不健全鎮守府   作:犬魚

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今回は安心と不信の前後編仕様ですって

【登場人物】

提督(ツンデレ属性)
権力とか権威には弱い

浦風(デカパイ駆逐艦)
チーム第十七駆のデカパイ担当、デカい

谷風(イキでイナセ)
チーム第十七駆のイキでイナセな駆逐艦、みんなとは同じモン食ってたのがDNAの定めしカルマ

磯風(グルメ犯罪艦)
チーム第十七駆のグルメ犯罪艦、グルメ刑務所を出たり入ったりしている



提督と女王陛下と食い放題 前編

春の大型連休迫るたった一度の今日と言う日、浦風のアホンダラがT‐TICKET権利を行使すると言うコトで、焼肉店へ行くコトになったのだが…

 

このハンサムな提督は名案を閃いた…ッ!

 

そうだ!浦風だけじゃないで第十七駆全員にすればいいんだ!第十七駆全員と言うなら自然に、それでいてさりげなく浜風ちゃんを食事に誘うコトができるじゃないか!あまりにも天才的、己の溢れる知性に戦慄を覚えた俺はさっそく浦風に焼き肉食わせてやると快諾、あと、第十七駆のチームメイトも連れて来いよ!と言って尻を叩いのだが…

 

………がッ!!

 

「フッ、焼き肉か」

 

「たまにはイイねぇ」

 

集まったのは磯風と谷風クンの二人ッ!肝心の浜風ちゃんが居ない緊急事態発生…ッ!

俺は浦風の乳をワイルドに掴み、何故浜風ちゃんを誘っていないんだッ!とアツく問うと、浜風ちゃんは今日、朝から釣りに出掛けているらしく帰りは遅いのだと…

 

「っーか離さんかい!ナニフツーに乳揉んどるんじゃあ!」

 

「バッキャロー!なんで浜風ちゃんがいねーんだよ!舐めてんのかテメーはよォ!ったく…あーもうやる気ねーわー、今日は食い放題だな、食い放題」

 

「なんでじゃあ!?」

 

「ったくよォ、浜風ちゃんが居ると思って今日は朝からマスラオゲージ上げてたのによォ!」

 

まぁ、俺は約束は極力守る主義なので焼き肉は奢るが、コイツらなら食い放題で上等だろう

 

「だいたい、たかがメシ食うのに誘うぐらい何時でもデキるだろーに…」

 

最高にイキでイナセな駆逐艦、谷風クンの意見はもっともだ、俺だって普通ならそー思う、だが!

 

「えー…だってぇ、やっぱ好きな子に一緒にご飯とかどうですか?って誘うとか恥ずかしいじゃん?もしかして隠れて好きなのがバレちゃうかもしれないしぃー、だから今回みたく自然な流れで友達も一緒にいるから安心!あくまでみんなで食事会みたいな流れだったら誘えるかなー…って」

 

「乙女かッ!」

 

「キモいわ!オッサンマジキモいわ!」

 

「オッサンじゃない、提督だ」

 

まぁ、浜風ちゃんが来れないのは残念だが気持ちを切り替えていこう、笑い面はヤメだ、本来なら三面怒りのアシュラメンなところだが、今日のところは冷血面で行こうと考えていると、廊下の向こう側から赤い髪の女が歩いて来た…

 

「そこに居るのは……フッ、Admiralではないか」

 

「よぉ、騎士様じゃねぇか」

 

英国から来た誇り高き騎士!自称、女王陛下の騎士ことアークロイヤル…ッ!

 

「こんなところで何をしているんだ?」

 

「今からコイツらと焼き肉食い放題に行くんだよ」

 

「ヤキニクイホーダイ?」

 

「なんだオマエ、知らないのか?」

 

「ヘヘッ、騎士様には縁がないかもねぇ」

 

「さすが!騎士様はワシら庶民とは違うのぉ」

 

谷風クンと浦風は酒場の荒くれ者の如くニヤニヤと下卑た笑いを浮かべながら騎士様を煽った、コイツらもなかなかイイ性格してるな…

 

「…むぅ、Admiral、そのヤキニクイホーダイとはなんなのだ?」

 

白騎士アークロイヤルはどうか私に教えて欲しいとペコリーと礼儀正しく頭を下げてきたので、俺は懇切丁寧に焼き肉食い放題の基本について教えてやった…

 

ちなみに、アークロイヤルが丁寧にお辞儀すると服の構造上、そのなだらかなロイヤルバレーがチラリと見えてしまうのは仕様か何かだろうか…?

