不健全鎮守府   作:犬魚

716 / 940
実はしれっとそろそろこのお話も開始から4年目
4年目の節目にお嬢様回

【登場人物】

提督(メガネ男子)
自称ハンサムのハンサムメガネ

五月雨(秘書の人)
コーヒーの不味さに定評のあるドジっ子、一般的な五月雨よりセメント気味

有馬優(お嬢様)
たまに出てくるを今まで他人が苦労して立てた全てのフラグをブッ千切って超越する完全無欠のJS



提督の花嫁-Revenge of the july- 前編

“有馬”と言う一族がいる…

 

その成り立ちやら歴史やら成長の変革やらは正直まるで知らないが、この国において、このARIMAの関連しない事業を探すのが難しいと言うコトぐらいは子供には難しいかもしれないがたぶんイイ大人なら知っているだろう、俺だって知っている、例えばあのマヨネーズ、有馬フーズの孫会社が作ってるし、今見ているこの番組だって有馬のスポンサーだし、出てるアイドルも有馬のメディア関連の事務所だと言う…

 

そんな一大企業である有馬、その華麗なる一族のご令嬢からお食事に誘われるコトなど卑しき身分には生涯縁の無いコトである…

 

いや、縁の無いコトであった

 

「どうかね?んん?ビシッとハンサムにキマっているかね?」

 

「そうですね、スーツはなかなかのハンサムスーツだと思いますよ」

 

「カッカッカ!こやつめ!カッカッカ!こやつめ!」

 

キュウシュウにあるとあるお高いホテル…

このどう見てもビジネスプラン5980円(喫煙・朝食なし)のシングルのプランなど無さそうなホテルの前で、俺と秘書艦サミー子はホテルに入る前に己のハンサムに入念な最終確認を行っていた…

 

「しかし何度か遠くから見たコトはありましたが近くで見るとやっぱセレブオーラが漂いますね」

 

「まったくだ、セレブに無き者は決して立ち入れないオーラがBARI-BARIだぜ…まさに敵地(アウェー)と言ったところか」

 

「ナニが敵地(アウェー)ですか、招待してくれたお嬢様に失礼ですよ」

 

このオーラ、まさにセレブに無き者は問答無用で弱体化の補正がかかりかねんな、これは相当フンドシ締めてかからにゃなるめぇよ…

 

「よし…行くか」

 

「そうですね」

 

俺とサミーは入念な最終チェックを済ましホテルの入り口へと歩き出す…っ!ここから先はセレブでなければ生きてはいけない魔境、おそらくはこのホテルから無事に生きて戻れるかはわからない…

俺はサミーにこの中で何が起ころうと“助けない”つもりでいる!だからオマエも俺を“助けない”と約束しろと誓いを立て、いよいよお嬢様の待つホテルへと突入する…っ!

 

ーーー

 

ホテル突入より二週間程前…

 

「…はぁ?招待状?」

 

「えぇ、提督の花嫁から」

 

「ナニが花嫁だ、アホなコト言ってんじゃないよこの子は…」

 

サミーから受け取った手紙、差し出し人はたしかに例のお嬢様みたいだが………内容はと言うと、たまたまキュウシュウへ来るコトとなり、たまたま時間を空けるコトができたのでご都合がよろしければ一緒に食事でもどうでしょうか?とのコトだが…

 

「…ご都合は良くないな、サミー、断っておいてくれ」

 

「イヤですよ、自分で断ってくださいよ」

 

「なんだとォー!サミー…っ!卿は私のなんだ?言ってみろ!」

 

「…部下、ですかね?」

 

「そうだ!俺の最も頼りにする秘書艦であり、他に並ぶ者はいない厚き我が忠臣であり、あの日、共に夜空を見上げ銀河を手に入れようと誓いを立てた仲、そうではないか?」

 

「まぁ、他に誰もやりたがらなかったせいか、なし崩し的に秘書艦ではありますけど、忠臣と言うほど忠義はないですし、銀河ならもう2個も手に入れてますよ」

 

「言い訳はいい!」

 

俺は黒檀の机をおもいっきりダァン!し、卿がやらねば誰がやると言うのだ!とアツくサミーに問うと、軍務上の断りならともかく、そんなプライベートな断りは私の仕事じゃないですとバッサリと肩甲骨をブチ割って上半身を腰寛骨までアジの開きのように裂いてきたッ!!

