キ鈴様作 “辞めたい提督と辞めさせない白露型”をお借りした感じになっております
【登場人物】
提督(中佐)
必殺技は真・テイトクリベンジャー
表島大佐(大佐)
“辞めたい提督と辞めさせない白露型”の主人公
逃げられない、しかし回り込まれた!
特別演習のお知らせが届いたお日柄も良い今日この頃…
海軍には年に数回、よくわからないルールで縛られた演習がある、例えるならば軽巡3人使えや、空母は必ず起用しろだのその時々で様々、偉い人がサイコロ振ってテキトーに決めてるんじゃないかと疑いたくもなる
今回そんなただの演習ではない特別演習に振られたルールだが〜……
「白露型駆逐艦のみ」
「はぁ?」
ちなみに、コレには海風姉ちゃんら改白露型も含めていいらしく、ウチは10人の人材からメンバーを起用することができるワケだ
「だ、そーだ……またワケのわからんルールだな」
「まぁ、ワケのわからんルールは今に始まったコトじゃないですし」
特別演習のお知らせが書かれた書類を執務机に置き、秘書艦サミー子に冷たいティーを淹れてくれと頼むとめんどくさそうに冷蔵庫から麦茶のペットボトルを取り出した
「しかし白露型か………ならば卿の起用も有り得るかもしれんぞ?」
「はぁ?………まぁ、出撃れと言われたら出撃ますよ、私は」
麦茶の注がれたグラスを俺の前に置き、サミーは特に興味なさそうに菓子皿に入っていた小菓子の袋を開けて口に入れた…
「ハハッ、相変わらず欲がないな、卿は」
「そうですか…」
こやつがかつて
かつては由良さんと肩を並べ互いに競うように切磋琢磨していたあの時代…
そう、まだこの執務棟が築70年のクソボロハウスだった頃…
「提督、その話、長くなります?」
「わりと」
こやつめ、人がせっかくノスタルジーに浸りつつアーリーデイズ編に突入しようとする所を割り込みおった
「じゃ、先に対戦する相手のコトを確認しておきましょうか?」
「対戦相手か、 ふむ……どこのどいつだ?まさかイケメンじゃないだろうな」
「イケメンかどうかは個人の判断によりますが、この人みたいですね、表島大佐」
秘書艦サミー子はファイルをペラペラ捲り、その中から今回の対戦相手らしき人物の載ったページを開いて執務机に置いた
「ふむ、テイトク強度95万パワーといったところか、下等提督が」
「取り立てて目立った活躍は~………あるにはありますね、鉄底海峡戦でかなりの戦果を挙げてるそうです、人呼んで、鉄底英雄」
「ナニが鉄底英雄だ」
だが、下等にしてはなかなかヤるようだ……面白い、見せて貰おうではないか、英雄の力と言うものを…
◇◇◇
某所、とある鎮守府…
「…………えー、皆さん、今回、特別演習の斡旋があり、対戦する基地が決まりました」
今日、執務室に集められたのは白露型姉妹+1の仲間達…
正直なところ、演習なんか適度にやってなぁなぁな感じで終わらせるのがいつもの流れだが、今回は少々事情が違う…
演習のお知らせに記載されていた対戦相手は、わりと若手の海軍将校の間で噂話程度に聞いていた名前であり、それも良いか悪いかで分ければ、確実に“悪い”噂話で聞く名前だった…
「えー…今回はワリと洒落にならないかもしれないので、皆さんの作戦は“いのちだいじに”でいきたいと思います、以上、なんか質問ある人」
「ぽい!」
「はい夕立、あと、ぽい!じゃないでハイな」
「洒落にならないってどーゆー意味っぽい?」
「イイ質問だ!みんな、今、夕立がスゴくイイ質問をしたぞ!みんなも見習おうな!よし夕立、ご褒美だ、角砂糖をあげよう、2個でいいか?」
「ぽーい!ぽーい!」ふるふるふる!
