不健全鎮守府   作:犬魚

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帰ってきた革命戦艦

【登場人物】

提督(モクモクしちょる)
モクモクしちょるだけの提督

ガングート(革命)
旧ソから来たアツかりし革命戦艦、馴れ馴れしい


提督と喫煙所が革命

改正健康増進法…ッッッ!!

 

屋内喫煙が原則禁止となるこの新たなる法律が施行され、今までタバコを吸う事が可能だった場所が禁煙エリアとなり、スモーカー達はただでさえ肩身が狭いのにさらにその立場を危うくしている

 

「やめろォ!!やめてくれェ!!」

 

「提督、工事の邪魔になりますから………あ、大丈夫です、さっさとリフォームしちゃってください」

 

工事業者が喫煙室に設置していた空気清浄機(業務用)を撤去し、ヤニ色に染まった壁紙をベリベリと剥がして行く様子をただただ見ていることしかできない…

 

なんて無力なんだ…………俺はッッッ!!

 

そうだ、俺はいつだって大事なものは守れないんだ、いつだって奪われ…!失ってしまうんだ…!

 

「クソォ!改正健康増進法ぜってぇ許せねぇ!!」

 

「ナニワケのわからないコト言ってるんですか」

 

◆◆◆

 

キンッ!!シュボッ!!ジジジ………

 

「フーッ~………いい天気だ」

 

工事現場によくあるタイプの業務用吸い殻スタンドが設置された屋外喫煙所…

夏は陽射しがアツく、冬は冷たい風がビュービュー吹いてくるが、それはそれで仕方ない、とりあえず秘書艦サミー子にはこっちに屋外用の自販機設置するから業者に連絡しとけよと言ったら露骨にメンドくさそうなツラしていたが…

 

「む?おぉ!同志提督じゃないか!ハッハッハ!」

 

「…あ?」

 

口からケムリを吐きだしていると、俺と同じくスモーカーな戦艦がガハガハ言いながらこっちに歩いて来た…

 

旧ソからやって来た、史上、最もアツかりし革命戦艦ガングート、最近は特に出番もなく、基地内ニートの立場になっている…

 

「フーッ〜…まさか屋内の喫煙所がなくなっているとはな!聞いてなかったぞ!」

 

「俺も今日の朝に聞いたんだよ、まったく…喫煙者には住みにくい世の中になったモンだ」

 

「ハッハッハ!たしかにな!ハッハッハ!」

 

アツかりし革命戦艦ガングートは俺の背中をバシバシ叩き、まぁベンチに座ってハナシでもしようやと俺にベンチを勧め、自分は先に着席し、さらにベンチをほら!ここ空いてるぞ!とベンチをバシバシ叩いた…

 

「ったく、うるせぇヤローだな…」

 

「で?どうだ同志?最近は?革命しているか?」

 

「してねぇよ、そんなコンビニ感覚で革命とかできるワケねーだろーが」

 

そしてこの革命戦艦、何をどう誤解釈しているのか、俺をアツかりし革命の“同志”と思っているらしく、今や俺は革命軍の参謀総長の地位になっているらしい

 

「だいたいオマエ、最近見なかったが……真面目にトレーニングでもしてたのか?」

 

「当然だ、同志エトロフやその他の同志達と最先端の科学による革命のロードマップを鋭意制作中だ」

 

「フーッ………ま、他人様に迷惑かけない程度にしてくれや」

 

そのロードマップは100億%でどこかが頓挫するんだろうが俺には知ったコトじゃないが…

 

そんなコトを考えていると、喫煙所から見える裏庭のところに見覚えのある顔が歩いていた、いや、むしろ目が合ったと言うべきか…

 

「やぁ同志達、こんなところでナニをしているんだい?」

 

「よぉ、タスケくん」

 

「む?Ташкентか、ご覧の通り、我々は明日の世界について語り合っているところだ」

 

「そうかい、じゃあアタシも交ぜて貰おうかな」

 

やって来たのはガングートと同じく旧ソから来た革命戦………いや、旧ソが作り出した感情のない完璧な殺戮機械(パーフェクト・キリングマシーン)、まぁ、正確には感情がないワケではなく喜怒哀楽の楽だけは残っているらしいが…

 

「テキトーなコト言ってんじゃねーよテメーは、なんで俺が革命だの世界だのについて語り合うか、そーゆーのはそーゆーフラグを持った主人公的なヤツの仕事だっーの」

 

「ハッハッハ!まったく…!なんでも1人でやろうとは……水臭いぞ同志提督!ハッハッハ!」

 

バシバシ!!(強烈背中叩き)

 

「だから!馴れ馴れしいんだよテメーは!っーか痛い!マジで痛い!」

 

「同志達は仲が良いね」ニコニコ

 

「あ?いいワケねーだろ」

 

タスケくんはいったい何を見ているのだろうか?仲が良い?俺とガングートが?冗談じゃない

 

「そうかい?」ニコニコ

 

…わからん、未だにこのタスケくんの考えているコトはまったくわからん、だが、間違いなくその思考は赤く染まっているのだけは確かだが…

 

「あ、そうだ同志、この前、同志エトロフの妹の………え〜…なんだっけ?サディストだったかな?」

 

「佐渡サマな、たぶん」

 

「あぁ、たぶんそれ、サドサマ」

 

自称も他称も佐渡サマ、他者の恥辱と屈辱に至上の悦びを見出す新世代のドS界のプリンス………いや、プリンセスか?まぁどっちでもいいか

 

「その佐渡サマがどうしたんだ?」

 

「そのサドサマがオコノミヤーキの作り方を教えてくれてね、今度一緒に作ろうぜ!って誘ってくれたんだ」

 

「へぇ、あの佐渡サマが…」

 

さすがは佐渡サマ、このどこが起爆装置かわからない歩く危険物のタスケくんにこうも容易く踏み込むとは…

やはりヤツこそ明日のサディスティックを担う新世代のドSよ…

 

「良かったら同志テイトクもどうだい?」ニコニコ

 

「…ふむ」

 

普段の俺ならば、やだよメンドくさいと紳士的に断るところだが……

 

「オコノミヤーキか……フッ、いいな!よし、同志提督、全ての同志に“召集”をかけるとしよう」

 

「なんで俺も参加する前提なんだよ、まだ答えてないだろーが」

 

「ハッハッハ!水臭いぞ同志!ハッハッハ!」

 

バシバシ!!(強烈背中叩き)

 

「だから痛いって!!それマジで痛いんだからな!」

 

「フッ、同志Ташкент、全ての同志は革命軍の“本部”に集合だ」

 

「わかったよ同志」

 

 

この後、革命軍の本部ことガングートの部屋に同志達が集まったが、いくらなんでもガングートの部屋にガキどもとは言え10人を超える人数はさすがに収まりきれず、仕方なしに執務棟の裏でオコノミヤーキを焼いた…

 

あと、俺の知らない間に海防艦のガキどもは全員“同志”になっていたらしく、人数が増えたおかげか、アホの占守クンはいつの間にやら革命軍の“幹部”に成り上がっていた…

 




次回は久々に他人様に頼る他力本願コラボレー回、です

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