 

「………たしかに、これはプライベートな誘いであり、断りもプライベートやもしれぬ」

 

「やもしれぬ、じゃないでそうじゃないですか」

 

「だがサミーよ、あの超絶箱入りお嬢様からのお誘いだぞ?これをどうやんわりと、そして失礼のない文言で断れば良いのだ?」

 

「はぁ?」

 

「卿の意見を聞こう」

 

相手はこの国を裏から牛耳ると言っても過言ではないやんごとなき身分、その、やんごとなき身分の姫と言えるべき立場の人物だ、正直、こんな手紙は見なかったコトにして知りませんでした!で通したいところだがそうはいかない…

お嬢様の家は海軍の上の方と密接な繋がりやら取引があるらしく、あのヤンチャが服を着てるヤンチャ者の大将殿が気を遣うほどの大物だ、下手をすれば俺の首はモチロン、この基地も飛ぶ………文字通り、消し飛ぶ

待った無しのバ●ターコールじゃあ!!は確実ぅ!だろう…

 

「その日デ●ズニー行くからマヂムリとか?」

 

「JKか…ッ!!」

 

できるか…っ!そんな断り方…っ!無理っ…!どう考えても無理…っ!救えない…っ!

 

「むしろどうせ大した用もないでしょうし、行ってきたらいいじゃないですか?そもそもなんで断りが前提なんですか?」

 

「え?だってメンドくせぇじゃん?」

 

「はぁ………だからモテないんですよ」

 

「誰が非モテだ、モテまくりだよ」

 

「はいはい、モテまくりモテまくり、なんと言うか…モテまくり人生とか言うと怪しいブレスレットのアオリ文句みたいですね」

 

「やかましい!いいからなんかカッコいい感じのアレ考えて、イイ感じのアレでアレしてくれんかねキミぃ」

 

そんなワケで、俺とサミーはお嬢様からのプレミアムご招待についてアツき討論を交わし、執務室での討論では結論が出なかったのでとりあえずマミー屋に行ってアマイモン充填して気分を変えようと討論の場をマミー屋へ移し、さらなるアツい討論の結果、マミー屋のスイーツ(時価4980円分)を奢る事を条件に、当日はサミーにも付いて来てもらうと言う結論に至った…

 

ーーー

 

「そもそも私は招待されてないんですけど?」

 

「やかましい、オマエは俺のなんだ?アレだろ?アレなんだからこーゆー場に同伴しても問題はない、違うかね?」

 

「さぁ?どうなんでしょうか…?」

 

お高価セレブリティホテルへ無事入店した俺たちはベルボーイだかコンシェルジュだかよくわからない人に案内され、目的のホテルレストランへと向かっていた…

しかしやはり一流のホテルは違うな、隅々まで行き届いた清掃、一流を相手するべく高い教養を感じさせる従業員…

おそらく、このホテルにはエレベーターの近くに有料放送のテレビカードの販売機など存在しないだろう…

 

そんなワリとどうでもいいコトを考えつつ歩いていると、目的地であるレストランに到着した…

 

「//////」

 

「いや〜…お久しぶりです、お元気そうでなにより」

 

席で待っていたらしいお嬢様は椅子から立ち上がり、懇切丁寧に頭を下げて俺たちを出迎えてくれた…

グゥ〜ム、やはりウチのバカガキどもと違って立ち姿だけでも気品と言うか、オーラがあるな、やっぱ…

 

「フン………よく来たな」

 

と、もう1人…こちらは椅子から立ち上がるコトもなく心底面白くなさげにグラスを呷っている黒髪ロングの美女………たしか、え〜……アリマタカコ?だったか?お嬢様のお姉様、前に一度会ってはいるが…

 

「と言うかオマエ、せっかく優がオマエの為にわざわざ時間を割いて招待したと言うのにまた女連れか?あ?イイ度胸してるじゃないか?あ?」

 

アリマタカコはグラスをテーブルに叩きつけてゆらりと立ち上がるとテーブルに立て掛けてあったニホントウみたいな………っーかマジの日本刀じゃねーか!!

 

「生きて帰れると思ってないだろーな?なぁ?」

 

俺に対してメチャメチャメンチ切ってくるお姉さんに対し、お嬢様はやめてと言うようにお姉さんの服の袖を引っ張った…

 

「フン………まぁいいだろう、別に1人増えても構わんか、なぁ?」

 

お姉さんはホテルメンになぁオイ?と声をかけると、ホテルメンからレストランの方に即座に伝わったらしい

 

「私はただの付き添いの秘書艦なのでアレでしたら外で待ってますよ?」

 

「オイ待て!逃げるのかオイ!逃がさねーぞ」

 

「気にする必要ない、別に1人増えても料理が減りゃしないさ、え〜……なんだっけ?秘書艦の」

 

「五月雨です」

 

「五月雨ね、ふ〜ん、まぁ座ってくれ、あとオマエもな」

 

…あの、俺に対する扱い雑じゃない?っーか執事のジジイといい、このお姉様といい、お嬢様以外は俺に対して殺意剥き出しすぎだろ、少しはお嬢様のエレガントさを見習えよ…

 

「///」





次回はたぶん後編、もしかしたら違うかも

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。