不健全鎮守府   作:犬魚

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お嬢様の後編

【登場人物】

提督(眼鏡男子)
天龍、木曾とはマジダチ、3人でスーパーハンサムボーイズなるユニットを組んでいる

有馬優(箱入り)
お嬢様、人見知りで恥ずかしがり屋は徐々に改善されてるらしい

有馬貴子(箱なし)
大企業として有馬のトップを担う双璧の1人、提督の知り合いでもある日女大佐とは一応友人関係、一応


提督の花嫁-Revenge of the july- 後編

前回までのあらすじぃ…

オッス!オラ提督!ひゃー、こんなにヤベェのに、オラわくわくすっぞ!

 

 

 

「…と、まぁ、前回までのあらすじはいいとしてだ」

 

「何一つわかりませんでしたけど…」

 

サミーの冷静で的確な意見はいいとしてだ、さて……例の超絶箱入りお嬢様からお呼ばれし、無下に断るのもアレなので指定されたお高級なHOTELにホイホイ来てみたが…

そこで俺達を待っていたのはお嬢様………と、そのお姉様、美人姉妹にお呼ばれするなんてまるで俺もラブコメ主人公みたいだなオイ!と思ったのも束の間、黒髪ロングで巨乳なお姉様は俺のコトが大嫌いらしく、なんか下手なコト言っただけで読んで字のごとくマジで一刀両断されかねない雰囲気がプンプン!もぉー!私がいったいナニしたって言うのよ!

 

「妹さんに近付く悪い虫………いえ、害虫と思ってるんじゃないですか?」

 

「誰が害虫だ!っーか心を読むな!心を!」

 

「別に読んでないですよ、そーゆーコト考えてる顔だなって思ってただけです」

 

クッ…!コケにしやがって……!この青髪ロング子めが、こーゆートコがムカつくんだよコノヤロー

 

「まぁいい、とりあえずさっさとメシ食って帰るぞ、さっさと」

 

「まぁ別に急ぎの仕事があるワケじゃありませんし、食事の後に有馬嬢と暫しご歓談でもして盛り上がったらいかがですか?小粋なテイトクジョークでドッカンドッカン大笑い間違いなしですよ、たぶん」

 

「最後のたぶんで台無しだよコノヤロー」

 

この野郎、ここに入る前に互いに“助けない”事を約束しろとは言ったが、まさか自ら進んで俺を蹴り落としにくるとは…

 

………だが許そう、常日頃より残虐・残忍・残酷であれをスローガンに掲げる我が基地、ドブに落ちた犬はさらに沈める事を美徳とせよと教えを説いてきた俺が最も厚い信を置く秘書艦よ

 

---

 

「いや~…イイ天気ですなぁ」

 

「//////」

 

「ほらあそこ、大きな光りが点いたり消えたりしてますなぁ、彗星かな?いや、彗星はもっとバァーッと動きますからなぁ~…」

 

最高級なHOTEL料理を死の危険と隣り合わせである事を感じつつこなした俺…

それでいてトークには決して礼節を欠かない冷静で的確な答えを求められるとあってはかなり難しいコトなようだが、ハンサムな提督にはそう難しいコトじゃあない

 

ハッピーエンドの条件は常にハンサムが勝つコトであり、勝敗とは常に顔で決まっているのだ

 

「///」

 

無事に食事を終え、あとはイイ感じのタイミングでこの場をクールに去るにはどうすればいいか?

この、あまりにも難しい問題を解析函数の特殊値を添加してできる拡大体に含まれなければならないという代数体のアーベル拡大からアプローチしていると、秘書艦サミー子が“せっかくの機会ですし提督と有馬嬢お二人で下にあった庭園でも散策してきたらどうですか?”と強烈なキラーパスを放ち、有馬姉は物凄くイヤそうな面していたが妹の無垢な瞳には勝てなかったらしく、物凄くイヤそうに俺に“優に触れたら殺す”と囁き、信じて送り出してくれた…

 

「最近雨が多かったですからなぁ」

 

「/////……」

 

「え?あぁ、大丈夫ですよ、大した影響はなかったんで」

 

「////」

 

う~む、初めて会った頃に比べてよく喋るようになったなお嬢様も、最初はなかなか目も合わせてくれな……いや、そこは今でもあまり変わらないか

まぁ、この歳頃は気難しくて繊細になりがちだからな、うん

 

「しかしまぁ………イイ天気ですなぁ」

 

「//////」コクコク

 

…しかし参ったな、ウチのバカガキどもとは生物としてステージが違い過ぎる超絶箱入りお嬢様に対し、俺は小粋な話題と言うモノを持ち合わせていない…

あまり変な話題や俗っぽい話をしてもお嬢様的に困るだろうし、グゥゥゥム…

 

