久しぶりに帰ってきた主人公(属性)
【登場人物】
フブキ(吹雪型)
原田技術少佐の造りあげた最強の戦闘力を持つらしい艦娘
一般的な吹雪型と比べると芋臭さが少なめらしく、見た目アニメ寄りのスタイリッシュ都会派仕様
仁科元大佐が興味を持つその実力は、未だ未知数…
天海ユウ(妹)
妖精が視える提督適性高めの少女、性善説と前向きで生きてるラブ&ピース
名前のない男(兄)
相変わらずシスコンの抜けんヤツめ…
この海に邪悪が蔓延る時、必ず現れる希望の戦士、軍艦の艤装をその身に纏い、己の肉体に秘めらたエネルギー“
そして今より数十年前、その、艦娘達を率いこの海の平和を脅かす邪悪と戦った男がいた…
「フーッ〜………オイ、それは殺してくれってコトでイイんだよなァ?」
その、冷酷・冷徹・冷血な戦いぶりはキュウシュウの狂犬と敵味方問わずに恐れられ、戦いとは即ち血祭り、血祭りとは問答無用の鏖殺
「フーッ〜……よォーしワカった、オマエら、あのゴミ屑どもにワカらせてやれ、誰に喧嘩を売ってんのかをよォ〜.…」
.
吸っていたタバコをプッと海に吐き棄て、上着のポケットから新たなタバコを取り出し火を点けた男は一言、ブッ殺せ、と言って右手を振った…
彼の名は梶輪、後に、海軍中央司令部の大将となる男である…
◇◇◇
「なんとォ!?」
最前線から身を引き半ば現役を退いている梶輪大将…
その梶輪大将には彼の残虐性を……いえ、邪悪のDNAを引き継ぐ新世代悪行提督がいる事実が彼を行動させたッ!!
「大佐殿ォ!それは
「えぇ、真実です」
「梶輪めェ!!クソッ…!梶輪めェ!!」
技術畑出身ではあるものの、いちいち言動に暑苦しいモノを感じる原田技術少佐はテーブルをバシバシ叩き、もはや口癖のように“おのれ梶輪めェ!”と身をプルプル震わせている…
「そして………今アナタが、いえ、アナタの造り上げた最高の艦娘と梶輪サンの育てた後継者に復讐を果たすのです!」
「なるほどォ!!」
………正直、彼の復讐には1ミリも興味はありませんが、あの吹雪型に秘められたパワーには興味があります
そして、ぶっちゃけて言えば既に海軍に軍籍の無い……むしろ公的には死亡扱いとなっている私にまさか海軍の上層部、しかも大将に話を取り付けるとなると不可能ではありませんが少々面倒なコトになりかねません
ならば、少々面倒ではなさそうな地方のイチ、中佐クンに協力をして頂くとしましょう!
まぁ、こちらとしてもあの未来夕張型の件やらで“貸し”もありますし、無下にイヤとは言わないでしょう……
イヤとは、ね………
「キュウシュウの狂犬の跡を継ぐ男かッ!!ク!クックック!梶輪めッ!クックック!梶輪めェー!」
う〜む、やはり過酷な環境下での無人島生活が長かったせいか、少佐の頭も少々アレな感じになっていますか…
「ところで少佐、先ほどからフブキくんの姿が見えないのですが…?」
「クックック!!は?フ、フブキですか?おそらくは1階にいるかと…」
ーーー
「うまい、うまい、うまい」
「へぇ〜…フブキちゃんさんはずっとシレーカンさんと何もない南の島に居たんですね〜」
「そうなんです、あ、ユウさんもどうぞどうぞ、沢山作りましたので遠慮なくどうぞ」
とある南の島に居を構える仁科元大佐の町の家電修理屋兼私的研究ラボ…
その家電修理屋兼私的研究ラボには持ち込みの家電修理とはたまに違う目的の客もやって来る…
「ありがとーございまーす」
大鳳の作ったハッシュドポテトを口に入れ、これは美味しいですねぇ〜♪と上機嫌に笑う少女の名は天海ユウ
過去の事故で昏睡状態となっていたが仁科の手で長い長い眠りから目を覚ました
それからは一応経過観察と言うコトで、月イチペースでこの店に訪れ仁科による診察を受けており、仁科と同居している大鳳とも仲が良い…
「………それで?あのヘンタイ野郎は?」
「大佐はヘンタイ野郎ではありません」
そして、天海ユウと共にこの月イチペースの診察にやって来る名前のない男…
ルックスもイケメンな彼はユウや大鳳と同じテーブルにつくコトはなく、腕を組んだまま部屋の壁を背にしている…
「大佐はナントカ少佐とお話し中です」
「ふ〜ん…ナントカ少佐ね」
名前のない男はハッシュドポテトをバクバク口に放り込むフブキを一瞥し、小さな溜め息を吐いた
「うま………ウッ!!」
「あ、喉に詰まっちゃいました?えーと……あ、コーラしかないけど?」
ユウはペットボトルの蓋を開けてフブキに手渡すと、フブキはコーラをイッキに口の中に流し込んだ
「ゴフッ………ゴフッ…………ゲーップ!!な、なに?コレ…?シュワシュワ……口の中が、甘い、あと……シュワシュワ、する」
「コーラですよ?飲んだコトないんですか?」
「ない、はじめて……飲んだ」
「へぇ〜…で?どうでした?初コーラ」
「………シュワシュワした」
「そうですかそうですか♪気に入って貰えてなによりです、まだありますからね、ね?大鳳さん?」
「え?あー……たぶん、なかったら買ってきます!」
女三人集まればなんとやら……
名前のない男も別段、この見覚えのない艦娘に警戒する必要はなさそうだと考えていると、部屋の扉が開き、店の主である仁科とこれまた見覚えのない壮年の男が部屋に入って来た
「フブキ!ナニをしている、そろそろトレーニングの時間だぞ!」
「…わかりました」
「フン……ん?なんだその黒いのは?」
「これは………コーラ、です」
「そんな身体に悪そうなモノを飲むな!!オマエには私が用意したメニューだけでいいんだ!余計なモノは必要ない!」
「…わかりました」
原田はフブキを咎めると、さっさと準備をするんだなと早々に部屋を出て行った…
「む〜……感じ悪いですねぇ、フブキちゃんさん、あんなイジの悪そうなシレーカンさんの言うコトは聞かないでいいんじゃないですか?」
「私も同意見です!大佐に比べて……いえ、大佐と比べるなどおこがましいですが…」
ユウと大鳳は互いにウンウンと頷きフブキを見るが…
「………司令官のことを悪く言うのは、いけません」
フブキはそう言い、ごちそうさまでしたと頭を下げて原田の後を追って部屋を出て行った…
「…オイ、なんなんだ?アレは?」
「さぁ?新しいオモチャ、とでも言った方がいいですか?」
「何がオモチャだ、クズが」
「クズとは心外ですねぇ」
次回は④
遂に対峙する過去からの因縁(他人の)
最強の敵を迎え討つのは最強の………