不健全鎮守府   作:犬魚

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第六ステージは最近珍しい前後編

【登場人物】

提督(ア●ルならセーフ)
フレッチャー……!まだ先があった言うのか…!

金剛(長女)
暴の頂点に君臨する金剛姉妹の長女、提督との死合いの刻は近い…ッ!


鉄底海峡の死闘①

まだ見ぬ海の強者達がゴロゴロいる第六ステージ…

後半戦もいよいよ最終戦かの様相を見せ始めたこの海域で、遂に超級対決、戦艦VS戦艦の戦いが幕を開けるのです

 

この戦いの為に、その拳を温めていた最強最悪の名を欲しいままに君臨する戦艦姉妹“金剛姉妹”、そして!それに相対するのは深海棲艦の新戦力!かつての強敵!“南方”の名を冠する新しい姫!

 

それでは!カンムスファイト鉄底海峡!レディーゴー!!

 

ーーー

 

「…と言う感じで行こうと思うのだが?」

 

「…はぁ?」

 

俺のアツい考えに、寒色系秘書艦は大して興味もなさげな感じで自分だけ冷たいティーを飲みつつ雑誌の頁を捲っていた…

 

「いやだわこの子ったら、まるでわかっていない」

 

たまには執務室の小さいテレビではなく視聴覚室の大画面で戦艦同士のアツい戦いでも見ようじゃないかと視聴覚室へとやって来た俺とサミー…

 

しかし、そんな視聴覚室では香取先生が駆逐艦のバカガキどもに夏休み特別授業、火垂るの●上映会を実施しており、これはちょっとアレだなと遠慮しようとした矢先、香取先生はどうぞどうぞと快く視聴覚室を明け渡してくれた、まったく……今日も眼鏡がステキな香取先生はいつだってエレガントでいらっしゃる

 

「オッさん、まだ始まらねーの?」

 

「早くしろよテイトク」

 

「オッさんじゃない、提督だ」

 

視聴覚室を明け渡してくれたものの、バカガキどもは今からここで現場の中継を見ると知って大興奮、火垂るの●にはテンションだだ下がりだったハズが今やどいつもこいつも今か今かと戦いのゴングを待ちつつ俺に菓子ねーの?だのジュース飲みたいだの言いたい放題だ…

 

「やかましい、黙って見てろクズどもが」

 

「クズじゃないにゃしい」

 

「テイトクにだけは言われたくないわ〜.」

 

このガキどもが………後で全員ケツバットしてビービー鳴かせてやるわい

 

「ヘーイ、そこの席、空いてますカー?」

 

「あ?」

 

駆逐艦のクソガキどもにイライラが止まらねぇとイライラしていると………

 

とんでもないヤツが来たッッッ!!!

 

「オマエ………金剛ッッッ!」

 

…な、何故ヤツがここにッッッ!?普段、自らの居住地である戦艦寮、天動宮から滅多に動かぬヤツが…ッ!!

なんだ…?何が目的だ?先延ばし先延ばしにとしてきた俺との決着を、遂に付けに来たのかッッッ!!

 

「フーッ〜…」

 

金剛はあくまで優雅、いや……優雅と言うには違うか、だが、俺に対して殺意を向けるワケでもなく、ごくごく自然な流れで俺の隣の椅子に腰掛けた…

 

「………なんの用だ?キサマが自ら動くとは」

 

戦艦金剛……

この基地に居る艦の中でもとびっきりの戦闘力を持つ高速戦艦であり、とびっきりの危険人物…

 

大和、武蔵、長門……単純な戦力と言う意味ではこの金剛に勝る艦は居るが、それはあくまで対・深海棲艦の為に磨いた力…

 

だがッッッ!!この金剛は違うッッッ!!

 

その磨き上げた力の全ては対・俺の為だけに鍛え抜いた力ッ!金剛の拳は深海棲艦をDIEする為ではなく、この俺をDIEする為に鍛え抜いた拳…ッ!

 

“テイトクの心臓を貰うのはワタシデース…”

 

その言葉に嘘偽りはない、この女は出逢ったその日から明確に、この俺の命を狙っていたッッッ!!

 

「愚問ネ、可愛いシスターズの活躍を大画面で観たい、姉がそう思うコトにナニか不思議が?」

 

「ほぉ…」

 

…たしかに、この第六ステージ、俺は金剛を始めとする金剛姉妹に出陣せよと命令を下したが、案の定、金剛は命令を拒否、自分は出ないが姉妹は出マースとの回答をよこしやがった…

 

本来ならば、この基地の絶対支配者である俺の出撃命令に拒否するなどあってはならないコトだが……この金剛は違う、この基地の絶対支配者は自分であると言う強い自負心と、それを決定づける圧倒的な力…

ヤツは俺の下に居ると言う考えなどまるでないのだ!

