不健全鎮守府   作:犬魚

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【登場人物】

利根
通称自称共にワガハイ
努力家でアホ、大雑把でアホ、甘やかされている

筑摩
利根姉さんの妹、山城とは似ているようで微妙に異なるベクトルのヤバい妹


提督と利根型と続続続続続ナイトクラブ

鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ、そろそろこのくだりは必要ないのではないだろうか?

 

「なぁママ、強さとは一体なんだろうな?」

 

「フーッ~……ま、タフ&ハードなスピリットかねぇ?」

 

「タフ&ハードか…」

 

オーナーのビッグママこと鳳翔は白い煙を吹き出し、煙管の火種を落とし、面倒くさそうに口を開く

 

「今日は?」

 

「おっぱいが大きく、なおかつ従順で大人しめでありながら包容力を感じる娘で」

 

「居たかね、そんなの、まぁいいさ、テキトーに座ってな」

 

自分で言ってなんだが、そんな奴がウチで働いているとは思えんな、とりあえず俺はテキトーな席に座って煙草に火を点けた

 

「ワガハイが利根である」

 

「利根姉さんの妹です」

 

席にやって来たのは利根と、筑摩

かつてはいまいちパッとしない泥臭い重巡姉妹だったが、いつの頃からか、航空巡洋艦にワープ進化を遂げ、いやらしいスリットで太腿を見せつけてくる

これはもうアレだな、誘ってるってコトでいいんだよな?

 

「いいんだなッ!」

 

「何がじゃ!?」

 

「気にするな、とりあえずビールな」

 

「う…うむ、任せておけ!ワガハイが注いでやるのじゃ」

 

出てきたのはいつものオリ●ンビール、今更だが、ママの趣味かなにかなのか?なんでわざわざオ●オンビール入荷してるんだよ

 

「よし、注ぐぞ…!」

 

「姉さん!練習通り!落ち着いて練習通りに!」

 

「オイ、大丈夫なのか?」

 

「大丈夫じゃ、泡立たないように練習したのじゃ!」

 

「姉さん!落ち着いて!ゆっくり!そう…ゆっくり!」

 

なんでビール注ぐだけで必死こいてんだよコイツ、っーか早く注げよ、ヌルくなるだろーが

 

「クッ…!」

 

「ガンバって!ガンバって姉さん!」

 

「いや、多少の泡とかいいから早くしろよ」

 

ビタンッ!!

 

「アバッ…!?」

 

ぶたれた…?え?なんで…?え?筑摩さん?

 

「提督、ちょっと黙って頂けますか?」

 

「あ…はい」

 

なにこの子、超怖いんだけど?

姉以外は路傍の石ぐらいにしか思ってない、何の感情もない闇より深い暗黒の瞳だ

 

「どうじゃあッ!」

 

「完璧です!完璧です姉さん!」

 

「そうじゃろう?さぁ!!提督よ、飲むがいい」

 

「あぁ、うん」

 

…ヌルい、注ぐスピードの遅さ、グラスと瓶、双方に握られていた熱もあり非常にヌルい、だが…

 

「…」

 

筑摩の目が怖い

 

「…美味しいです」

 

「そうじゃろう、そうじゃろう!」

 

「さすがは姉さんです」

 

なんで俺が気を遣わにゃならんのだ

これはもうアレだな、チェンジだ、チェンジ!

俺はキンキンに冷えたヤツが飲みたいんだよ

 

「ママ、チェン…」

 

「提督よ!ワガハイ達も飲んでいいのじゃろう?」

 

「その通りです姉さん、姉さんのは私が注ぎますね」

 

「…ジ、あ、あぁ、うん」

 

ひと仕事終えたらしい利根に、妹が新しく用意したキンキンに冷えたビールをスムーズに注ぐ

 

「ブハァー!!悪魔的美味さじゃあ!!なぁ筑摩ァ!」

 

「お疲れ様です姉さん」

 

「うむ」

 

オマエが接待されてるじゃねぇかァァァ!!

 

「ほれ、提督も飲まんか?ワガハイが注いでやろうか?」

 

「姉さん、もう一杯どうぞ」

 

「うむ!」


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