【登場人物】
提督(メガネ男子)
好きな知性技はインテリジェンスモンスターパワークラッシュ
Prinz Eugen(プリン)
通称プリン、自称ビスマルクさんの1の舎弟、金と権力よりビスマルクさんが好き、提督とはDNAレベルで不倶戴天の神話の時代からの天敵
みなさんこんにちは、提督です
僕は今、たまの休日を利用して街に遊びに来ています
…え?1人で?いえいえ、それが1人じゃないんですよ、職場の同僚……いえ、部下と………いや…
“天敵”と来ています
「オイ、もう20cm離れて歩け、殺すぞ」
「ハァ?オマエが離れろボケ、殺すぞ」
「アァ!?」
「ヤんのかコラァ!!」
天下の往来で、俺とプリンツは互いに胸ぐらを掴み、思わずKISSしちまいそうな距離でメンチを切り合う!二言目には“殺すぞ”と言う単語を言い合うおそらくは神話の時代からの天敵同士ではないだろうかと言葉ではなく心が理解している俺達だが…
『…マックス、やっぱりケンカを始めたよ』
『そうね、メモメモ…』
…………俺達は互いに胸ぐらを掴む手を離し、互いににこやかな笑みを浮かべる
「プリンツくぅ~ん、胸のトコにゴミが付いていたよぉ~」ニコォ
「んまぁ~!アトミラールったら、襟が曲がっていましたよぉ~」ニコォ
…………俺達のフレンドリィなやり取りに、どうやら今のは見違えだったらしいねと納得して頷き合っている俺達の背後から物陰に隠れつつヴァレヴァレな尾行をする追跡者達…
その追跡者達に気付かれないよう、俺はプリンツに小さく舌打ちする…
「…後で殺す、必ず殺す」ボソッ…
「ヤってみろ?挽き肉になるのはテメーだよ…」ボソッ…
俺達はまるで仲の良い恋人達のように手を繋ぎ、さぁ!次はどこに行く?アナタの行きたいところならどこでも!と歩き出した…
何故、俺とプリンツがこんなコトになったのか、話は先日に遡る…
◆◆◆
「テイトク、Prinz、ちょっといいかしら?」
主に、海外艦が住んでいる海外艦専用寮、インターナショナル寮…
その、インターナショナル寮のドイツ艦部屋に住んでいるビスマルクさんから呼び出しを受けた俺はウキウキしながらビスマルクさんの部屋へと行った、パリッとしたスーツ、整えられたヘアスタイル、モチロン、あの方へ贈る大きな花束も忘れない………完璧だ
そんな完璧な準備を整え訪ねたビスマルクさんの部屋で、俺………そして、プリンツのカスは対面に座るビスマルクさんを前に身を小さくしていた…
「聞いたわよ、アナタ達、最近あまり仲が良くないみたいね」
「は、はぁ…」
「そ、そうでしょうか…ってビスマルクのアネゴ、その話どこから…?」
「どこから…?Prinz、アナタにそれを話す必要があるかしら?」ギロッ!
「ハッ!申し訳ありません!で、出過ぎた真似を…」
ビスマルクさんに睨まれ狼狽えるプリンツ、クックック…いい気味だわい、そのままビスマルクさんに嫌われてしまえマヌケめ!
「テイトク、アナタ最近食堂でPrinzと肩がぶつかったとかなんとかあるコトないコト因縁をつけてたと聞いたケド………事実かしら?」
「いえ!そのような事実は一切ございません!」
「そう、ならこの写真はナニかしら?」
そう言ってビスマルクさんが机の上に出した写真はまるで独特の擬音や描写でお馴染みのロマンホラー深紅の秘伝説の46巻の表紙のようにメンチを切り合う俺とクソプリンのHOTでアツアツな姿が写っていた………何故こんな写真が?
青葉か?
