不健全鎮守府   作:犬魚

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最大トーナメント二回戦、緑と金の小さいのがこの海の強者に挑む!

金剛 VS 山風
天龍 VS Jervis

ですって!たぶん!


ブロックA【二回戦】

最大トーナメント二回戦ッッ!!

 

一回戦の死闘を勝ち上がったいずれも劣らぬ猛者達がぶつかる全ての試合が超雌対決ッッッ!

 

その、二回戦最初の試合……

 

試合開始2秒の秒殺劇で勝ち上がった目下優勝候補No.1!この基地の裏にもう何年も君臨するまさに“帝王”!一撃必殺のその先を求めし拳の求道者ーッ!戦艦金剛ッ!!

 

そして、その金剛に相対するは、折れない!曲げない!挫けない!不倒不屈の心で“国宝・潮”から勝利をもぎ取った触れるもの全て突き刺すアロエの如きトゲトゲ!山風ッ!!

 

「さぁ~始まります二回戦第一試合、いえ……これは試合と言えるのでしょうか?戦艦と駆逐艦、金剛さんと山風ちゃん……ここまで絶望的な、悪魔的なまでの戦力差を感じる対戦はあるのでしょうか?私は皆さんに問いたいッッッ!これは試合と言えるのでしょうかッ!言うなれば!これは……これは一方的な殺戮ッ!皆さんは殺戮ショーが見たいのでしょうかッッッ!!」

 

ざわ……ざわっ……

 

実況席、青葉のアナウンスによりざわめく会場…

たしかに、今日、この会場に足を運んだ観客達の誰もがこの試合、金剛の勝利を予想している、スルメを食べるおじさんも金剛がド本命、理系のお兄さんのデータでも金剛の勝利は100%、戦吉兆羅針盤も何度回しても99分の1、死のマスで止まる…

 

誰がどう考えても山風が、あの金剛に勝利するなど不可能…

 

「しかし我々はこの戦いを見守るコトしかできませんッ!金剛さんと言う超級の災害(カラミティ)を前に、山風ちゃんがオモシロオブジェみたいにされないコトを祈りましょう!ねぇ!初春様ッ!」

 

「うむ、あと、オマエちとうるさいのじゃ」

 

◇◇◇

 

『山風ェー!!サイコーだーッ!』

 

『お前がNo.1だー!』

 

『アリガトー!ヤマカゼ、アリガトー!』

 

あの大戦艦、金剛さんをイッパツで倒し、今まで見たコトないようなたくさんの歓声が聞こえる…

 

そして、金剛さんを倒した私を祝福する為にテイトクもリングに来て、よくやった!感動した!とぎゅーっとしてくれた

 

「感動した!」

 

「…うん、うん!」

 

…それから、あのキンパツチビがやって来てブルブル震えながら私に頭を下げた…?

 

「あ、アナタ様にはかないまセーン!」ブルブル…

 

「え…あ、うん、うん?」

 

…うん?コイツ、こんなヤツだったっけ…?

 

「あぁ、そうだ山風よ、そういや、なんかこの人がオマエにアイサツしたいんだって…」

 

「フッ…」

 

って……ん?ん~~~?戦艦長門ーッッッ!?長門…?長門さん、さっき死んだ……よ?ダメだよ長門さん死んだ人が出てきちゃ………死んだんだよ?

 

「このビッグセブン、地上最強の戦艦と言われているが………それはこの私の事ではない、山風、オマエさんだ」ニィ…

 

……あぁ、あー…そーゆーカンジかぁ~

 

「そんなんアタリ前じゃん!」

 

「やっぱり?ハッハッハ!」

 

…こーゆーコトってたいていはそう、たいていは……そう

 

“夢”!!