「3個か?甘いの3個欲しいのか?いやしんぼめ!」
まったく夕立は本当に可愛いやつだな!こう、なんと言うか…素直で、愛嬌があって、他の姉妹にもこの夕立の愛らしさを見習ってもらいたいものだ
「いくぞぉ!3個いくぞぉー!手ぇ使っちゃダメだぞ」
角砂糖を手に遠投のフォームを執拗に確認していると、今度は姉妹の次女が手を挙げ…
「や、そんなコトはどうでもいいよ提督、そんなコトよりなんで提督がやる前からそんなにビビって芋引いてるのか教えてくれないか?」
「ビビってないしイモ引いてない、時雨、マイナス20TPな」
「なんだよ……TPって」
「テイトクポイントだ、集まるとお皿が貰える」
100均で買ってきたヤツだが、あと、何ポイント集めるととも明言はしていない
「もしかして、100ポイント集めたら指輪ですかね?」
今、この部屋に集まっている白露型姉妹+1の+1、なんかごく当たり前のように俺の左斜め後方に陣取っていた浜風がスゲーコトに気付いた的な顔して言った…
「あぁ、オマエ以外はな」
「ハァ!?センパイはなんで私にだけそんな意地悪言うんですか!?」
「うるせぇよ!自分の胸に聞けよ!」
「自分の胸に………ノックしてもしもーし?センパイは何故私にだけ意地悪するんでしょうか?………好キナンジャネーノ?(裏声)………なるほど」
ダメだコイツ、早くなんとかしないと…
「まぁいいや、とりあえず今度の演習相手についてざっくり説明するとだ………」
キュウシュウを拠点とするその基地は年に数回ある大本営主導の海域攻略作戦でも特に目立った活躍や戦果は無く、出世コースからは外れた単なる田舎基地とされているが…
その実情はとんでもない…ッ!
配属にあたり、マトモに使うには一癖も二癖も問題がある艦娘を意図的に多く回され、毎日がワルのオリンピック状態と噂されている地域でもぶっちぎりの不良艦娘の溜まり場ッ!噂では15歳以上の青年提督の生存率は2%以下と言われている…
「それマジでヤベーやつじゃん」
「はい江風、今イイ事言った、はい、その通りです」
そんな修羅の基地にッ!!演習を挑まされると言う恐怖ッッッ!!
「ちなみにその世にもキケンな基地を率いる提督だが、噂では一時は大佐まで昇ったものの、軍の会議中に暴力沙汰を起こして大尉にまで降格したフダ付きの危険人物だそうだ」
「それはまた随分とヤンチャだね」
「ヤンチャだね、でスルーするな、時雨、マイナス30TPな、ちなみにTPが0になるとデュエリストの資格を剥奪される」
ヤツをデュエルで拘束せよ!と力強く拳を固めると、今度は今の今まで珍しく黙っていた春雨が挙手し…
「それで?その話を私達にするからには何か理由があるんですよね?」
「ある、勿論ある」
むしろそれこそがみんなに集まって貰っている理由なんだが…
「…今回の特別演習、ルールが白露型駆逐艦のみとあるんだ」
「へぇ〜…」
「つまり、今日、ここに集まって貰った乳しか脳のないバカ以外は全員がこの特別演習に出る可能性がある!」
「先輩、乳しか脳のないバカって誰のコトですか?ねぇ?先輩?ねぇ?」
「ハッキリ言って危険な戦いになると思う、最悪、この中の誰かが欠けるかもしれない、だが!俺はお前達を信じている!全員生きて、もう一度この場で会おう!!」
固めた拳を大きく振って前に突き出し、俺は集まった白露型の熱き血潮の姉妹達にニコリと微笑んだ
「ねぇ?誰のコトですかそれ?ねぇ?聞いてます?なんで無視するんですか?」
次回はその2
敵は白露型!!白露型サバイバル編開戦