不健全鎮守府   作:犬魚

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ハッキリ言って自信作?そんなこと言いましたか?ありゃ嘘だ

【登場人物】

提督(中佐)
ネタ不足、新鮮なネタに飢えている

Гангут(革命軍)
革命軍のヘッド、言動は些かアレながらとても同志想い




提督と革命のエチュードRII

桜の開花宣言も発表され、春と言う季節にひと味違う予感を感じつつ廊下を歩いていると、喫煙所のところに先客が来ていた…

 

「おぉ!同志、オマエもか?ほら、ここ空いてるぞ!ほら!」

 

空いてるからここ座れ!ほら!遠慮するな!とベンチをバシバシ叩くのは旧ソから来たの史上最もアツかりし熱血革命こと革命戦士ガングート…ッ!

 

ガングートはベンチに座った俺の背中をバシバシ叩きつつ暖かくなってきたなぁ!ロシアン世間話から入ってきた

 

「うるせーよ、ってか馴れ馴れしいんだよテメーは」

 

「ハッハッハ!」

 

革命軍、それは赤き共産なる世界を目指す史上最もアツかりし熱血革命集団である

そのアツい革命カツドウは多岐に渡り、この腐った世界を壊すべく様々な破壊活動や政府に恭順しない潜在戦力の拡大などを行う、一口に言えばテロリストである

 

「しかし聞いたか同志、今度の“世界会議”の話を…」

 

「聞いてねぇよ、むしろ俺には1mmも関係ねぇ」

 

「………フッ、そうか」

 

そして、何故か俺はそのテロリスト集団のメンバーに数えられており、ガングートの野郎は馴れ馴れしく同志と呼んできているのだが…

 

「まぁキサマはそういう男だ」

 

コイツ…“言わずともわかる、キサマは他の同志達に迷惑を掛けずに一人でやるつもりなのだろう?”と言いたげな顔をしてフッと笑ってやがる

 

「わかったらとっとと消えろ、俺は群れるのが嫌いでな」

 

「まぁそう言うな同志、そうだ!今日は同志小っこいのや同志エトロフ達と集まって焼き肉する予定でな!キサマも来い!」

 

「え?やだよめんどくさい」

 

「ハッハッハ!そう遠慮するな!たった一度の今日という日じゃないか!同志達も同志提督が来ると聞けばさぞ喜ぶぞ!」

 

「さぞ喜ぼうがメンドくせぇモンはメンドくせぇんだよ」

 

「まぁそう言うな同志提督、では行くか?同志提督」

 

ガングートは俺の肩をまるで万力の如き剛力で掴んだ

 

「痛いッ!!ちょ!待てよ!痛い痛い痛い!」

 

「同志達は肉や野菜を仕入れている、ならば我々は同志達を労うべく同志達がイチバン喜ぶ甘い物を仕入れるとしよう!なぁ!」

 

「わかった!わかったから離せッ!買ってやる!五段のでもなんでも買ってやる!」

 

◆◆◆

 

アツかりし革命同志、ガングートと共に近所の不死屋で甘い物を購入し、同志達が焼き肉の準備をしているらしい執務棟裏の広場に来てみると、革命軍のバカ共と…

 

「ここは今からダチッコSMOU倶楽部がちゃんこ会するのよ!」

 

国宝・潮を擁する第七駆逐隊…ッ!通称ダチッコSMOU倶楽部

 

「うるせーっしゅ!ここは革命軍のシマっしゅよ!」

 

史上最もアツかり革命集団、革命軍…ッ!

 

「ナニを言ってるんだ!みんなナイスガッツな仲間じゃないか!なぁ!」

 

ナイスガッツ陸上部!アツいナイスガッツさえあればなんでもできる!ナイスガッツ長良主将!

 

執務棟の裏で、二つの勢力+ナイスガッツがそれぞれ鼻息を荒く睨み合っていた…

まぁ、正確には睨み合ってるのは革命軍と第七駆の一部のアホガキどもだけで長良主将はナイスガッツ仲良くしようじゃないかとアツいナイスガッツを説いてるだけなんだが…

 

「オイオイオイ、ナニやってんだオマエらは?」

 

「あ!同志ガングートとテイトクっしゅ!」

 

革命軍のメンバー達は俺とガングートの登場に勢いを増したらしく、第七駆SMOU倶楽部にカエレコールを浴びせ出した

 

「クッ!まさかテイトクを仲間に引き込んでいるとは…!」

 

「汚いわコレ!」

 

劣勢に立たされた第七駆逐隊、しかし…ッ!そこに諦めは無いッ!

 

「…みんな、落ち着こう、ピンチなんていつもの事だよ」

 

「潮ォ!」

 

「いつだって私達はアドバンテージなんてない、向いてない、センスないってみんな笑われてきた、でもそれがいったいナニ!?」

 

私達の重ねてきた稽古はそんな逆境!いつだって跳ね返してきた…ッ!!

