【登場人物】
村雨(村雨っぱい)
今海域No.1プレーヤーの前評判、エンジンも超抜
春雨(偽)
たぶん素の性能なら姉妹最強、ナノテク技術の粋を凝らした足
時雨(様)
僕に逆らう者は提督でも●す
白露(長女)
地味に改二になり、地味に先制対潜もできる、地味にかわいいと評判
深海雨雲姫(モクモクしちょる)
なんとなく村雨似の姫級、モクモクしちょる
VS深海ソロモン艦隊クラ湾主力隊、後半戦!主力メンバーを大幅に入れ替え臨む決戦には村雨・春雨だけではなく同じく白露姉妹のエース、ディフェンス不可能の点取り屋の異名を持つ夕立とチームの絶対的司令塔の時雨、余った枠に存在感がパッとしない長女を加え、更に惨劇の王者の異名を持つ長良姉妹一の危険人物、由良を投入した鉄壁の布陣…
「よぉーし、全員最低ノルマこなせよー、ノルマこなせなかったヤツは由良蹴るからー、ね?」
『『『オォォッース!!っぽいー!』』』
常勝軍団、百戦錬磨の白露姉妹キセキの世代と深海ソロモン艦隊クラ湾主力のゲームが幕を開ける…ッ!!
◆◆◆
午後のアンニュイな執務室…
「さて、お手並み拝見といこうじゃないか」
「そうですね、あ、コーヒーでも淹れましょうか?」
…相変わらずこの青髪ロング子は執拗にコーヒーを勧めてくるが、俺はそれを“誰がテメーの殺人コーヒーなんか飲むかバーカ”と丁重に断り、改めてアツいティーを淹れたまえと注文すると、アツアツのグリーンティーとエンゼ●パイの入った菓子皿を執務机に叩きつけられた
「ありがとう」
「どういたしまして」
若干イラっとした表情で湯呑みと菓子皿を叩きつけた秘書殿だったが、エン●ルパイを1つ食べるとイラっと感もおさまったらしい…
「姉さん達にはガンバって欲し………いえ、ガンバりすぎるのもアレですね、うん」
「なんだ?オマエも出たかったか?」
「…まぁ、出ろと言われたら出ますよ、私は」
「ふむ」
五月雨はさして興味なさそうにエン●ルパイを食べつつ執務机に置いたテレビを覗きながら俺の横にやって来た
「お、なかなかイイ感じじゃないですか?ほら、夕立姉さんのイイの刺さりましたよ、あれは死にましたね」
「相変わらず殺意の塊みてーなヤツだな、オイ、オマエのねーちゃんだろ?アレ」
「そうですね、あと、提督の部下でもあります」
こやつめ、言いおるわい、こやつめ!
◆◆◆
チームメンバーを入れ替えての最終決戦、由良さんの非情の魚雷からスタートした戦いは序盤から安定したチームの総合力で深海部隊を圧倒し、久々に姿を現した時雨クンではなく時雨様の“僕を見下ろす事は何人たりとも許さない”により深海のチームメイトは次々にアンクルをブレイクされて海面に転んだ…
そして、終始安定した蹂躙からのゲームは最終局面、村雨VS雨雲姫、エース同士、マンツーマンでの最後激突という理想的展開へとゲームを持ち込んだッ!
「フーッ…ブッ潰したげるわぁ~」
『イイトコヲミセルッテ……?ムリシチャッテェ…!!オバカサン!』
今海域No.1プレーヤー村雨、待ちに待ったマンツーマンでの戦い!
