【登場人物】
提督(知性の申し子)
知将…?痴将の間違いじゃないんですか?
五月雨(残虐の申し子)
カミナゲーナなコイツ
大和さん(ヤマトナデシコ)
普段は良い人、わりと邪悪で短気
古鷹さん(重巡の良心)
普段は良い人、熱帯魚を飼ってる
大淀(R元服指定)
普段からアレな人、足柄とはマジダチ
来たる東西戦、対YOKOSUKA…
今回の演習は艦種や陣形に細かい制限があると言うコトで、上からのお達しの書かれたルールブックを熟読した俺は五月雨と共に戦艦寮、大和と武蔵の住む部屋の前へときていた…
「ムーサーシーくーん!あーそーびーまーしょー!」
「いや、普通にピンポン鳴らしましょうよ」
ガチャ…(ドア開)
「はい、どちら様で……あら?提督と五月雨さん、こんにちは」
ドアを開いて出てきたのは、大和撫子感溢れる大和撫子オブ大和撫子、まるで昼下がりの人妻のような私服姿の大和さん
大和さんはどうぞどうぞと俺達を部屋の中に招き入れるとレスカかサイダーしかないですけどと冷蔵庫から瓶を取り出した
「えぇと…?武蔵に何か…?」
「えぇ、ヤツの力が必要なのです」キリッ
「はぁ…?そうですか」
今回のルールその1、演習で投入可の艦種は同一艦種1までとする
※戦艦・航空戦艦・改装航空戦艦は同一に“戦艦”として扱う
※“空母”とは正規空母・装甲空母・軽空母・護衛空母を指す
※軽(航空)巡洋艦は“軽巡洋艦”として扱う
※潜水艦と潜水空母は同一に“潜水艦”として扱う
他にもなにやら細かいルールが色々と書かれてはいたが…まぁ、そこら辺は今はいいだろう、それより今は武蔵だ、今、俺には、いや!この星にはアイツの力が必要なんだ!
「あのぉ〜…テイトク?」
「なんでしょう?」
「その、武蔵じゃないとダメでしょうか…?なんなら私でも武蔵と同じ、いえ、武蔵より期待に応えられると…」
ヤマトナデシコ大和さんは控えめに手を挙げ、武蔵ではなく自分でもと売り込んできた、大和さんは基本ヤマトナデシコではあるがやはりその胸に秘めたるのはアツい最強戦艦のPRIDE…!
たしかに、普段ならば大和さんでも全然OKだが今回は違う、艦種に制限がある以上、大和さんより“殺意”の高い武蔵、武蔵しかいないんだ…ッ!
「いや、今回は武蔵で行こうと…」
「ですが………私は、いえ!この大和、武蔵に劣るものは何もないかと…」
大和さんは顔を伏せて肩をブルブルと震わせ始めた、もしかして気分でも悪いのだろうか?
「どうしました大和さん?もしかして気分でも悪い…」
「このオイボレがァー!!」ギロッ!
「ヒィ!?」
突如として豹変した大和さん、いや………仁・智・勇を兼ね備え、まるで神の化身のような大和さんの中にひそむとてつもない邪悪…っ!悪の人格となった大和さんは鋭い突きを撃ってきた!