潮からのアツい檄に、第七駆逐隊は己の中に確かにあるアツいモノを取り戻した

 

「…ヘヘッ、さすが潮ね」

 

「ザーナミも感動キタコレ…」

 

「潮の言う通りだぜェ!」

 

鉄の結束力を持つ百鬼の軍団、ダチッコSMOU倶楽部復活ッ!

 

「こ、こっちには同志ガングートも同志テイトクもいるんしゅよ!な…何故っしゅ、何故震えない!何故怯えない!何故絶望しない…!」

 

「姉さん、それ完全に悪役のセリフなんだけど… 」

 

頭の色はファンキーだがとても礼儀正しく海防艦唯一の良識派と言ってもいい妹の国後クンの冷静で的確なツッコミが耳に入ってるかは怪しい

 

「ここで私達はちゃんこパーティーするのよ!ほら!材料だってこんなに!」

 

「それはこちらも同じだよ、同志一同、朝からお買い物に行ってきたのさ」

 

山ほど用意された焼肉の材料とちゃんこの材料、しかし何故コイツらはわざわざここでパーリーをしたいのか…?別に桜の木があるワケでもなし、ちょっとした花壇があるだけのこの場所で…?

 

「やぁ、同志」

 

「キミは………タスケくん?」

 

「Ташкентだよ」

 

あのガングートが“ヤヴァイ”と評する同志ヤヴァイ・ヤツ、空色の絶望タシュケントくんが相変わらずニコニコしながら俺の腕を無造作に掴み…

 

「はやく命じてくれよ同志、“消せ”って」

 

「…命じませんよ、ナニ言ってのかねこの子は」

 

タシュケントくんは曇りなき眼で苛々するなぁとか言ってるが、この子もしかして感情とかあるのだろうか?

 

「それにまぁ落ち着きたまえよキミ達、俺達はみんな同じ基地の仲間……“家族”じゃねぇか、家族が喧嘩をしちゃいけねぇ、俺は悲しいぜぇ」

 

とりあえず俺はみんな俺の大事な家族だぜぇと一番近くに立っていた占守とボノボノの肩をアツく抱いた

 

「タバコくせーっしゅ!」

 

「気安く触んな!オッサン!」

 

まったく、どいつもコイツも口は悪いが俺の大事な“家族”だなオイ、っーか、そもそも場所争いする必要ねーだろ、こんだけ広いんだから…

 

そんなラブ&ピースな完全平和主義を考えていると、執務棟の裏に新たな二人組がブラブラ歩いて来た…

 

「あ、テイトクだ」

 

「何をしているのですか?」

 

個性溢れるスター集団、陽炎姉妹の頂点に君臨する長女と次女、陽炎と不知火ッ!

 

「革命軍と第七駆が場所を取り合って喧嘩しているのだよ」

 

「ふーん、お互いに死ぬまで殴り合って勝った方が使えばいいじゃない?」

 

死ぬまで()れ、これが小粋なカゲロウジョークならまだ可愛げがあるが、これがジョークではないコトが陽炎が姉妹の頂点たる由縁だろう…

 

「いいワケねーだろ」

 

「待ってください陽炎、この不知火に良い考えがあります」

 

そして落ち度の塊、不知火、落ち度の塊である

 

「やはりここはギャンブ……」

 

「大却下だ」

 

コイツの提案するギャンブルには落ち度しかない

 

「そもそもアレだ、場所ってもこんだけ広いんだ、同時に使えばいいだろーが」

 

「そうだ!そうだテイトク!それこそナイスガッツな提案だ!なぁ!みんな!」

 

長良主将はアツいナイスガッツアイデアだ!と革命軍と第七駆達の肩をバシバシ叩き、そんな小さなコトでクサクサするな!なぁ!肉を食べればお互いにそんな遺恨はなくなる!なぁ!とアツくナイスガッツを説いた

 

「………たしかに」

 

「まぁ、長良さんがそこまで言うなら…」

 

「よし!オマエ達も今日からナイスガッツメイトだ!なぁ!腹一杯食おう!なぁ!そしてあの夕日に向かって走ろうじゃないか!なぁ!」

 

…こうして、場所取り闘争はアツいナイスガッツで解決し、革命軍と第七駆SMOU倶楽部は同じ釜のメシを食うアツいナイスガッツで結ばれ、ナイスガッツさえあれば革命は成る!ナイスガッツさえあればプロの土俵にも立てる!ナイスガッツ!!

 

 

「………あ、肉焼けたわ、って不知火!それアタシが育てた肉!」

 

「不知火に落ち度が?」ナポォ…モニュ……モニュ

 

「チッ、アンタその落とした肉はアンタが食べなさいよ」

 

「そうします、提督、タレ取ってください」ナポォ…

 

「オマエ!それ俺が焼いてた肉!吐け!コラァ!」

 

「し…不知火に落ち度が…?」モニュ…モニュ…

 


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