不健全鎮守府   作:犬魚

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丘、公園、シーパラに行って参りました

【登場人物】

提督(S)
サディスティック提督

対馬(目力がある)
海防艦には珍しい社会と大人を舐めてない子


提督と対馬と鬼天竺

今年も殺人的な暑さなんじゃないだろうかと思うぐらい陽気な今日この頃、そんなアツかりし日に明石のアホンダラの店でアイスでも買うかと考えつつ歩いていると、足下にナニかがぶつかった

 

「………なんだこれ?」

 

タヌキみてーな色した謎の生命体が俺の足下をウロウロとしている、なんだコイツ?敵か?と考え、とりあえず蹴っ飛ばしてみるかと足を大きく振りかぶろうとしていたその時!何者かが俺の目の前に飛び出してきたッ!!

 

「だ、ダメ!!やめて!やめてー!蹴らないでー!」

 

「なにぃ!?」

 

しかし一度シュート体勢に入ったからには止まれない!タ●ガーショットはそんな甘っちょろいシュートではないのだ!そんな必殺のシュートをモロに被弾し、飛び出してきた誰かとタヌキ色の毛玉はベンチまでブッ飛んだ!

 

ドゴンッ!!(タ●ガーショット)

 

「ゴフッ……!い、痛ぃ〜…痛いよぉ…」

 

「すまんすまん、大丈夫かね?え〜………」

 

誰だっけこの子?たしか海防艦の…よく佐渡さまと一緒にいる子、え〜…つし、つし……対馬クンだったか?

 

「ハッ!そ…そうだ!この子は…!?」

 

対馬クンは両腕で抱いていたタヌキ色の毛玉がわりと大丈夫そうだったコトに安堵したのか、良かったぁ〜と毛玉を抱きしめた

 

「良かったぁ〜…」

 

「いや、すまなかったね、大丈夫?アバラとか?」

 

「対馬は大丈夫です…はい」

 

対馬クンは大丈夫ですアピールをしてはいるが、さすがに海防艦にタ●ガーショットを浴びせたのは俺にも良心の呵責があるし、このままでは後味の良くないものがある

 

「よし、お詫びに提督がアイスを買ってやろう!」

 

「アイス、ですか…」

 

「嫌いかね?アイス」

 

「…まぁ、嫌いではないです…」

 

フッ、多少大人ぶりたい気難しくて繊細な年頃とは言ったものの所詮はガキ、アイスが嫌いなお子などそうは居まい…

俺は対馬クンにちょっとベンチで待っていたまえと伝え、明石の店に行くとアイスを買ってから再び対馬クンの居るベンチへと戻ってきた

 

「ほれ」

 

「ありがとうございます」

 

明石の店で購入したパ●コを真ん中からへし折り、半分を対馬クンに渡してやると、対馬クンは大人と社会を舐めた海防艦のクソガキとは思えない謙虚さでお礼を言って頭を下げた…

 

「…ところで対馬クン」

 

「なんですか?」

 

「さっきから気になっているんだが、それ、ナニかね?」

 

「それ…?」

 

パ●コをチューチュー吸いながら不思議そうな顔をして首をかしげる対馬クン、いや、それだよそれ、その毛玉

 

「いや、そのタヌキみてーな色したヤツ」

 

「あぁ…この子ですか、この子はカピバラです」

 

「え?ナニ?カビ…?」

 

「カピバラです」

 

カピバラ…ッ!!和名 オニテンジクネズミ!ネズミ目テンジクネズミ科カピバラ属に分類される齧歯類であり、その最大の特徴は……ネズミの中でも世界最大のサイズを持つことである…ッ!

