不健全鎮守府   作:犬魚

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新人面接その②

【登場人物】

平戸(と)
択捉姉妹の九女、その右目には秘密がある

秋霜(しもしも)
スーパーエリート駆逐艦夕雲姉妹の十八女、早霜くんをはやはやと呼ぶが、早波くんはなんとお呼びすれば?

Atlanta(世界の高さ)
空中のディフェンスに定評のある秋月姉妹を凌駕するワールドクラスのディフェンス力を持つ防空巡洋艦、とんでもないロケットおっぱい


続続続続続続続続続続・提督と新人と面接②

「あ、クソ、やっぱつえーなジャス●ィスは」

 

7人の悪魔新人面接も半分が終わり、暫し休憩を挟んでの後半戦…

 

「ナニくだらないゲームやってるんですか、あと3人もいるんだからさっさと済ませてくださいよ、さっさと」

 

「くだらないゲームとはなんだ、くだらないゲームとは」

 

その昔、プレイス●ーション用のゲームとして発売され、今なお新作タイトルが発売されているスタイリッシュ格闘ゲーム、ギルティ●ア…

その第1作はバランス的には荒削りだが可能性を感じさせ、その可能性は続く第2作、ゼクスにて開花しアーケード界隈を席巻することになった

 

ちなみに、初代のCPUはやたらと強く、特にラスボスのジャステ●スは今なお俺を苦しめる難敵であり、ノーコンティニュー最大にして最後の壁である

 

「…チッ、まぁいい、さっさと終わらせるか…」

 

そんなワケで、7人抜き新人面接の5人目…

新たなる美しき獲物に次の方どうぞーと入室を促すと、執務室の重厚な扉を開き、新たなる挑戦者が入室して来た…

 

「択捉型海防艦、平戸です…」

 

「ほぉ、海防艦…」

 

…面接の序盤に出なかったから今回は海防艦のキッズはいないものだと思ったのだよ、まったく、油断させておいてコレとはな…

 

「敵は…敵は侮れません、この静かな海と皆さんを護っていきたいと思います…」

 

「ふ〜ん………えー平戸くん?だったかね?」

 

「平戸です、ト」

 

「ヒラトね、ト」

 

ドじゃねぇんだ、まぁいいけど、しかしなんと言うか……白いな、この子、それにあの実に空虚なしまりのない笑顔、なんか辛いコトでもあったのだろうか、こんな幼い子が……

 

ハッ!?…まさかDVッ!ドメスティック・バイオレンスかッ!

 

「サミー、彼女にミルクキャラメルを、あと、温かいココアを淹れてあげなさい」

 

「はぁ?」

 

わかるってばよ……いや、何も言わなくていい、提督にはわかるってばよ、だがもう心配はいらない、キミは今日から俺のファミリーなのだから…

 

そんな器と背中の大きいわかる提督感にヒシヒシと浸っていると、平戸くんは執務机に置いてあるテレビに興味を持ったらしく、画面をじっと見つめていた

 

「どうかしたかね?」

 

「いえ………提督はゲームするんですか?」

 

「まぁ、嗜む程度だが…」

 

面接の為に中断していたギルティ●アの画面を興味深そうに見ていた平戸くんに、なんならやってみるかねとコントローラーを渡してやった

まぁ相手はあのジャステ●スだ、よくわからんウチに瞬殺されるだ……

 

「…」カチカチカチカチカチカチ

 

バ…!?バカな…ッ!!!ウソだろオイ!バッドガイ!バッドガイ!オマエウソだろバッドガイ!!

 

「…勝ちました」

 

平戸くんはコントローラーを俺に返すと満足げに椅子へと戻り、温かいココアを啜りだした…

 

「…キミ、ゲームとか得意なのかね?」

 

「まぁまぁです」

 

何がまぁまぁだ、今のプレイ…ハンパじゃあない、これは、ランキングが塗り替えられるぞ…ッ!今のプレイ、あの“バトルキング”に最も近いと噂されている大淀のプレイを初めて見た時と同じ戦慄……いや、それ以上にも感じる!

 

まさか、遂にこの基地に“バトルキング”への挑戦者が現れたと言うのか…ッ!!

 

ーーー

 

戦慄のスゴ腕に衝撃を受け興奮冷めやらぬまま続く6人目…

 

「そうよ!うちが夕雲型駆逐艦、その十八番艦秋霜よー!」

 

「ほぉ…夕雲型ですか」

 

スーパーエリート駆逐艦姉妹、夕雲姉妹…

その十八女……十八ってコトはアレか、キタローくんより下、キヨシよか上のお姉さんか

 

「手元の書類によると性能的には平均的な夕雲型か…ふむ、まぁまずはファームで頑張って貰う事になるな」

 

「マジでー?やっぱいきなり一軍デビューはムリかー」

 

「ムリだな」

 

ナニ言ってんだコイツ?だが、そんなビッグマウス、提督は嫌いではないのだよ

 

「あ、そーだ、ここって、ハヤハヤとかキヨキヨとかいるんだよね?」

 

「誰だそれ?魚か?」

 

「魚じゃねーし、ウチの姉ちゃんとか妹とか」

 

「あぁ、キタローくんとキヨシな、いるぞ、そういや夕雲がオマエの歓迎会するから面接終わったらダッシュで寮に来い、殺すぞって言ってたぞ」

 

「それホントに言ったのォ!?」

 

「言ってたぞ」

 

