【登場人物】
足柄(重巡)
長女から子持ち処女とディスられる三女、キッズからの人気は高い
深海千島棲姫(村人その2)
村出身の深海ガールその3、イキリ具合はその1とその2を上回り、実力は確かなもの
木曾(改改)
4人の個性溢れるお姉ちゃん達から可愛いがられるラノベ主人公属性を持つ球磨姉妹の末っ子、中二病
提督と天龍はマジダチ
例年なら梅雨から初夏に差し掛かるであろうこの季節…
今年のオープニングゲームを飾る大規模作戦海域は開幕初戦から新型の姫級が登場すると言う熾烈を極める戦いとなった…
開幕初戦ぐらいは甲難易度を制圧し、上にちゃんとやっていますよとアピールするコトを忘れないイキリテイトクである当基地、その、イキリテイトクの指揮下で今年の開幕スタメンとなったのは………
「出たーっ!足柄さんのハイアングル3号砲ーっ!」
「狼は……狼はまだ死んじゃいないぜーっ!」
伝説の狼!ワイルドウルフ足柄を含む千島列島方面殲滅部隊 VS 深海期待のスーパールーキー!深海千鳥島姫率いるオホーツク海底深海千島棲姫部隊の激突!
初戦からオープニングゲームに相応しい壮絶な殴り合い!両陣営共に一歩も退かない展開のこの戦い…ッ!!
『ハジメテ…ミタノカイ……?……ソウカイ?ジャア……ココデ……シズメテ…ヤルヨォッー!』
今回初登場のご当地深海姫、深海千鳥島姫…
彼女は栄えある開幕戦のBOSSとして任命され、しっかりと身体を作ってこの戦いに臨んでいた…
彼女がこの開幕BOSSとして抜擢されるまでには並々ならぬ執念、そして努力の日々があった…
そう、彼女がまだ深海軍に入隊するより以前、生まれ育った村にあの頃、彼女には大きな“夢”があった…
そう……あれはまだ彼女が故郷に居た頃…
「うるせぇーっ!!!」
ドゴォッ!!(パワー3号砲)
『ゴハァ!!サムイ…ッ!!ツメタイ…!!』
「戦いの最中にゴチャゴチャ言ってんじゃねーぞ!回想なんかで無駄な尺をとるんじゃねぇーッ!」
ゴシャアッ!!(ライジング3号砲)
『グヘァ!!………ヘッ、へへ…』
「ば、バカな!コイツ…っ!効いていないってのかーッ!」
『…オマエニワカルカ? 血ヘドヲハイテ汗ト涙ニマミレテボロボロニナッテネケダス苦シサガ………ケド、オカゲデ私ハ………強クナリスギチマッタヨ』
「てめぇ……おもいあがるんじゃね―――っ!!」
足柄の猛攻にまるで怯まないっ!その姿たるやまさに怪物!まさか開幕初戦からこんなモンスターが出てくるとは誰もが予想だにしていなかった…っ!!
無敵の狼が、伝説の狼の伝説が、今!まさに崩れ去ろうとしている…っ!
