不健全鎮守府   作:犬魚

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最近どうにもローペースなだらしない提督ですまない…
新章!冥王ハー●ス編開幕!

【登場人物】

提督(中佐)
マンモス哀れなやつ

五月雨(戦士の中の戦士)
出会った頃はまだキラキラしていた

夕張(ア●ル隷奴)
何もしていなければ比較的まともに見える不思議


提督と羅刹の新章

「東西戦のお知らせです」

 

「…はぁ?」

 

桜舞い散る春の日、執務室で基地スポを読みながら耳掃除していると、ヒショ・カーンのコイツカミナゲーナが上から送られてきたらしい一枚の書類を俺の机に置いた

 

「もうそんな時期かぁ~……フーッ」

 

東西戦…

海軍には大きく分け、東と西の陣営が存在しており、普段の会議や演習などは自分が所属している陣営内で行われる

西のウエスタン、東のイースタン、セ●ズリーグとパ●ズリーグと言った具合に普段は関わり合いになる事はないが、年に数回、交流戦的なものが組まれ、互いに練度の向上を図るといったものがあるのだ…

 

以前、この東西戦で黄金のヘリで乗り込んできた“神々の軍団”とのアツい死闘は記憶に新しい…

 

「東西戦ねぇ…で?それがどうした?」

 

「いえ…ちょっと気になる名前だなと」

 

「気になる名前だァ?」

 

五月雨から受け取った書類、そこに書かれていた今回の対戦相手だが………ふむ、四大鎮守府の一角、横須賀かッ!!

 

「オイオイオイ、まさかの四大鎮守府様かよ、こりゃ負け確だなオイ」

 

「まぁ、横須賀ってところもアレですが、気になるのは演習相手の名前なんですよ」

 

「名前?え~………川奈なにがしクン、階級は大佐か」

 

「えぇ」

 

「それがどうかしたか?」

 

「覚えてないんですか?その人」

 

「覚えてないんですか?と言われてもなぁ」

 

東側の人間なんてあまり関わり合いにならねぇし、しかも大佐だろ?そんなもんイチイチ覚えてねえっての

 

とりあえず書類に書かれているこの川奈クンの略歴を読んでみるが………ほぉ、凄いな、様々な作戦海域に参加しめざましい戦果じゃないかね

 

「それに、ルックスもイケメンですし」

 

「ほぉ」

 

五月雨は月刊海軍のページを開き、この人ですよと言って指さした…なるほど、ルックスもイケメンじゃないかね

 

「イケメンなら容赦する必要ねーな」

 

イケメン死すべし

イケメンなんぞ生かしちょって仕方ないでしょう?

正しくなければ生きる価値はありゃせんと海軍の偉い人も言ってたしな!

 

「ハッ?ナニが王者・横須賀のイケメン提督様だ、溢れる知性で返り討ちにして、王者の威厳ってヤツを地の底まで沈めてやろーぜ」

 

「はぁ…?」

 

◆◆◆

 

午前中の業務を終え、今日は麺類の気分だなと五月雨と共にやって来たのは近所のうどん屋…

 

「俺ごぼう天にするからお前天ぷらにしてオカズ交換しよーぜ」

 

「JKか、イヤですよ、今日はわかめうどんの気分ですから」

 

「なんて子だい、じゃ、俺のごぼう天を分けてやるからお前のカマボコくれよ」

 

キュウシュウのうどんは麺に強さがなく、非常にぶよぶよしており歯茎に自信のないおじいちゃんおばあちゃんも安心して食べられる優しい味である、そんな優しさ溢れるうどんを注文し、お冷を飲んでいると店の扉を開き、新たなる客が…

 

「あ、提督と五月雨ちゃん、二人もお昼ですか?」

 

やって来たのは戦慄のヘソチラ軽巡、夕張…

夕張はヘラヘラ笑いながら奇遇ですねーと言いつつ俺達の居る席によっこらセルバンテンスと言って座り店員のおばちゃんに注文を告げた

 

「あ、私、天そばで」

 

「そばか」

 

「えぇ、私どっちかと言えばそばが好きなので」

 

「ふ〜ん」

 

そう言えばコイツよくそば食ってるな、前にカップ麺もみどりのタヌーキ食ってたし…

 

「提督と五月雨ちゃんはうどんですか?」

 

「はい、私はわかめで提督はごぼう天です」

 

最近どう?人、殺してる?と小粋なジョークを交えつつ和やかなランチタイムで注文したうどんとそばを待っていると、店の扉を開き、新たな客が“入店”してきた…ッ!

 

「お前らァー!今日からコイツも改めて新しい仲間でち!」

 

「あぃ!伊504だよ!」

 

よく見ると、こっちとは逆方向の席に実力派エリート集団潜水艦のアホどもがオシャレな私服でこのうどん屋に来ていた…ッ!

 

「………えーっと、伊504クンだっけ?立ち話もなんだし、まぁ座って、お茶でも飲んでハナシでもしよーや」

 

奥の席に座っているらしい401はセンパイ風をビュービュー吹かしているのか、ホカホカで淹れたてのティーを急須から湯呑みに淹れてルイジ改め504クンの前に置いた

 

「あぃ!いただきまー……ゔっ!」

 

「どうした?いただきますって言ったからには飲んで貰おうじゃねーの?それともヌルいから飲むのはイヤかしら?」

 

「クスクス…仲間になりたくねーから飲むのはイヤなんですって!」

 

「オイ、ナニやってるでち?401、58にもティーよこせ」

 

「悪いがアトにしてくれよ、58センパイ」

 

「ハァ?」

 

………ナニやってるんだ?アイツらは、ルイジくん改め504クンはやがて意を決したように湯呑みの中身をグイィィィ!とイッキに流し込んだ!

 

「の、飲んだですって!」

 

「…ユーも、びっくりした」

 

「………ウエェェェェェ!ニガい…っ!ルイ、グリーンティーはやっぱニガテ!」

 

ーーー

 

「提督のごぼう天も美味しそうですね」

 

「なんだ?シェアーして欲しいのか?」

 

夕張のアホンダラは、じゃ、私のカマボコとそのごぼう天交換してくださいとシェアーを申請してきたが…

 

「バカヤロウ、何か得る為に同等の何かを失う等価交換の原則を無視する気かテメーは」

 

「え?カマボコじゃダメなんですか!?じゃ、ネギで…」

 

「バカヤロウ、あるじゃねーか……デッケーのが!」

 

「嗚呼っ!!私のエビ天!ダメです!それはメインなんですから!」

 

「じゃ、半分でいいわ、そのエビ半分とごぼう天を交換してやろう」

 

人は何かの犠牲なしに何も得る事はできない、何かを得る為にはそれと同等の代価が必要になる…

 

「ちょ!!食べ過ぎ!食べ過ぎですよ半分って言ったじゃないですか!!あ、あぁぁぁぁぁ!!持っていかれたァァァァァ!!」

 

その頃僕らは、それが世界の真実だと信じていた…


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