「この大和こそこの光溢れる海上を守ってきたとまだワカらんかーッ!」
「オイ五月雨、大和さんどうかしたのか?」
「大和さん、元々こーゆー人じゃないですか」
「マジか!大和さん!邪悪な人格に負けないで!邪悪な人格に負けないでー!」
この後、色々あったが大和さんは謎の光を浴びて邪悪な人格は消え去り、己の中の邪悪を悔いた大和さんは本当は正義の為に生きたかったと言い残して自らの胸を突いたが、九一式徹甲ブラのおかげで一命を取り留めた…
◆◆◆
「まったくヒドい目にあったのだよ」
「九一式徹甲ブラってスゴいですよね」
とりあえず武蔵には書き置き残してるから後から見るだろうと次の目的地、重巡寮へとやって来た俺と五月雨は入口で古鷹さんと出会った
「あ、テイトクと五月雨ちゃん」
「よぉ、古鷹さんよォ…鳥海のヤツ見なかったか?」
「鳥海さんですか?えぇと…たしか姉妹で牛丼食べに行くとか言って出かけましたけど」
「チッ、入れ違いか……まぁいい」
俺は上着のポッケから取り出した紙を古鷹さんに渡し、鳥海のヤツが帰ったら渡してくれと頼んだ
「…なんですかコレ?」
「ご覧の通り、紙なのだよ」
「いや、紙なのは見たらわかりますよ、内容で………ハッ!?まさかKOI-BUMI!?」
「んなワケねーだろ」
「なんだ………そうですか」
なんだとはなんだ、なんだとは!古鷹さんは興味無さげにスカートのポッケに紙をねじ込んで露骨にため息を吐いた
「あ、そうそう五月雨ちゃん、キン●リもう見た?」
「まだ見てないんですよ」
「ダメじゃない!早く見ないと!」
「最近陸奥さんと最●記イッキ見大会してるせいか時間がとれないんですよ、やはりなんやかんや言っても幻想魔伝は最高ですね」
「そうよね?そうなのよ、あの当時、私もだけど何人もの女子が正しい道から足を踏み外して…」
古鷹さんは五月雨や陸奥と趣味が合うらしく、よくアレな話で盛り上がっており、キャッキャとハシャいでいるが、やはり腐道は魔道、修羅道にして畜生道、同じもの見てもたまにハナシが合わない事があるのが業の深いところだろう…
ちなみに、一番年季の入ってるのは陸奥らしくアイツなにげにサムライト●ーパーとか詳しく、“ガイ”と問えば“獅子王”でも“マイト”でもなく“夜叉王”と即答するからな…
「ま、とりあえず頼んだからな、ちゃんと渡してといてくれよ」
◆◆◆
神話の時代からのキョーダイ、古鷹さんに別れを告げて次にやって来たのは軽巡寮…
ここに“知性”チーム、第3のメイトが居る…ッ!俺と五月雨はそいつが待つであろう部屋の前に行くと、部屋の前には既に先客が来ていた
「オーヨードーさーん!あーそーぼー!」
「オーヨードさーん!オーヨードさーん!」
アホな子供こと夕雲姉妹のキヨシとアサシ、そのアホ姉妹は大淀の部屋の扉をバシバシ叩いていた
「ナニやってんだオマエらは」
「あ、テイトクだ」
「テイトク!ティーっす!テイトク!」
清霜と朝霜は今からデパートにお買い物に行くらしく、足柄のバカから大淀のバカも呼んで来いと言われてやって来たそうで、大淀はだいたい朝が遅いらしい…
ガチャ…(扉開)
「お、開いてる!キヨシ!この扉、鍵がかかってねぇーッ!」
「よっしゃあ!行くぞォ!オーヨードさん!デパート行くぞォー!」
「あ、オイオマエ達…」
キヨシとアサシは鍵のかかっていない扉を開け、GO!GO!GO AHEAD!と勢い良く部屋の中へと突入し、しばらしくしたら普通におとなしく出てきて部屋の扉をキチンと閉めた…
「なんだ?まだ寝てんのかアイツは」
「…大淀さんチ●コ生えてた」
「は?」
ナニ言ってるんだコイツ…?
「なんだよ、知らねーのかテイトク!大淀さん大人だからたまにチ●コ生えるんだぜ!」
ナニ言ってるんだコイツ…?
「しゃーねーな、キヨシ、足柄さんに大淀さんまだ寝てるしチ●コ生えてたって言いに行こーぜ!」
「おうよ!じゃーねー!テイトクー!」
キヨシとアサシはチ●コチ●コとゲラゲラ笑いながら廊下をダッシュして去って行った…
「…ナニ言ってるんだ?アイツら」
「たぶん…」
「なんだ?サミダリューン、卿は何か知っているのか?」
「いえ…まぁ、さすがにちょっと言い難いと言うか……えぇ」
「ハッキリせんヤツだな、言いたまえ!どこに!ナニが!どうなっているのか!自分の口で!」
「ヘンタイか、ってか…私に言わせなくても普通に気付いてますよね?」
五月雨はゲスヤローがと言いたげな目でこちらを睨み、俺のベンケイに蹴りを入れてきた
「あ痛ァー!!ちょ…待てよ!ベンケイはないだろ!ベンケイは!」
「とりあえず扉に紙でも挟んどいたらどうですか?」
こやつめ、なんて冷静で的確な意見を…
「そうだな、卿の意見を是とする」