『ホラホラァッ!!!サムイダロウ? ツメタイダロウ!?コンナ…サムイウミデ………シズムノハ…イヤダロウ?……イヤダヨナァッ!』
「う……ぎゃああーっ!ごが!ごががあっ!い、いてぇぇーっ!おぐ!おぐう!うぎゃっ!うぎゃっ!うぎゃーっ!」
「あ、足柄さん!」
「足柄さんが…っ!う、嘘だろ…!足柄さんが負けるワケが、負けるワケがねぇーっ!!」
◆◆◆
梅雨明けの気配はまだ遠い梅雨の執務室…
「そう言えば今回、開幕五十鈴さんじゃないですね」
「フーッ〜……五十鈴さんの出番はまだだ、本人にもそう伝えておるわい」
「へぇ…」
相変わらずわかったようなわかってないようなツラと言うか、自分で聞いておきながらまるで興味のなさげな返答をしつつ、秘書艦カミナゲーヨ・コイツは冷たい麦茶を俺の前に置いた
「しかし今回は初戦から相手も飛ばしてきますね、あ、またイイの入りましたよ、レバーに」
「イイの入ったな、ただし、相手からこっちにだが」
俺たちは大事な大事な開幕戦を執務室のテレビで現場の中継を見ているワケだが………これがまさかの大苦戦、楽勝ムードで今日もケチョンケチョンに負かしてやりましょうかねぇ〜…と信じて送り出したチームがかなりの痛手を負っている始末…
今回、不思議なパワーが溢れているとかなんとか言って信じて送り出した潮はここぞと言う場面でやる気のないピッチング、同じく、不思議なパワーに溢れているとか言って飛び出したボノも口は悪いが打たれ弱いヘタレぶり………コイツらのボーナスはカットだな
そんなシビアなボーナスカット査定に考えを巡らせていると、執務室の重厚な扉を叩き、新たなる侵入者がやって来た…
「お疲れ様です!夕張です!」
「…夕張か、なんの用だ?」
ア●ル隷奴艦の……じゃなかった、クレイジー実験軽巡夕張は、いやぁー今日もアツいですねーと言いつつ自らのお腹をポンポン叩きながらサミーに麦茶とかない?と言ってお客様ソファーに座った
「あ、今、現場の中継見てます?」
「見てるが?それがなんだ?」
「いや、木曾さんに新しく作った装備渡してるんで調子はどうかな〜って気になっちゃって」
「木曾に?」
…そういや木曾のヤツ、出撃する前に天龍のバカとなんかスゲーカッケーとかメチャシブいとか盛り上がってたな
「っーかオマエ、ナニ勝手にワケわからん兵器を出撃メンバーに持たせてるんだコラ?」
ギリギリギリギリ!(魔のテイトククロー)
「痛いーっ!!痛い痛い痛い痛い!!割れます!割れちゃうぅぅ!!」
夕張の顔面を掴んだまま壁に夕張を叩きつけると、夕張は痛い痛い言いつつも気色の悪い笑みを浮かべていた…
「イタタ……」
「クッ…!相変わらずなんてtoughなヤツ」
やはり痛みではダメか、誰がコイツをこんなにマゾに仕立て……仕立て上げたと言うのだ
「まぁいい、で?木曾にナニ渡したんだ?魚雷か?」
「いえ、ピーコックスマ●シャーです」
「あ?」
「ピーコックスマ●シャーです」
「二度言うな」
◆◆◆
「この瞬間を!待っていたんだーっ!!」
『ウゲェーッ!!コノ…ツメタイウミデ……マタ…ネムルノカァァァ!!』
漆黒を纏い禁忌の力を手に入れしダークナイト(自称)木曾、今日、この日の為に用意してきた“最高にカッコ良くてイカしてる武器”をブッ放す!!
「フッ、MVP………いらないねェー!そんなものは!」
そして、この日の為に考えて来た最高にカッコ良いポーズとカッコ良い台詞………キマった、完璧に…帰ったら天龍に自慢してやろう、漆黒を靡かせ木曾は最高に気分が良かった…
「あの……キソさん」
「ん?なんだ?え〜………フレッシャーだったか?」
「Fletcherです、あの……基地から電話が、キソさん宛てで…」
「フッ、電話か…」
今回のチームリーダー、フレッチャーからケイタイを受け取った木曾は最高に気分良くもしもーしと…
『木曾ォ!!オマエ今のはなんだクマァァァ!!今すぐ帰って来いクマ!!姉ちゃんオマエに話があるクマ!!』
「ゲェーッ!!姉ちゃん!」
『ゲェ?ゲェってナニクマ?オイ、木曾!!もしもし木曾!いいから早く帰ってくるクマァ!!聞いてるクマか!姉ちゃん今すぐ帰って来いって言ってるク…』