷装0」
「えぇ!0よ」
ナニが誇らしいんだコイツは……っーか雷装0ってなんだ?0って、やる気あんのかコイツ?可愛いだけが取り柄のパースちゃんだってまだやる気あるぞ!
「その分、パンチ力には自信があるわ」
「パンチ力に自信だぁ?ハハッ…!」
「ムカッ!ナニその顔、Helenaをバカにしてるわね?いいわ!立ちなさい!Stand and fight!立って、そして戦いなさい!」
「おやおや、軽巡のボウヤ風情がこの提督様に対して言うものですねぇ」
フンッ、MAJOR出身とは言っても所詮は軽巡、アイオワみたいなハードパンチャーのパンチならいざ知らず、たかが田舎のお嬢様程度のパンチなど何も怖くはない、どうやらこのお嬢様にはわからせが必要らしい…
「よかろう、ほら、打ってみなさい、ほら、テイトクのココ、顔面にイッパツ入れてみたまえ」
「言ったわねぇ……!」
そう言ってヘレナくんは拳を握りしめ、ギリッ…!ギリッ…!と身体を捻るッッ!!!
ゾクッッッ!!!(悪寒)
「ッッッッッッッッ!!!」
…な、なんだ……このプレッシャーは!!こ、この小柄な少女から感じるハズのない強大な力は…ッ!!ま、まるで…強大な肉食動物を前にしたような…ッ!ば、バカな!この提督がビビッていると言うのか!!たかが軽巡ごときのパンチにッッ!!
………ありえんなッ!!
「行くわよぉ…」
放たれたヘレナくんの拳は、真っ直ぐストレートッッッ!!体重×スピード×握力=破壊力、俺の優れた知性は一瞬でそれを理解し、対策を実行したッッ!!
バチイイィィィ!!!(ヘレナ鉄拳ストレート)
「~~~~~ッッ!?」
俺の顔面をたしかに打った鉄拳……しかしッ!!
「き………効いてないっ!?」
「ホッホッホ……
こ、この女………俺に“
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ルイスの鉄拳ヘレナくんと、次の機会にまた闘ろうや…と無事に面接を終え、続く8人目!MAJOR二連戦!!
「South Dakota class USS Battleship South Dakotaだ!ヨロシクな」
「俺がこの基地の絶対支配者、提督だ、ヨロシク」
MAJORの新たなる刺客はアイオワ、コロちゃんに続く新たなる大戦艦級のスーパーへヴィ級…ッ!!
っーかなんだコイツ?スゲーな、一目で尋常ではない愛国者だとわかるほどのアメリカナイズ……これほどのアメリカン全面推しできるのは世紀末賞金稼ぎのア●ンか日本人とフィリピン人のハーフのロ●キーくんぐらいだろう…
「ヒュー!絶対支配者とはコイツはたまげた、ジャパニーズのくせになかなか大口叩くじゃねぇか」
「大口ではなくこれは事実、そして既に常識だ」
「おもしれぇ!立ちな!ジャパニーズ!アタシとファイトしよーぜ!」
サウスダコタくんは血気盛んに立ち上がってワンツーワンツーと拳をシュシュと繰り出し、どうしたジャパニーズ?ビビってんのかー?と陽気なアメリカン特有の挑発で俺を挑発している…
俺は、ごくごく自然な流れでそんなサウスダコタくんの右手を優しく握り…
「零の悲劇ィィィィィ!!」
ミシミシミシミシミシ!!(強握手)
「ギャアアアアアアアアア!!NO!NOOOoooooー!!」
サウスダコタくんは必殺の零の悲劇から逃れようと頑張るがそれは問屋が卸さない、いっそこのままその右手を破壊………いや、零の悲劇から右手を解放した…
「な…何故だ!何故アタシの右手を破壊しなかったジャパニーズ!情けをかけたつもりか!」
「フッ、お前はその右手で掴むんだろう?アメリカンドリームってヤツを…」
「!?」
「カンムスファイト国際条約第3条、破壊されたのが頭部以外であれば何度でも立ち上がり決勝リーグを目指すことができる」
「ジャ…ジャパニーズ………いや、テイトク、オマエってヤツぁ!」
「まずはファームからスタートだ、そして上がって来い、一軍の舞台へな」
ーーー
新しいMAJORからの刺客、そして新しいライバル、サウスダコタくんとアツい握手をかわした提督…しかし新人面接は非情にもまだまだ続くのです、そう!まだ最終海域に残された謎のカンムスファイター達が提督の前に立ちはだかるのです、それでは!新人面接9人目!レディ・ゴー!