「村雨のヤツ…“ゾーン”に入ってやがるっぽい」
「今の村雨姉サンを止められるとしたら、同じ“ゾーン”に入るぐらいしないと…」
おそらくは今の村雨は夕立のアジリティをもってして互角、ゼス●ス全開の本気のハルサメのマークすら振り切るだけの可能性を持つだろう、夕立とハルサメはこの激突が正真正銘最後の戦いになる事を予感していた…
「ヤっちまうぞオラァ!!」
『ヌウッ!!』
村雨の駆逐艦離れした超肉体からくるプレッシャーに一歩も退かない!エースキラーの異名を持つ雨雲姫は巧みに村雨の攻撃を捌きつつ強烈なエースキラーを叩き込むタイミングを狙っていた
「速い…っ!ナニやってんのかよくワカんねー!」
「あの深海棲艦、今の村雨に喰らいつけるだけはあるね…」
「え?時雨アレなにやってるかわかるの?」
「勿論だ、僕の目から見ても僕達が本気に出すに値する価値のある水準にレヴェルに達していると思うよ」
「へー…」
謙遜だ………本気を出した時雨なら瞬殺するだろう、そう白露は思ったものの口には出さなかった
『深海舐メンジャネーゾォ!!』
「クッ…!!このヤロウ…!」
入りやがった…ッ!この土壇場でッ!“ゾーン”に…ッ!
青白く輝く雨雲姫のゾーン、村雨VS雨雲姫の対決は熾烈を極めた…ハイスピードな駆け引きの混ぜられた打撃戦、その力はまさに互角………と、思われたが、終わりは突然やって来た
「村雨姉サンのスピードが…っ!」
「ゾーンの時間切れだね」
「やっば村雨じゃダメっぽい」
「や、村雨ガンバったじゃん、お姉ちゃんはそこは誉めたげるよ!」
ゾーンの切れた村雨は雨雲姫から渾身のマグナムブローをお腹にブチ込まれ、汚い吐瀉物を吐き出して海面に転がった…
『ヤッチマウゾオラァ!!』
ドゴンッ!!(マグナム腹パン)
「オゴォ!!…………ウゲェ」ビチャビチャ…
『ッシヤアッ!!』
「う…ぅぅ、バ、バカな……この戦い、MVPチケット総取りして豪遊する村雨の夢が……!夢がぁ…!!」ポロポロ…
村雨は悔しさに涙を流しつつ、呪いあれ!深海に災いあれ!と呪いの言葉を吐き、雨雲姫に蹴り飛ばされて海面を転がった…
「負け犬クンの村雨負けたし、アイツ誰が殺るっぽい?夕立が殺っていい?」
「僕は構わないよ、白露姉さんはどうだい?」
「え?あ~……アタシは別に、うん、まぁ、誰かに任せるかな?ハルサメ…は?」
「私も特には…」
負け犬の村雨はさておき、残った姉妹は誰が姫級の首級を挙げるかを話し合っていると、雨雲姫がグルングルンと………そう5回?いや、10回転くらいしながらブッ飛び海面に激しく叩きつけられた後に2~3度ビクンビクンと大きく跳ねて動かなくなった…
『 』死ーン
「あれ?動かなくなっちゃった」
突然の惨劇に戦慄する白露姉妹達の視線の先、そこには………無造作に掴んだ魚雷、よく見ると、なにやら赤い液体が付着しているように見えるその魚雷を海に捨て、もう一方の手でアイスを食べながら白露姉妹に“ラムレーズンが、ストロベリーチップになっちゃった、ね?”と笑顔で言う由良が立っていた…
「…やっぱ由良さんヤベーっぽい」
「いや、ヤベーっぽいじゃないでヤバイって言うのよ、アレ」
由良は海面に転がる村雨のお腹に蹴りを入れ、さっさと起きろと伝え、白露の持っていた現場撮影用のカメラに“提督さ~ん、今から帰るね~、ね?”と笑顔で手を振り、映像はそこで終了した………
◆◆◆
午後のアンニュイな執務室…
「さすがの姉さん達もドン引きでしたね」
「あぁ」
テレビのスイッチを切り、とりあえずティーをくれないかね?アツいヤツをと青髪ロング秘書に伝え、煙草に火を点ける…
「フーッ~………引くわ、なんだよあの白髪、いや、白髪か?なんか前より赤くなってるよな、あのプッツン軽巡」
「返り血じゃないですか?」
なるほど、卿の意見を是としよう