不健全鎮守府   作:犬魚

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6を返せば9になる事をジャ●プから教わった

【登場人物】

提督(メガネ男子)
エアコンから外に出たら真っ白な世界に入門する

鹿島先生(ミダラティーチャー)
淫らな魅力がムンムンの女教師、最近ショタの良さがわかってきた

伊良湖(間宮の子分)
将来の夢は普通のお嫁さん


提督と鹿島先生と万物は反転する

爽やかな夏の朝ッッッ!!茹だるような外気温!熱風が吹き、入道雲が千切れ飛ぶたった一度の今日と言う日……

 

朝から小鳥さんオハヨウと挨拶をしつつ執務棟へ向かっていると、鹿島先生がヒィヒィ言いながら廊下を走って来た…

 

「おぉ、鹿島先生、これはこれは…お急ぎですかな?」

 

「て、提督ッ!丁度良かった、今提督を呼びに行こうと……すぐ、すぐに来てください!」

 

「はぁ?」

 

走って来たせいか、ハァハァ息を切らし、ほんのり汗臭さを感じる鹿島先生もまたお美しい、普段の立っているだけで漂う淫魔の如き魅力もお美しいが、それとはまた違った魅力に溢れておられるわい、性的な意味で

 

そんな鹿島先生は、とにかく大変なので来てくださいとハァハァ言ってる呼吸を整えているが……呼吸を整える際、上下するそのパイオツもまた素晴らしい…

 

「大変な事…?わかりました、すぐに行きましょう!」ズキイィィィィン!

 

「え、あ、はい…と、とにかく大変なんです」

 

俺はムスコのムスコさんを屹立させつつ、あくまで紳士的に鹿島先生の手を取った

 

「ヒッ…!?あ、いえ、大丈夫ですから」

 

ーーー

 

鹿島先生に先導され、やって来たのは駆逐艦や海防艦のクソガキどもがお勉強する教室のある教育棟…

現在、当基地は夏休み期間なので平常の授業は行われておらず、夏休み前に赤点を取りまくったバカどもの補習と言う名のバカのチャンピオンカーニバルが行われているハズだが…

 

「…静かですな」

 

「え、えぇ…今は自習中なので」

 

教室の中からは物音一つ……いや、ペンを走らせる音や教科書を捲る音はするが…

 

「真面目で良いコトでは?」

 

「真面目すぎるんです!!昨日まではワルのオリンピック状態だったのに…」

 

たしかに、あまりにも不気味過ぎる……とりあえず廊下から中の教室を覗くとどいつもこいつも真面目に椅子に座りひたすら問題集的なものに取り組んでいる…

 

「こんなとき、香取姉ぇが居てくれたら…」

 

う〜む、たしか香取先生は先日から有給を取って嬉●温泉に行っておられたハズ…なるほど、たしかに香取先生ならばこの異常な状況にも決して動じず、アツい熱血指導を行なってくれるだろう…

 

とりあえず、俺は鹿島先生に男は度胸、なんだってチャレンジしてみるもんさと言って教室の扉を開けて中に入ってみた

 

「よぉークズども!真面目にベンキョーしとるかねー?」

 

カリカリカリカリ…(筆記)

 

「…むぅ」

 

なんだこのプレッシャーは…ッ!まるでこの夏を制した者が受験を制すと言いたげな意識の高い進学塾の如きプレッシャーを感じるだと……バカな!この俺が無意識のうちに後退りを…ッ!?

 

いや、コイツらはクズだ!まっことクズだからこそウチのような基地に配属されてきた社会不適合艦なのだ!ほら、アホのゴールデンコンビ!清霜とリベッチオなんか机をくっつけてなんかお喋りしだしたじゃあないか…

 

「リベ、ここで任意の正の整数から開始し、演算を繰り返し実行することにより数列を作れば数式は正しいものとして扱える可能性は?」

 

「キヨシ、答えはNOだよ、君の考え方は間違いじゃあないがそれは数列に矛盾が生じてしまう」

 

「矛盾…?そうか!ヒューリスティクスの観点からして、mが大きくなるほど1に到達する可能性は低くなると予想されることとも符合する、つまりは…」

 

「なるほど…いいね、キヨシ、そこからアプローチしていこう」

 

………ナニ言ってるんだコイツら?イカれているのか?

昨日まで朝からカブト虫とりに行くんだーとか言ってゲラゲラ笑ってたろ、コイツら…

 

俺は教室から速やかに退室し、廊下で待っていた鹿島先生に率直な感想を述べた…

 

「鹿島先生…」

 

「…わかって頂けましたか?」

 

「えぇ、何か“異常”な事が起こっているッッ!!ただならぬナニか!理解を超えたナニかがッッ!!」

 

恐ろしい異常事態だ…ッ!清霜やリベッチオだけじゃあない、あの村雨や夕立もガリベン眼鏡みたいな眼鏡をかけて真面目に問題集をしていたのだ…ッ!いつもなら、あー!あっちぃーなー!とか言ってスカートパタパタして股ぐらを扇いでるヤツらがだ!

