不健全鎮守府   作:犬魚

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なんやかんでスロウペース気味、疲れているのかしら?

【登場人物】

悪行白露型軍
白露型キセキの世代を含む邪悪のエリート、意外にも姉妹で定期的に焼き肉したりと仲は悪くない

表島白露型軍
わりと普通の白露型姉妹、特に五月雨は普通の五月雨



EXTRA GAME④

南の戦場!まさかの試合中にタッグ解消!方向性の違いから袂を分かち決別した白露と海風…ッ!

 

激戦の続く戦場に、新たな動きがあったのは西の戦場だった……

 

「ゲェーッ!あ、あの動きはーッ!初春様!アレはまさしくアレでは!?」

 

「うむ、アレじゃ」

 

「なるほど、やはりアレですか…」

 

西の戦場、涼風VS夕立のシングルマッチ、開始序盤こそ速攻火力で勝る夕立が激しく攻め立て勝負は有利に見られたが、最も勢いがある序盤を凌ぎ切られながらも中盤まであと一歩に迫る勢いまで追い詰めては決め手を凌がれ、涼風のターン…

 

「オラァ!!」

 

「ウッギャアー!!!」

 

人間風車→回転揺り椅子固め→脳天杭打ち→吊り天井固めの流れるような基本技の連続!涼風は一気に夕立を仕留めにかかる!

 

「くたばれやーッ!!」

 

流れるような動作で決まった殺人技、風林火山をモロに被弾し、夕立は吐血しつつリングに転がる…

このダメージは誰の目にも明らかに深刻ッ!もはや夕立は立ち上がるコトすら難しいだろうと誰もが思ったその時だった…

 

『フフフッ…』

 

『ハハッ…』

 

表島大佐側のベンチが再び動く!パイプ椅子から立ち上がったチームのメンバー達はまるで組体操でもするかのように艦娘の壁を作り上げたッ!!

 

「あ、あれは……!」

 

「なんだい?ありゃ?」

 

「ヘッ……へへ、あれは激励の陣!たしか“死力を尽くせ!”だったっぽい…」

 

チームメイト達からの激励に、つい先程まで死に体だったハズの夕立は再び立ち上がる!仲間達の為に負けるワケにはいかない!そう!絶対に勝ってみせる!

アツい友情、いや、姉妹のアツい絆のパワーが夕立に再び戦う力をくれた!

 

『オイ!スズカー!テメーナニチンタラやってんだコラァ!やる気あんのかー!五月雨Bかテメーはーッ!』

 

『不甲斐ない試合だな、僕を失望させるな』

 

『オイオイオイ!この掃除機、ガタがきとるんちゃうかー!ギャハハハハ!』

 

対して、メガネ側ベンチから飛ぶチームメイトからのアツい罵声…

 

「オマエら、アトで全員ぶっ飛ばすからな、あとアタイを五月雨Bって言ったヤツ!オマエだよオマエ!そこのメガネ!絶対殺すからなァ!」

 

◆◆◆

 

「死ねッ!」

 

「こ、これは…!?」

 

試合中にまさかのタッグ決裂!実の姉妹同士の死闘となった白露と海風、その戦いはまさしく一進一退の攻防!しかし…!!遂に白露が勝負に出る!!

 

『ゲェーッ!あ、あの技はーッ!』

 

『間違いない!あれは前に明石VS夕張の戦いで明石が使った必殺技!』

 

空中で海風を捉えた白露は海風の両足を脇にかかえ、両腕をキーロックに固め、ツームストンドライバーの体勢で勢い良く落下を始める!!

 

『ア●ル・カタストロフドロップだーッ!』

 

『アレをマトモに喰らえばンミカゼちゃんのア●ルはタダじゃ済まねぇぜーッ!!』

 

『白露のヤロウ!本気だ!本気で妹をヤるつもりじゃー!!』

 

死の必殺技!勢い良く落下するア●ル・カタストロフドロップ!マットに叩きつけられればタダじゃ済まない超絶奥義に、海風はなんとか身体を捻りロックから脱出を試みるが…

 

ギリギリギリ…ッ!!