夕雲姉妹の結束は強い、姉妹の頂点に君臨する絶対長女夕雲……その影響力は強く、おそらくは姉妹の誰一人として夕雲に逆らう事はできないだろう

 

同じく姉妹の多いがクセ者揃いで妹から舐められ気味の陽炎とはエラい違いだ…

 

「ゆうゆう姉マジコエーからなぁ〜…」

 

「やっぱ怖いのか、夕雲」

 

「怖い怖い!そりゃあマジ怖いよ!昔、夕雲姉の飼ってたグリーンイグアナにコオロギ食わせてたのバレた時はおしっこチビりそうに…」

 

「あ、夕雲」

 

「ギャアアアアアアアアアァァァァァ!!許して!許して姉ちゃん!許し……ヒッ!ヒイイィィ!こ、ころさ、殺さないでぇ!!」

 

秋霜は流れるような動作で土下座し、ペコペコと命乞いした

 

「まぁ、ウソなんだが…」

 

「ウソかよッ!!ビビらせんなよ!」

 

ーーー

 

7人抜き新人面接もついに残すは最後の1人、つまりはラスト・ワン!最後に現れるのは最後にして最強、今回2人目のMAJORからの大型新人ッ!!

 

「How is everything?Atlanta級防空巡洋艦、Atlanta…」

 

「オーゥ!」

 

なんて……なんてプレッシャーだッ!!いや、プレッシャーだ!!一目で、一目で尋常ではないロケットおっぱいだと見抜いたよッ!!

 

「いかんいかん、鼻血が…」

 

「ナニ?あまりジロジロ見ないで」

 

「失礼、つい興奮してね」

 

やっぱり提督も男の子だもんな、そりゃ男の子はみんなロケットとか大好きさ!

 

「えー…アトランタくんはアレかね?防空巡洋艦…?」

 

「そうね」

 

軽巡とは違うのか、手元の資料を見るに、雷撃や対潜はあまり得意ではないどころかむしろ下手の部類だが、その短所を補って余りある長所がある…

 

あの秋月すら上回る驚異の対空能力ッ!高さと言うフィールドでは敵なしだった秋月姉妹のさらに上を行く実力の持ち主、やはりこれがMAJORの実力か…

 

「ハナシはそれだけ?もう帰っていい?」

 

「まぁまぁアトランタくん、まだ来たばかりじゃあないかね?俺たちはまだお互い好きな音楽のジャンルすら知らないんだ、とりあえず座って、お茶でも飲んで、話でもしようじゃないかね?」

 

「…To be honest, it’s troublesome、正直めんどくさいんだけど?」

 

「HAHAHA、サミー、彼女にケーキを出してあげて、イチゴのショートケーキを、あとティーを…」

 

「coffeeでいいよ」

 

アトランタくんもやはりコーヒー大好きアメリカンスタイル…ッ!しかしコーヒーはマズイ!今、注文するコーヒーは日米に致命的な摩擦を生じさせる可能性がある!

 

「コーヒーですね…」

 

ジョンくんにマズいと言われて以来、アメリカンには一層の情熱を持って淹れている気がするなコイツ…

 

そしてこのアトランタくん、よく見るとなんだあのシャツ?メチャメチャ透けてるじゃねぇの?いや、透けているのか…?もしかして今、俺は服が透けて見える能力に目覚めたのでは?

 

「…ナニ?アタシにナニか付いてる?」

 

「え?あ、あぁ、その立派なパイオツが…」

 

「訴えるわ」

 

「ジョークなのだよ、小粋なテイトクジョーク」

 

コイツの目はマジだ、訴えると言ったらマジで訴える目をしているッ!これが訴訟大国ッ!

 

「コーヒーです」

 

「Thanks…………うん、美味しい」

 

コーヒーを啜り、アトランタくんはコーヒーを淹れたサミーにアナタなかなか良いbaristaねと褒め……

 

「ハァ!?」

 

「…ナニ?」

 

「え…?アトランタくん、キミ、今なんて…?」

 

「美味しいって言ったのよ、何かおかしい?」

 

美味しい…?美味しい……だと?五月雨のコーヒーは我慢すれば飲めない事はない絶妙なマズさ、我慢のお世辞か…?いや、アトランタくんの表情からは我慢の二文字がまるで感じられない…

 

「サミー、俺にも一杯くれんか?」

 

「いいですよ」

 

まさか五月雨のコーヒーが進化したとでも言うのか?あまりのマズさに何人もノイローゼにした唯一無二の殺人コーヒーしか淹れることが出来なかった五月雨が…?

 

「どうぞ」

 

「ふむ」

 

格調高い豊潤な香り、おそらくは一級の豆を使用し、最高の機材を使い、最適な手順で淹れた至高の一杯…

 

「……………やっぱオマエの淹れるコーヒー、マズいな」

 

「失礼な」

 

やっぱマズいわ

 

「Don't you know the taste?アナタ舌がおかしいじゃない?」

 

いや、おかしいのはたぶんキミの舌だ

 

ーーー

 

「あー…終わった終わったぁー」

 

「お疲れ様でした」

 

ようやく面接も終わり、上着を投げ捨てシャツの上ボタンを外し、ついでにズボンのジッパーを下ろした俺は爽やかな開放感を満喫した

 

「いや、ジッパー下ろす必要あります?」

 

「ないな」

 

「今日はもう終わりですよね、私はこれであがりますけど…」

 

「おう!帰れ帰れ、俺は今から全裸でポージングすっから!」

 

「そうですか」

 




次回は〜…

「ハッキリ言って自信作です」

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