「御蔵型海防艦六番艦、屋代です」
「ほぉ…海防艦」
…油断してたな、まさかまだ海防艦がいたとは……だいたい海防艦は面接前半に出てくるので今回はもういないのだと思っていたが、まさかな…
「え〜…御蔵型っーとアレかね?御蔵クンの妹的な…」
「ハイ!妹です!」
「ふ〜ん」
御蔵クンか、たしかこの夏は大してやるコトもなく扇風機にアーとか言ってる姿を見かけたな…
まぁ、たしかにこの屋代クン、どことなく御蔵クンに似ている気がするのだよ、顔とか
「なるほど、まぁ…性能的には御蔵クンと大差なし、ごくごく一般的な海防艦と言ったところか…」
「はぁ、そうですね……あ、でもちょっとだけ対空は得意です」
「ふむ」
「なるほど、まぁ…ファームで徹底的に鍛えてからだな、だが安心したまえ、ウチはたとえどんなザコでも徹底的に鍛え上げる充実のプログラムを用意している」
「ザコ…」
無理のない!強くなる!安心のカリキュラムですぐに実戦デビュー!
「まぁ、頑張りたまえ」
「ハイ!頑張ります!」
ーーー
大人しくて真面目な子の面接ほど楽なモノはない、MAJOR二連戦のダメージを感じつつも中一日の休みをもらった気がするMAJOR三戦目、そして……この長い長い面接の最後の1人!!
「私はUSS CV8 Hornet! I'm looking forward to you」
「OK……俺が、提督だ」
最後の刺客ッ!その名はホーネット!!MAJOR初の英国顔をしたキンパツ美人ッ!
「アナタがテイトクなのね?ウワサだけは聞いてるわ」
「ほぉ…この提督様も有名になったものだ」
「あのIowaが気に入っててColoradoがメチャメチャ毛嫌いしてて人の胸をガン見してくるシツレーな男ってね」
「オイ誰だそのウワサ流したの?誰から聞いた?」
「Sara」
サラトガか、うん…サラトガならしゃーなしだな、だってサラトガと話してるとサラトガと話しているのかおっぱいと話しているのかわからなくなる、これは既に常識…
「まぁいい、えー…ホーネットくんは〜………射程中」
なるほど、狙撃銃みたいなの担いでいるがホーネット・ザ・ロングショットってワケじゃないのか
「で、ふむ……まぁ性能的には黒サラと似た感じか、悪くはないな」
「悪くない、ね」
「不満かね?」
「いえ、意外と妥当な評価が出来るのねと感心してるところよ」
「そりゃそうだ、何も俺はおっぱいばかりを見ているワケではない」
「ふ〜ん、なるほど……」
「ま、とりあえずサウスダコタくんと一緒にファームからスタートして貰おうか、だが、キミには期待している」
「I exert myself in order to respond to the expectation、ま、期待に応えられるようにするわ」
ーーー
最後の1人が退室した残暑の執務室…
「…サミー、麦茶くれ」
「あったか〜いですか?つめた〜いですか?」
「冷たいに決まってるだろう!キンキンに冷えたヤツをだ!」
さすがに10人は多すぎだろ…っ!ったく、疲れるわい
そんな疲労困ぱいの俺に、五月雨はキンキンに冷えているであろうグラスに入った麦茶を置いた…
「キンキンに冷えてやがる…っ!」
悪魔的だ…っ!この一杯の為なら犯罪だってやりねない…っ!そんな麦茶を飲み干した俺はグラスを執務机にワイルドに叩きつけ…
「フーッ〜…今日はもう店じまいだ」
「じゃ、私、もうアガりますね、お疲れ様です」
「おぅ、お疲れ」
………さて、今日は疲れたしママんトコでも寄って部屋に帰るか
次回は再びifエンド回ですって