 

「クッ…!う、動けない!」

 

「バァーカァーめぇー!!海風ェ!キサマのア●ルはコレで終わりよ!」

 

「クッ……!白露姉さん、どうして…?あんなに優しい姉さんが一体なんで…?」ポロポロ…

 

「……な、涙ッ!?」

 

「いつもの優しい白露姉さんのコト、本当に尊敬していたのに……私も、一番上のお姉ちゃんみたいになりたくて、白露姉さんみたいになりたくて……それが白露姉さんを苦しめていたなんて…」ポロポロ…

 

「や、やめろォ!!やめろ海風ェ!!私は……私はッ!!」

 

「白露姉さん…」ポロポロ…

 

「う、ウオオオォォォォォ!!やめろ!私は!私は長女で…!オマエなんか大嫌いで……大嫌いで!!でも、やっぱり海風ェは!私の妹で!!」

 

海風涙の訴えに、怒りの阿修羅だったハズの白露の覚悟が鈍った!!白露は相反する己の感情の葛藤に涙を流し、完璧に極まっていたハズのロックが僅かに緩んだ!!

 

「ハアーッ!!」

 

「しまっ!?……クッ!!海風ェ!!」

 

落下中にア●ル・カタストロフドロップから見事に脱出した海風は逆に白露を空中で捉え、さらに右足で白露の両足をフロント・インディアンデスロックに極め、右手で白露の顔面を掴む!!

 

「グ、グオオオ…!う、動けん!」

 

「白露姉さん!この技で終わりにしましょう!!いきます!私から姉さんに贈る最高の技!!」

 

「グワァァァァァ!!」

 

ズガアァン!!!(有罪(ギルティー)ーッ!)

 

落下速度増し勢い良くマットに叩きつけられた白露は2、3度、血反吐をブチ撒け、ビクンッ!ビクンッ!と痙攣して動かなくなった…

 

「ハァ……ハァ、…か、勝った!」

 

【D2 :白露・海風組 VS 山風・江風組】

【D2-1:●白露 VS ○海風・山風・江風組】

※タッグ決裂の為、白露の敗北により試合は表島大佐軍の勝利

 

◆◆◆

 

下段回し蹴り→中段回し蹴り→下段足刀→踏み砕き→上段足刀、涼風の流れるようなコンビネーションが炸裂するッ!!

 

「ぬぅ…アレは」

 

「知っているのですか?初春様!」

 

「うむ、アレこそ“煉獄”……ヤツめ、まさかアレを習得しておったとは…」

 

煉獄!!それぞれ5つの急所への連続技からなる7種の型で構成される連続打撃技であり、一度その技に嵌ってしまえば反撃どころか倒れることすら許さぬ怒涛の連続攻撃をその身に受けるのは必至、まさしく煉獄の名に相応しい地獄を見るコトとなる…

 

「…つまり、格ゲーなどで言う乱舞技みたいなものでしょうか?」

 

「まぁ、そんなところじゃ」

 

一度嵌れば地獄行き、煉獄をマトモに被弾した夕立は気絶しようが倒れるコトも許されない、もはやこの勝負は…

 

「試合を止めよ、決着じゃ…」

 

「あーっ!!ここで初春様からストップがかかったーッ!!ゴング!ゴングです!試合終了ォォォォ!!」

 

カン!カン!カン!カン!(ゴング)

 

「チッ、なかなかしぶとかったなオイ、アタイにアレまで使わせるとは…」

 

「ゴハァ……ぽい」

 

煉獄から解放され、マットに倒れる夕立にベンチから一斉に飛び出したチームメイト達、そして表島大佐が駆けつけ、夕立を優しく抱きしめた

 

「夕立ィ!夕立ィィィィィ!!大丈夫かァァァァァ!!」

 

「へ、へへ……ゴメンっぽい」

 

「よくやった!よくやった!感動した!オイ、早く夕立をメディカルルームへ!」

 

「みんなの期待に……応え、られなくて…」ポロポロ…

 

「泣くな夕立!オマエはよくやったから!な?」

 

「うっ……ぅぅ!ティトクゥ……夕立は、夕立は!二度と敗げね゛ぇ゛がら゛!!アイツに勝って!絶対に…ッ!!もう!!敗けねェー!!」ポロポロ…

 

どんっ!!

 

 

【S1:○涼風 VS ●夕立】

 

◆◆◆

 

西、南、北、3つの戦いが決着し、最後に残されたのはこの戦いにの狼煙を上げた東の戦場………春雨VS春雨!!

 

「くたばれェェェェェェ!!!」

 

「こ、この力は…!まさか……マサカ!?」

 

艦娘でありながら深海棲艦の力をその身に宿すスペシャルな存在、イカれたピン(パツ)(フネ)、春雨…

 

仲間達が次々と倒れていく中、遂にブチ切れたのか、その身に宿した脅威の超絶パワーを発揮し、白髪の春雨の顔面を片手で乱暴に掴み、そこら辺の壁に激突させてガリガリ走り回りぶっきらぼうに投げ捨てる!!