「ナニか言い訳があるなら聞くわ」
「これは服装の乱れを注意しているところです、な?プリン」
「ダレがプリンだ、誰が、殺す………じゃない、ハイ、アトミラールの言う通りです、アネゴ」
「………そう、あくまで、アナタ達は険悪な仲ではないと?」ジロッ!
まるで獅子の如きビスマルクさんの鋭い視線…っ!
心の弱い者なら思わず己の非を認め、心よりの謝罪に頭を垂れるところだが、残念ながらは俺はその冷徹さと気高さを併せ持つその視線に興奮する系なので問題ない
そしてそれはこのクソプリンも同じらしく、今も俺の敬愛するビスマルクさんに対し邪な感情を抱いているだろう
「そう、アナタ達の言い分はわかったわ」
そう言ってビスマルクさんは机の写真を下げるとUの淹れたコーヒーを啜り…
「アナタ達が険悪でないと言うなら、2人でDateでもして貰おうかしら?」
「は?」
「はぁ?」
『『ハァ!?』』
な…何を言ってるんだこの御方は?俺が…?このプリンと…?いやいやいや、無理…っ!
「いやいやいや!ビスマルクさん、デートってのは〜…ほら、アレですよ!恋人同士がするものであって、その〜…幸せで、幸せで、幸せで、幸せの絶頂にある男女でないと…」
「そ、そうですよアネゴ!こ、恋人でもない男女がDateなんて…っ!」
「ナニ2人してカタいコト言ってるのよ、2人とも前時代的すぎるわ」
ビスマルクさん曰く、友人同士、楽しく食事したり買い物したりとかするでしょ?とのコトだが…
「Prinz、今度の休みにテイトクとDateしなさい、これは命令よ」
「は、はぁ……」
「ナニ?不満なの?」ギロッ!
「ハイ!喜んで!」
「テイトク、今度の休みにPrinzとDateよ、わかったわね?」
◆◆◆
…こうして、俺たちはビスマルクさんよりデートを斡旋され現在に至る…
そしてこのデートは、ドイツが誇る秘密諜報員によって一挙手一投足の全てが監視されており、俺たちが殴り合いでもしようものならビスマルクさんの怒りを買い、俺たちは然るべき場所へ送られた後、残酷な死を迎えるコトになるだろう…
「オイ、プリン、さっきの店、気付いたか?」
「えぇ、Uが隠れてたわ」
おそらく監視はU511とロー、そしてレーベきゅんとマックスきゅんとグラペンの飼い犬であるグラーフツェッペリン犬、たぶん犬の散歩も兼ねているのだろう…
「残り時間は?」
「夕方のバスまではあと4時間」
「上等だ、買い物、食事、あとはそうだな…ゲーセンにでも行くか?」
「げーせん?」
「仲良くゲームでもしてる姿を見せればヤツらにも効果はあるだろう」
「なるほど、クソアトミラールにしてはなかなか冴えてるじゃない?」
「あ?」ピキッ!
「ア゛ァ?」パキッ!
このクソプリンがァ…
『また睨み合ってるよあの2人、やっぱり仲悪いんだよ』
『そうね、なんか火花みたいなのが見えるし…』
…チッ!俺たちには尾行者が居る、今日のところはコイツとヤリ合うワケにはいかねぇな
「チッ、行くぞプリン」
「だから誰がプリンよ、ぶっ殺……ころがすぞ!」
この後、俺達は尾行者を気にしつつもワリと無難におデートイベントをこなし、監視していたであろうドイツJr.の秘密諜報員達に、俺達はより一層の友情を深め合った!という印象を与えただろう…
レーベきゅんとマックスきゅんが犬を連れてトコトコ歩いて行く後ろ姿を確認しつつ今日と言う日が二度とない事を神に感謝した…
「テイトク!それろーちゃんも食べたいですって!」
「え?やだよ、プリンから貰えよ」
「…Uも、それ、食べたい」
ちなみに、U511とローは俺達がたい焼きを買い食いしていたら尾行者の仕事を放棄し、たい焼きをくれとまとわりついて来た…