 

「カピバラか…」

 

「はい」

 

「え…?ナニ?どこに居たの?それ?」

 

「え?え…え~っとぉ~」

 

対馬クン曰く、基地の端にある明石の鳥牧場をうろついていたらしく、餌を与えてみたら懐いたので現在は寮の裏に段ボールハウスを作ってそこで飼っているらしい…

 

「いけないなぁ、提督に無許可でそんな珍獣を飼っては…」

 

「ご、ごめんなさい!で、でも…」

 

ここで心無い提督なら“許可が欲しいなら、わかってるよね?”と言うところだが、あいにく俺は話せばわかる大人である、見たところ珍獣なだけで無害っぽいし、きちんと世話さえするなら飼うのは問題ないだろう…

 

「あ、あの…」

 

「ナニかね?」

 

「……ここでパンツ見せたら、いいんですか?」

 

「良いワケねーだろ!舐めてんのか!?」

 

「じゃ、じゃあ……パンツも脱いだ方が…?」

 

ナニ言ってんだこの子は?痴女か?痴女なのか?一見真面目でおとなしそうに見えてとんでもないメスガキなのか!?

 

「脱がんでいい、っーか誰からそんな荒業教えて貰った?鈴谷か?」

 

「テイトクは鬼畜にも劣る人間のプリミティブな部分を集めた最低最悪のロリペド野郎だから困ったらこうしたらいいっしゅー…って」

 

「占守だな?わかった、占守だな?」

 

…あのクソガキ、後で尻叩いたるわい、痛いと言ってもやめねぇ、ヤメテと懇願してもやめねぇ、許してくださいと言うまでブッ叩いて社会と大人の恐ろしさをわからせてやる

 

「まぁいい、提督は最低最悪のロリペド野郎ではなく、オパーイはデカい方がお好きな大人だ、わかったかね?」

 

「は、はぁ…?」

 

「とりあえずそのキモいネズミは飼っていい、飼っていいからきちんと世話してやるんだぞ」

 

「い、いいんですかぁ…!」

 

対馬クンは嬉しそうにカピバラを抱きあげて良かったねーとキラキラした笑顔になった、いつも佐渡さまに蹴っとばされている印象しかなかったが……おそらくこの子は誰よりも優しい子なのだろう、人を思いやり、理解してやる強い心の持ち主…だがこの子は優しすぎる!純粋すぎる!

 

「しかしそうでなくては生きる資格がないと言うコトだ!」

 

「…はぁ?」

 

俺は対馬クンにまた会おう!と力強く伝えてパ●コをゴミ箱に捨てスタイリッシュに立ち上がると、釣竿みたいなのを持って歩いていた佐渡さまが通りがかった…!

 

「あ!対馬とテイトクだ!」

 

「よぉ、佐渡さま」

 

「ヒッ!?さ…佐渡さま!」

 

「対馬ァ!なんだそのアイス!?テイトクに貰ったのか?」

 

「そ、そうだよ…?」

 

「佐渡さまにもくれよ、なー?テイトク、なー?もうないのかー?」

 

「ねぇよ」

 

世間と大人を舐めたクソガキ佐渡さまは俺にまとわりついてアイスアイスと服を引っ張りだした

 

「対馬だけズルいぞぉ!なー?佐渡さまにもくれよー!五段のやつ!」

 

「やかましい、鬱陶しいぞクソガキ様がぁ!」

 

「チッ!じゃ、対馬から貰うぜーッ!対馬、それ佐渡さまにもくれよ、あと………なんだそのキモいの?」

 

「キモくないよぉ、カピバラだよ…」

 

「カピバラ…?なぁ、テイトク、カピバラってなんだ?」

 

「デカいネズミだ」

 

「ネズミかッ!それネズミか…ッ!なんだそれ!?超デケえ!!スゲーデケー!」

 

一瞬にしてアイスからカピバラに興味が移った佐渡さまは対馬が抱いているカピバラに興味津々丸になった

 

「そーだ!そいつ対馬が飼ってるハムスターとケンカさせよーぜ!最強ネズミトーナメントさせよーぜ!」

 

「や、やだよ!!」

 

さすがはドS界の王子(プリンス)佐渡さま、一瞬にしてこれほどのサディスティックな考えに至るとは……まったく、これほどの悪のエリート、将来が楽しみで仕方ないな…

 

「なぁ!」

 

「やだよ!」

 


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