 

「す、少しは手加減しろォォォォ!!」

 

「手加減…?手加減ってなんですか?」

 

残虐提督軍のお株を奪うかのような残虐ファイトに、春雨と言う名の白髪は反吐をブチ吐きながらリングに転がる!

 

そこに…ッ!!

 

ザクッ!!!(出刃包丁)

 

「うおっ!?危ねっ!!な、なんだ…?いったい?」

 

突如、観客席辺りから投げ込まれたらしい出刃包丁がリングに転がる春雨(偽)の頬を掠った

 

『………』

 

包丁を投げ込んだらしいボロ布を頭からスッポリ被ったメイドさんらしき人物はチッと舌打ちするとそのまま観客席から足早に去って行った…

 

「な、なんかよくわからんが………ヘヘッ!わざわざ凶器を投げ込んでくれるとは有難い!」

 

春雨(偽)はリングに突き刺さる乾式斬艦刀と銘を打たれた包丁を手にすると、その刀身をペロリと舐め…

 

「ヒャーハハハ!武器さえあればこっちのモンよォー!オイ、オマエ!さっきからやりたい放題よくもやってくれやがったなクソが!こっちからはこの春雨様のオシオキタイムだ!愉快なオブジェみたいにしてやるぜーッ!」

 

「…はぁ?」

 

「くたばりやがれこのトンチキがーッ!」

 

乾式斬艦刀(出刃包丁)を片手に走り込んできた春雨(偽)にドラム缶を投げつけ、ドラム缶に怯んだところに一気に距離を詰め、懐に入り込んだ春雨は鋭い貫手を抉りこむように春雨(偽)のお腹に突き刺さした!

 

「グハァ!!」

 

「さらにもう一発!」

 

ズドンッ!!(鋭い貫手)

 

「ゴバァ!!!」

 

さらにもう一発、お腹を貫いた貫手…ッ!!

春雨は返り血に汚れた手刀の血をビッ!と払い、トドメのハイキックを春雨(偽)の顔面に叩きつけた

 

「フン………貴女、自分が特別だとか思ってませんでしたか?でも残念、私はアナタ以上に特別なんです…」

 

春雨は血に濡れた両手で自分の頬をねっとりと拭い、ついでに、ねっとりとした視線で自らの愛する提督に勝利を伝えた…

 

【S2:●春雨 VS ○春雨】

 

◆◆◆

 

全ての試合が終わり、結果は互いに2勝2敗…

本来ならば、これまでの試合内容など審判団が審議し判定による勝敗が決まるのだが…

 

「やれやれ………やはり下等どもではダメだったようだな」

 

やはり白露型など下等艦娘、この不甲斐ない結果は完璧である俺には付いて来れなかった証…

 

自軍のベンチに悠然と座るメガネの心無い言葉が、表島大佐のPRIDEに火を点けた!

 

「なんだと…?アンタ、今!なんて言った!下等!不甲斐ない結果…!アンタは部下達の戦いを見て何も感じなかったと言うのか!」

 

「感じたとも、やはり下等は下等とな」

 

「許せない…!正直、試合内容はかなりドン引きな点もあったが、俺の部下もアンタの部下も精一杯戦った!互いの健闘を讃えるべきじゃあないのか!………取り消せよ!その言葉を!」

 

「フン…」

 

メガネはベンチから立ち上がると制服の上着を投げ捨て、勢い良くリングへと飛び降りたッ!!

 

「精一杯戦った?互いの健闘?くだらん、ならば表島大佐よ、自らの正しさを証明してみるがいい、力でな」

 

リング中央に立つメガネはまるで表島大佐を挑発するように煽る!!

 

「や、ヤロウ…!」

 

「やめるんだ提督!」

 

「そうよ!乗るな!提督!」

 

「でもアイツ……オマエらをバカにしやがった!」

 

思ったより煽り耐性が低かったのか、表島大佐は上着を脱ぎ捨てると挑発に乗りリングへと飛び降りた!

 

「許さねぇ!!」

 

「最終ラウンドだ、ゴングを鳴らせ!戦闘開始だッ!」

 

【最終戦シングルス3:提督(メガネ) VS 表島大佐】

 

開戦ッッッ!!!





次回はその⑤、最終回
悪のパワーに負けたら最後!未来が闇に閉ざされる!

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