 

「提督、彼女らに一体ナニが…」

 

「わかりません、だが…何か、何か原因があるハズ…」

 

そう、何かしらの原因はあるハズ…このアホンダラどもに急に知性の神が取り憑いた…?いや、知性の神はわりとアホだからな…

 

「原因……あ、もしかして…!」

 

「何か心あたりが?」

 

「いえ、心あたりと言うほどでは……」

 

鹿島先生は何か思いついたようだが自分の考えに自信がないらしく、やはり違うかもと呟いていたが、俺はそんな鹿島先生のスベスベで美しい手を握り、どうぞ仰ってくださいと促した

 

「あ、いえ……その、たしかこの子達、朝、みんな食堂でキノコの味噌汁飲んでたな〜…って」

 

「キノコの味噌汁…?」

 

…あったっけか?俺、朝はパンとコーヒーで済ますから味噌汁なんぞ眼中に無いんだよなぁ

 

「まぁ、でも関係ないですよね?」

 

「いえ、鹿島先生、念の為に調べておきましょう、念の為に!」

 

「そ、そうですか?あ、あと提督、その…そろそろ手を離して頂けると…」

 

「あぁ、コレは失礼、お美しい手なので、つい」ズキイィィィィン

 

ーーー

 

そんなワケで、俺と鹿島先生は件の味噌汁を提供したと言うマミー屋へとやって来たワケだが…

 

「間宮ァ!間宮はいるかーッ!!」

 

「ちょ、提督!声、声が…!」

 

現在は営業時間ではないのか、誰もいなさげなマミー屋のカウンターで声をあげると、奥から間宮……ではなく、なんか女給さんみたいなのが出てきた…

 

「まだ営業時間外ですよ………ってか、間宮さん昨日から有給取って居ないんですけど…」

 

「居ないのか!っーかキミは誰だ?いや……思い出した、たしか間宮の子分」

 

「伊良湖です!」

 

間宮の子分、伊良湖、間宮ほどのドスケベボディではないにせよ、出るトコと引っ込むトコはキチンとわかっているスケベ女給さん

 

「はぁ…何の用ですか?カップ麺食べたいならあっちにポットあるんで勝手に使ってくださいよ」

 

「カップ麺なぞどうでもいいのだよ、っーか間宮は居ないのか?」

 

「有給取ってどっか行きましたよ、なんかグルメの園でアースがどーのこーの言ってましたけど…」

 

間宮のヤツめッ!グルメ界に行きおったかッ!なるほど…やはりNEOの動きを察知して…

 

「…ちょっと待て、じゃ間宮が居ないってなら、今日の朝、食堂に出してたのは…」

 

「私が作りましたけど?」

 

「…間宮の子分、キミ、料理出来たんだな」

 

「伊良湖です!………失礼な、まぁ、間宮さんほどじゃないですけど、私だって普通に作れますよ、普通のなら」

 

なるほど、まぁたしかに見るからに普通だもんな、この娘

間宮みたいにレッグがナイフだったりヒップがプレスじゃないだけに

 

「じゃナニか?味噌汁作ったのもキミか?」

 

「…そうですけど?」

 

今、味噌汁と聞いて間宮の子分は少し目を逸らしやがったのはたぶん俺じゃなきゃ見逃しちゃうね

 

「一応聞くが、味噌汁に何か変なモン入れてないか?」

 

「さぁ?キノコ入れたぐらいですかね…」

 

「キノコか………ちなみにそのキノコ、何のキノコだ?」

 

「えー…っと、寮の裏に生えてたヤツをチョチョイっと」

 

コイツだァァァァァァァァァァ!!間違いなく犯人はコイツだよォォォォ!!なんだよ、寮の裏に生えてたヤツって!?メチャメチャ怪しいじゃねーか!?

 

「いや、なんか見た目は美味しそうだったし、変な匂いもないし、みんな美味しい美味しいって食べてたし大丈夫かな〜…って」

 

「一応聞くが、味見したか?」

 

「え?してませんよ?」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「めふんっ!!」

 

俺のビンタでスッ転んだ間宮の子分の胸ぐらを掴み、舐めてんのかコラァ!とその身体をガックンガックン揺らした

 

「ナニやってんだテメーは!舐めてんのかコラァ!?」

 

「ちょ…やめ、やめてくださいよぉ!って胸!胸触りすぎ!訴えますよ!」

 

「やかましい!ったく、オイ、そのキノコはまだあるのか?」

 

「ありますよ、たしか…1本くらい余ってたハズです」

 

とりあえず、俺は間宮の子分にそのキノコを持ってこさせてスマホ検索でキノコについて調べてみた…

 

「あ、コレじゃないですか!」

 

「特徴は……たしかにコレだな、うん、名前は…」

 

セイカクハンテンダケ

ハンテン科 セイカク目に分類される茸の一種、人体に致命的な毒はないが脳神経に作用する微妙な毒は持っており、これを食べるとしばらくの間は性格が正反対になってしまうことからこの名前が付いた、ちなみに、味はめっちゃ美味く、かつては世界三大珍味に数えられていたとかなんとか…

現在は菌糸が絶滅した為食べる事は叶わないキノコ

 

「コレですね」

 

「間違いなく」

 

う〜む、なんかエロゲーとかで見たことあるような名前のキノコだが、まさか実在していたとは…

 

とりあえず、時間が経てば元に戻るみたいだし…あのバカどもが真面目にベンキョーしているんだ、今は放置でもいいか…

 

「鹿島先生」

 

「はい」

 

「とりあえず、放置で」

 

「そうですね」

 

生徒達の急変、その原因が判明し、とりあえずホッとしたらしい鹿島先生は胸を撫で下ろした

 

「あと間宮の子分」

 

「伊良湖です!なんなんですか…子分って」

 

「オマエは後で尻叩きでカンベンしてやる、替えのパンツ用意しとけよ」

 

「なんで尻叩きで替えのパンツがいるんですか!?」

 

 

この時、俺たちはまだ気付いていなかった…

 

セイカクハンテンダケ、朝食に出されていたそれを他の者達が飲んでいた可能性を…

 

今、この瞬間にも性格が反転した誰かのせいでこの基地は未曾有のトラブルに巻き込まれていたと言う事実を…

 

そしてそれは、また、別の話…

 

←To Be Continued


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