しかしそんな俺の悩みを察してか、お嬢様は意外にも積極的に俺の話を聞きたがった、最近基地のバカどもは元気なのかだの先日バスケットをした外国人の子などお嬢様的にはそんなモンで良かったらしい…

 

「///…////!」

 

「ハッハッハ、まぁアイツらは普段から鍛えてますからなぁ、ハッハッハ」

 

ーーー

 

「えー………オマエ、なんだっけか?サミ……さみ」

 

「五月雨です」

 

提督と有馬嬢を信じて送り出し、有馬嬢のお姉さんとティーでも飲んでお話でもしよーやと誘われたワケですが…

 

「そんな覚え難いですかね?私の名前」

 

「いや、別に覚え難いと言うワケではないんだが…」

 

見た目は妹の正統進化型みたいな見た目ですが、中身はかなり獰猛な感じのお姉さんは大して気にした様子もなく紅茶を啜った

 

「ところで、前々から気になっているコトがあるんですけど……聞いてもいいですか?」

 

「ん…?あぁ、私が知ってるコトならな」

 

「お嬢様……ってお見合いする以前からうちの提督のコト知ってたんですか?」

 

最初のお見合いの時から感じていた何かモヤモヤした感、提督は大将殿から見合いの話があり実際に会うまではお嬢様の事を知らなかったようですが、お嬢様はどうにもそれ以前から提督の事を知っているようなフシがあった

 

いや、そうでもなければ大将殿が何の得にもならないそんな犯罪適齢期で嫌がらせまがいな見合い話を組むワケもないし、そもそも見合い話は有馬側からあったと言っていた…

 

「………ふむ、実は私もよくは知らないんだがな」

 

「はぁ…?」

 

有馬姉曰く、何年か前、仕事で忙しくてなかなか家に帰れなかった有馬姉が帰宅したところ、有馬嬢がこれまで見たコトのないハシャぎっぷりで大興奮していたらしい…

 

「…はぁ?」

 

「当時、妹は海軍関係のイベントに行っていたらしくてな、おそらくその時に何かあったのだろうと思うのだが…」

 

「なるほど…」

 

それ以降、海軍関係者をやたらめったらと探して回ったらしく、そしてどうやらその探していた人物と言うのが…

 

「ウチの提督と言うワケですか」

 

「そうらしい」

 

妹に聞いても恥ずかしがって赤面するばかりで詳しい経緯はよくわからない、と言うのがお姉さんの知る情報の限界らしい

 

「そしてこれが恥ずかしさのあまり顔を赤らめる優の写真だ、どうだ?世界一可愛いだろう?」

 

「そうですね」

 

妹を溺愛する姉としてはこの写真はコレクションの中でもかなりレアらしく、仮にこの写真が他にもあるなら所有者を財力で破滅させるか自殺に追い込むぐらいは平然とやるそうです

 

「一応聞きますけど………どうお考えで?」

 

「どうとは?」

 

「まぁ、あらゆる意味で…ですかね?」

 

「そうだな………正直なところ、やはり妹の意思は尊重したい」

 

意外…ッ!!え…?凄く意外な答え、私はてっきりあのクソメガネにはイイ感じでアレしてお嬢様の中からフェードアウトして貰うとかそんな予想だったのですが…

 

「………優に嫌われたくない」ボソッ…

 

「嗚呼、なるほど、そんな感じですか」

 

たしかにその気になればあらゆる手で提督なんか吹けば飛ぶ存在、どうとでも出来るのに……この甘さ、この人も相当アレなんですね

 

◆◆◆

 

お嬢様との時間を忘れるステキなご歓談を無事に終え、何度も何度も手を振るお嬢様に“また逢おう!ワシのコトが嫌いじゃなければなぁ!”と小粋なテイトクジョークで別れを告げてようやく帰路へと就く電車…

 

「サミー、茶くれ、茶」

 

「ないですよ」

 

「オマエさっき駅で自販機で買ってたろ?」

 

「これは私が自分で飲むやつです、トイレに行って水でも飲んだらどうですか?」

 

「なんてコト言うのかね、この子は」

 

なんてヤツだ、こやつめ……秘書艦だからと言って全てが許されると思うなよ、いつかその澄ましたツラをギャフンと言わせて土下座させてやるわい

 

「で?どうでした?お嬢様は?」

 

「どうもナニもやっぱ良い子だな、ウチのバカガキどもとは人としてのレベルが違う」

 

「そーゆーのじゃなくて………いえ、別にいいです、よく考えたらやっぱどうでもいい感じでした」

 

「なんだその投げやり感は、そもそもなんだ?卿は俺を軽んじてるのか?卿は俺のなんだ!」

 

「部下………じゃないですか?たぶん」

 

「またえらく曖昧だなオイ」





次回は第三ステージ、憧れるのはもう……やめる!

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