 

「なるほどな」

 

「そのチープなアタマで納得頂けましたカー?」

 

「誰がチープなアタマだ、溢れる知性で返り討ちにしてやろうか?」

 

…俺の挑発を鼻で笑う、どうやら金剛のヤロウ、マジに今ここでヤる気はないらしい、ごくごく自然な流れで着席した金剛に俺に対する殺意は感じられない

 

「まぁいい、俺も大画面で姉妹の観戦をしたいと言う姉の気持ちを察しないほど小さい男ではない」

 

俺も金剛に倣い着席し、とりあえず飲み物でも飲むかと指をパチンパチンと鳴らすと…

 

「Hi!サムがcoffee持ってキたネー!」

 

まさかの元気いっぱいの返事………え?なんでサムくん?サミーは…?ってあのヤロウ!無視かよ!この俺を無視してまだ雑誌タイムかよ!舐めやがって…

 

「OK……OK……サムはデキる子、サムはデキる子……アツいCoffeeクライNo problem……No proble…」プルプル…

 

だめだ…ッ!!プルプルしてる!アツアツのコーヒーを何故か2つも載せたトレイをプルプルしている…ッ!

 

「あっ!ああっ!!」

 

◆◆◆

 

ソロモン諸島に陣取る深海南方旗艦戦艦新棲姫打撃群…

この、栄えある深海チームを率いるのは“南方”の名を冠した深海期待のスーパールーキー、南方戦艦新棲姫!

 

『蚊トンボ墜トス!殴リ合ヒ…!痛イ…暗イ…!眩シィ…眩シィヨォ!ハッ……アハハハハッ!』

 

『南方戦艦新棲姫クン!』

 

『マッタク!南方戦艦新棲姫クンノイキリップリハパネェゼ!』

 

深海チームメイト達の期待を、そして姫級深海棲艦界の古豪“南方”のカンバンを背負った彼女の両肩に乗るプレッシャーは重く、大きい…ッ!

 

今回出場する彼女の目的は………“名門復活”

 

かつて深海棲艦界隈で強豪鑑と呼ばれた南方一族、だが、最近はめっきり活躍の場を失い、南方=強豪のカンバンはいつの間にやら南方=昔は強かったのカンバンへ変わっていた…

 

「おーおー深海のゴミクズどもがわんさかおるわい…」

 

「比叡さん、あれ、全員死刑でいいんですよね?」

 

そんな強豪復活の野望と期待に燃える南方戦艦新棲姫の前に姿を現した海軍連合艦隊…

ここへたどり着くまでにはリコリス棲姫が立ちはだかっていたハズだが…

 

「おぅ、アレくれてやれ」

 

「ハイ!」

 

まるで世紀末軍団のようにニヤニヤと下卑た笑いを浮かべる世紀末連合艦隊から、南方戦艦新棲姫率いる旗艦戦艦新棲姫打撃群へとナニかが投げ込まれた…

 

まるでズダ袋のような、それは……

 

『………』死ーン

 

 

『リ、リコリィィィィスゥゥゥゥゥゥ!!』

 

『ゲェーッ!リコリス棲姫ーッ!』

 

『バ、バカナ……アノリコリスクンガ、コ、ココマデ一方的ニ…!』

 

ズタボロに転がるリコリス棲姫の姿に戦慄が走る深海チームに対し、次はオマエ達だ、と言わんばかりの宣戦布告…ッ!!

 

『リ、リコリス…っ!………ッッッ!!』

 

『南方戦艦新棲姫クン!』

 

『南方戦艦新棲姫クン!』

 

無残な姿となったリコリス棲姫を優しく抱き上げ、アツく抱きしめた南方戦艦新棲姫…!

そう、この作戦が始まる前、強豪復活のプレッシャーに悩まされ、押し潰されそうになっていた自分を救ってくれたのはこのリコリスだった…

 

 

ナァ?南方……何故南方型ガ戦艦ナノカワカルカ?超装甲ニ対抗スルタメダ、計画ノ中ニハ対戦艦戦モ入ッテイルノサ、モシモノ時ハオマエガ切札ニナル、任セタゼ……南方

 

 

『ユ、ユ…許サネェ!…絶対ニ!絶対ニ許サネェゾォォォォォ!』

 

『ナ、南方戦艦新棲姫クンノ蟹ガ!』

 

『南方戦艦新棲姫クンノ怒リニ反応シテ…!!』

 

『アレガ南方戦艦新棲姫クンノ、すーぱーもーど!!』

 

強豪復活、そして怒りに燃える南方戦艦新棲姫率いる深海南方旗艦戦艦新棲姫打撃群VS比叡率いる海軍連合艦隊

 

「相手にとって不足無し!行くぞォォォォォ!」

 

『野郎共!海軍ヲ滅ボセェェェェェ!!』

 

決戦の火蓋が今、切って落とされた…ッ!!





次回はその②………ではなく、たぶん水着についてのお話

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