 

ーーー

 

「一撃ィィィィィ!!なんか自信アリげにリングに上がった山風ちゃんだったがやっぱり勝てなかったァァァァァ!」

 

「まぁ、ワカっていた結果じゃ…」

 

試合開始1秒、金剛のパンチでリングにメリ込んだ山風はオモシロオブジェにはならなかったものの、壊れたブリキ人形みたいに動かなくなった…

 

「しかし金剛さん、女子供にもまったく容赦がありませんねぇ、あの保護欲の塊と言われる山風ちゃんを正面からグーで切って落とすとかなかなかできるコトじゃありませんよ、ねぇ!初春様!」

 

「闘争の場に余計なモノは一切持ち込まない、前に立つ者はなんであろうが倒してのける、それがお主の道か……金剛」

 

初春は雅な扇子で口元を隠し珍しく神妙な面持ちで眉根を寄せた

 

「金剛さんって昔からそーゆー人じゃないですか?」

 

「フッ……お主は知らぬまい、かつての金剛は万人を愛し、万人に愛されし誰より優しく慈愛に満ちた高潔な人物じゃった、しかし…」

 

「あ、初春様そのハナシ長くなりますか?」

 

「あ?うむ、まぁ、ワリとな」

 

「あ、回想とかいいんで!」

 

「む?そ…そうか?」

 

ブロックA二回戦

金剛○ ‐ 山風●(強パンチ)

 

◆◆◆

 

二回戦第二試合、優勝候補金剛の鉄拳が緑のトゲトゲを下し、続く次の試合は英国から来たリトル淑女、一回戦、ステーツ期待のリトルガール、サミュエルを徹底的に痛めつけ、心と身体に傷を与えて勝ち上がった侵略のスピードアタッター、ジャーヴィス!

 

「アッハッハ!ワタシとDarlingのジャマするヤツはミナゴロ・シーよー!」

 

そして、相対するは互いのキャビネッセンスを奪い合う死闘を制し、見事勝ち上がった自称煉獄より生まれし黙示録の龍、天龍…ッッ!!

 

先にリングに姿を現したジャーヴィスはオイッチ・ニー!オイッチ・ニー!とストレッチをしつつ対戦相手である天龍の登場を待つ…

 

「さて二回戦第二試合、ジャーヴィスちゃん対天龍さんなワケですが初春様」

 

「うむ」

 

「どうでしょう?やはりこの試合、体格で勝る天龍さん有利と見るべきでしょうか?」

 

「まぁ、なんとも言い難しじゃな」

 

子日から受け取った湯呑みを啜りつつ、初春は昼は蕎麦でも食いたいのぉとお品書きを眺めながら呟いた…

 

「…しかし天龍さんなかなか現れませんね」

 

「う●こでもしとるのじゃろ」

 

「なるほど、う●こですか……まさか初春様からう●こなどと言う言葉を聞くコトになるとは、青葉びっくりです」

 

「妾とてう●こぐらい言うわい」

 

「びっくりです」

 

なかなかリングへと姿を現さない天龍、ジャーヴィスはとりあえずストレッチで身体を温め、スタートから万全の状態へと準備万端…ッ!

まずは低空タックルから入りボディを連打する、とにかく連打だ、執拗にボディを連打し、頭が下がったところで必殺のロイヤル右フックを叩き込み、転がったらリバースフルネルソンからリングに叩きつけてやる……ジャーヴィスの作戦は決まった

 

その時…ッッッ!!

 

グシャアッ!!

 

「な、ナニ!?」

 

ジャーヴィスの待つリングにナニかが勢い良く叩きつけられて転がった!!それは……

 

「て、テンリュウゥゥゥゥゥ!!」

 

「…」死ーン

 

それは、まるでオモシロオブジェみたいな型になった天龍…

 

そして、オモシロオブジェ天龍が飛んで来た方向……本来ならば天龍が歩いて来るハズのゲートからナニかが来る…っ!!

