不健全鎮守府   作:犬魚

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極●一直線な借りパクネタ回、十三奥義はでません

【登場人物】

提督(ジャッカル使い)
チョキの5倍の威力、チョキには勝つがグーには普通に負ける

長門(ステゴロなら長門)
キッズ達にちやほやされたくて仕方ない戦艦
妹…?ハハ…誰と間違えているんだい?私に妹などいないが…?




提督と長門と十三奥義

「失礼するぞ……と、何をやってるんだ?」

 

ある晴れた昼下がり、基地施設の点検書類的な物を持った長門が執務室へやって来た…

 

「こうですよ、こう」

 

「ふむ、なかなか難しいな」

 

俺は五月雨の手を見て微妙に角度を変えてみるがやはり上手くいかない、これはかなり難しいな…

 

「提督もサミ……サミ、サミュー?も何をやっているんだ?」

 

「ん?おぉ、長門か、何か用か?」

 

「書類を持ってきた、で?お前達は何をしていたのだ?」

 

「ナニってオマエ………“ニョロ”の練習だよ」

 

「…ニョロ?」

 

“ニョロ”………それは、政府によって認可された4つ目のじゃんけん技であるッッ!!

その破壊力は凄まじく、調子がいいときはチョキの200倍の強さがあるらしい…

 

「に…200倍、だと?」

 

「あぁ、スゲーだろ?」

 

「たしかにスゴいな、この長門も思わず戦慄を覚えたぞ…」

 

しかしそんな強力な手である“ニョロ”だがモチロン、デメリットも存在する、それが“レロ”の存在である…!“ニョロ”によく似たこの手を誤って出してしまうと、近隣住民からリンチを受けてしまうのだ…

 

「ちなみにコレがニョロで、こっちがレロだ」

 

俺は政府が発行した正式なニョロの手が描かれた紙を長門に見せてやると長門はグゥゥゥムと唸りつつ首を傾げた

 

「わからん、この2つの違いがまったくわからん」

 

「まぁ素人には難しいわな」

 

正直、俺にもよくわからんが…

 

「まぁ、この“ニョロ”が使いこなせるようになればチビっ子達から人気バクハツだろーな、たぶん」

 

「なんだとォ!?それは本当か同志提督ッ!!」

 

「あぁ、たぶん」

 

「よし!早速練習だ!同志提督、それを見せてくれ!」

 

長門は俄然やる気を出したのか、ニョロの手が記載された紙を手に取ってニョロの型を練習し始めた

 

「…こうか!」

 

「いえ、それはレロですね」

 

「グゥゥム…そうか!こうか!こうだな!サミュー!」

 

「いえ、それはゲルロです、あと、サミューではなく五月雨です」

 

「違うのか……なかなか難しいな」

 

◇◇◇

 

同志提督とサミーのところでニョロの特訓を積み、とりあえず誰か適当な相手にこのニョロを使ってみようと基地の中を歩いていると、第六駆逐隊のエンジェルス達がベンチのところで都合良くじゃんけんをして遊んでいるの目に入った…

 

まさに僥倖とはこの事だろう!

 

「やぁ、キミたち」

 

「あ、長門サンなのです」

 

「長門サンチィーッス!今日もメチャシブいっす!」

 

第六駆逐隊のエンジェルス達は丁寧にお辞儀をし、このビッグセブンに敬意を払ってくれている……なんて良い子達なのだろうか、だが、彼女達は………いや、むしろ駆逐艦のキッズ達はこの長門に対し妙に余所余所しい…

なんと言うか、嫌われてる感は無いのだが、どうにも距離を感じずにはいられないのだ…

私としては陸奥のように一緒に仲良くおしゃべりしたり気さくにコミュニケーションをとって欲しいのだが…

 

「じゃんけんをしていたのか?」

 

「はい!」

 

「ハラショー、じゃんけん勝ち抜きトーナメントしていたよ」

 

「そうかそうか………ふむ、どうだ?そのじゃんけん、この長門も交ぜてくれないか?」

 

「長門サンを!?」

 

「畏れ多いのです!な、長門サンとじゃんけんだなんて…」

 

………陸奥なら普通に交ぜて貰えるのに、何故この長門にはこう……まぁいい、そんな陸奥への劣等感も今日までだ!フッ、見ているがいいチビっ子達!この長門がキミたちをキャーキャー言わせてやるぞ!

 

「よし、ではいくぞー?」

 

「わ、わかりました!」

 

相手は暁ちゃんか、フフッ…可愛いなぁ、いや、ホント…一緒にお風呂とか入ってくれないかなぁ…

 

『『じゃーんけーん』』

 

『『ぽんっ!』』

 

グー(暁) VS ニョロ?(長門)

 

決まったッ!!チョキの200倍は強いと言われているニョロが!完璧に…ッ!!

 

あまりにも完璧に決まったこの長門の手に、周りで見ていた第六駆の他のエンジェルス達も静まり返って……

 

「………レロなのです」

 

「レロだわ」

 

ざわ…ざわっ…!

 

「ハラショー、これはレロだね」

 

「え、えぇ、レディとしてもこれはレロとしか言いようがないわ」

 

レロなのです、レロだ、レロを出した…

マジかよ…レロかよ?嘘だろ レロだ いや、レロだ

レロ! レロ! レロだ!

 

レロだ!レロだ!レロだ!レロだッ!レロだッ!

 

ざわ…っ!ざわっ…!

 

「な…なんだ?」

 

いつの間にやら周りには多くの艦達が集まり、なにやら異様な雰囲気が…

 

「レロなのです!」投石!

 

「アイタッ!?」

 

「レロだわ!」投石!

 

「痛い!な、なんだ…!痛い、やめてくれ!」

 

レロ… あいつレロ出しやがった… レロだ!レロだ…!

 

レロ!レロ!レロ、レロ!レロ!

 

いつの間にやら周りに集まっていた皆は容赦なく石を投げつけたり木で殴りかかってきた!?な、なんなんだコレは!?私が一体何をしたと言うのだ!?

 

そう言えば……提督が“ニョロ”と“レロ”を間違えると大変なコトになるとか言っていたような…

 

「…騒がしいわね、一体何をやっているの?」

 

「陸奥!ちょ、丁度良かった!助けてくれ!」

 

謎の集団暴行に苦しんでいると、丁度陸奥が通りがかった!

 

「陸奥さん、長門サンは“レロ”を出したのです!」

 

「…ハァ?」

 

陸奥は電から手頃なサイズの石を受け取ると少し困ったような顔をして…

 

「えいっ!」投石!

 

「アイッタァァァァ!!!ちょ、陸奥!オマエまで…!」

 

「ごめんなさい長門、例え身内でも“レロ”を出したのなら庇いきれないわ…」

 

◆◆◆

 

長門による“レロの悲劇”から数日後…

 

「聞いたわAdmiral!!ジャンケーンにスゴい手があるらしいわね!フフッ、チョキの200倍強いなんて……まさにこのビッグセブン!Coloradoに相応しい手だわ!」

 

「あぁ、うん、そうだな」

 

後に、このコロラドは“ゲルロの悲劇”と呼ばれる憂き目に遭うことになる…







ニョロ
政府に認可された第四の手
調子が良ければチョキの200倍強いがグーに勝てるかは不明…

レロ
ニョロによく似た型の手、これを出すとリンチを受けても仕方ない

ゲルロ
ニョロによく似た型の手、これをレロよりヤバいことなるらしい

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