 

「…ふむ、つまり、時間内なら何を食べてもいいワケだな!」

 

「左様、食べ盛りのお子さんを抱えてエンゲル係数に悩むファミリーに優しいお店なのだよ」

 

「なるほど…」

 

アークロイヤルは表紙に“庶民ノート”と書かれたメモ帳になにやら書き込み、そして…

 

「Admiral、もし良ければそのヤキニクイホーダイ、良ければ御一緒させて貰えないか?」

 

「俺は別に構わねーよ?パイ●リ大好き浦風クンは?」

 

「ダレがパイ●リ大好きじゃあ!まぁ、ウチも構わんよ?金出すのウチやないし」

 

そして、谷風クンと磯風も別に構わないと言うコトで、俺達は浜風ちゃんに替わる新たなメンバーとして聖騎士アークロイヤル‐堕チル肉欲の宴‐を加えるコトになったのだが、アークロイヤルのヤツは準備に時間がかかるので先に店に行っていてくれと言って足早に去って行った…

 

「…よし、じゃ行くか」

 

「そうやね…」

 

 

…思えばこの時、俺達はもっとよく考えておくべきだったのだ、俺達の足元にポッカリと空いた大きな穴に…

 

◆◆◆

 

焼き肉食い放題の店“ハービンジャー”…

庶民的な価格とそれなりに豊富なメニューを取り揃える腹を空かせたラグビー部や柔道部には嬉しい地域のベストバイキングレストランである…

 

「ったく、遅せぇなあのヤロー」

 

「まったくじゃあ、ウチはもうお腹ペコちゃんじゃあ…」

 

店の前で待つこと40分、俺はイライラを抑えるべくタバコを吸いつつ浦風のパイにビンタした

 

「痛ぁ!!ナニすんじゃボケェ!」

 

「すまん、ついカッとなってな、許せ」

 

「お…おぅ、次は気ぃつけーよ」

 

「あと、ナニ食ったらそんなやらしーカラダになるんだよテメーは、それで駆逐艦とかよく言えるな」

 

「やかましいわ!」

 

俺は谷風クンに見てやってくださいよこのヤラシー身体つきと浦風っぱいを揉み、谷風クンはコレで駆逐艦とか無理でしょ!と左右からパイにビンタした

 

「えぇ加減にせーよオマエら!ウチだって怒る時は怒…」

 

「すまない、遅くなったか?」

 

と、そこへ、ようやく赤い髪の騎士様がやって来た…

 

「遅せーよボケ、ナニモタモタしてんだダボが」

 

「ウチらもうお腹ペコちゃんじゃあ!」

 

「…む、すまない」

 

アークロイヤルのヤツが謝罪の頭を下げようとしたその時だった…

 

アークロイヤルの後ろから、一目で尋常ではないとワカる優雅な声手つきでアークロイヤルを制し、あまりにも優雅なその御姿が……

 

「Ark、貴女の責ではありません、準備に手間をとったのはこの私です」

 

「しかし女王陛下!」

 

「良いのです」ニコッ

 

「な……なんと御心の深い、このArk Royal!女王陛下の騎士としてより一層の忠を誓い生涯を女王陛下に捧げ…」

 

陛下ァァァァァァァァ!!!このクッ殺イヤル!まさかの陛下をこんな店に連れて来やがったァァァァァァァァ!!

 

「Admiral、今、申し上げた通り、予定時間を遅れた責は私にあります、ですからArkへの叱責は…」

 

「ヤ、ヤだなぁー!そりゃ女の子ですし!ニホンに来てまだそんな間がないし!そりゃ時間ぐらいかかりますよねー?当たり前ですよぉー!な?浦風クン?」

 

「そ、そうじゃな!そんなの当たり前じゃけぇ、な?谷風!」

 

「そんなみみっちいコトで文句言うチ●コ小せーのここにはいないねぇ?な?磯風!」

 

「…ん?あぁ、この磯風、たぶんチ●コはデカいぞ!」ドヤァ!

 

チ●コチ●コ言ってんじゃねーよッ!ナニ言ってんだコイツら!バカなのか!?いや、バカなんだな?バカでいいんだな…ッ!?

 

「…皆様なんと心の広い、Thanks a lot、皆様の優しさ感謝致します」

 

幸いにもチ●コと言う単語の意味は知らなかったのか、陛下は微笑み、優雅に一礼した

 

「では、参りましょうか?」ニコッ

 

「ハッ!女王陛下、御案内致します」





次回は後編
女王陛下VS庶民派バイキングレストラン

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