 

「な、ナニ?いったいナンなノ!?」

 

カツーン…カツーン…(足音)

 

『その方は体調が悪いようなので私と替わって頂きました…』

 

カツーン…カツーン…(足音)

 

「ば…バカな…っ!?ア、アナタはーッッ!!」

 

強烈な覇●色を放ちながらリングに姿を現したその女性は、あまりにも高貴すぎた、優雅で、美しく、そして気品がありすぎた…

 

それはまさに、女王だった

 

「女王陛下だァァァァァ!!まさかこの基地闘技場に女王陛下降臨ッッッ!!女王陛下降臨に観客席は覇●色に耐えきれずに気を失う観客が続出しておりますッ!」

 

「なんという覇気じゃ…」

 

「は…初春様!これは一体どーゆーコトでしょう?本来戦うハズの天龍さんがオモシロオブジェみたいにされていますが…」

 

ざわつく場内を宥めるように、女王陛下は静かに右手を挙げ、お静かに…とエレガントに仰り、未だ、戦慄を隠せずにいるリトル淑女ことジャーヴィスに向き直った

 

「まず最初に、これは“試合”ではありません」

 

「………は?な、ナニそれLady、それ、ドーユー…?」

 

「Jervis、私はね………アナタに“制裁”を与えにきました」

 

「せ……セーサイッッ!!?」

 

「…この国に来て以来、最近のアナタの行動、さすがに目に余るモノがあります」

 

本国ではあんなに良い子だったのに…

そう一言つけ加え、女王陛下はさらに続ける……そもそも、Arkだけでも頭が痛かったのにJervisがヤンチャし、最近ではNelsonも来たせいか、女王陛下の広い御心もさすがに許容できる範囲を超えた

 

「アナタの教育をArkに任せたコトがそもそも間違いだったのでしょう、えぇ……間違いは誰しもあります、そして間違えは正せば良いのです」

 

「つ、つまり…ドーユーコト?」

 

「Jervis、アナタはこの私が……このQueen Elizabeth class Battleship Warspiteが自ら教育をしましょう、いいですね?」

 

「ヒッ!?……れ、レレレ!Ladyがッッッ!!」

 

「そして………まずはJervis、アナタのその淑女としてあるまじき曲がりに捻曲がった性根を叩き直します」ギロッ!

 

「ヒイィィィ!!」

 

これは試合ではないッッッ!!制裁を与えるッッ!!

女王陛下自ら、自国の恥部を晒すリトル淑女を叩き直すべくこの場に来たッッッ!

 

「あの………初春様、コレ、ルール的にはどうなるんでしょう?」

 

「さぁ?とりあえず天龍はあそこでオモシロオブジェみたいに転がっとるしのぉ……まぁ、あの金の小さいのが女王殿に勝てれば良し、負ければ敗退で良いのではないか?」

 

「そうですね!それでいきましょう!」

 

突如として始まった女王陛下VSリトル淑女ッ!!まさかの激突に、観客席からは凄まじい歓声が湧く!女王陛下の戦いが見られるッ!まさしく降って湧いたようなサプライズッ!!

 

「クッ……!ドイツもコイツも人の気も知らずニ…っ!」

 

対天龍用に考えていたプランは使えない、ジャーヴィスはとりあえず混乱する頭でなんとか冷静に考えた…

我が女王であるWarspiteに下手な小細工はきっと通用しない、やるならば正面からしかない…っ!手数、そしてスピードなら自分の方が上回っている、それに、このジャーヴィスには誰にも負けない“lucky”がある…っ!!

 

「行くワ…っ!!」

 

ジャーヴィスはリングを蹴り、女王に向かって飛びかかる!!たとえ女王であろうがジャーヴィス必殺のロイヤルタックルを受ければ無事では済まな…

 

ガンッッッ!!!(王笏attack)

 

「………なんの“王”になるですって?Jervis」ギロッ

 

女王陛下の王笏でワンパンKOされ、リングに転がって白目を剥いてドクドクするジャーヴィスは二、三度痙攣した後に動かなくなった…

 

 

ブロックA二回戦

天龍● ‐ Jervis●(王笏attack)

Warspite襲来により勝者無し




次回はブロックB

鈴谷VS………

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