【登場人物】
提督(知性的レスリング)
必殺技はテイトクリベンジャー
金剛(大金剛流)
平時は自身の住む寮、天動宮から動かず裏から支配する基地の帝王、しかし、基地に頭が二つあるのを良しとせず、提督とはいずれ決着をつける機会を伺っている
サラトガ(デカパイ)
説明不要のデカパイ、ホ●同人を隠し持ち、たまに読んでいる
秋の雲ひとつない青空、まったく今日はイイ気球日和だなと予感させる絶好の行楽日和と言う日であると同時に、今日はとても死ぬにはイイ日……船出の刻だと予感させてくれる
「客入りはどんな感じだ?」
「七千ぐらいですかね」
「七千か…」
まぁまぁと言ったところだな、とりあえずさっき浦風のアホンダラがお好み焼きの出店の手ぇ足らんからなんとかせいやー!とか悪質なクレームつけてきたのでお腹にパンチしてもんじゃ製造機にしてやるとオマエあとでゼッタイ後悔させたるからなぁ!とか捨て台詞を吐いて出店に戻って行った…
「よし、では俺は見廻りに行ってくる!ここは任せたぞ」
「…はぁ?」
五月雨はモニターを見ながら気のない返事を返してきた………珍しいな、サミーが見廻り行くならナニか買ってこいと俺にねだらないとは…
「気をつけてくださいね」
「ん?お、おぅ」
そして、気をつけろとの警告を………?オイオイオイ、今日は楽しいフェスタだ、いったいナニを気をつけるって言うのかね?この子は…
◆◇◆◇◆◇◆◇
来ター!射程……!右!!!外レタッッッ!喰ラッタ!!ッッッ!!
「ダゥゥゥゥゥン!!MAJORの怪物サラトガ!たったイッパツでダゥゥゥゥゥン!!強い!強すぎるッッッ!まさに瞬殺劇だァァァァァ!!」
…秋の基地開放祭、今年の目玉イベント、全艦種最大トーナメント1回戦第1試合、MAJORの怪物サラトガと暴の頂点に君臨する拳の求道者、金剛ッッッ!
衝撃の瞬殺劇に大興奮の観客席の最上段で試合を見ていた俺を目ざとく見つけたらしく、金剛は不敵に笑い…
「テイトク、ワタシと戦ってくだサーイ」
ざわ…ざわざわ…ざわ…っ!
「この最大トーナメント優勝の権利を使い、ワタシはテイトクとヤり、金剛という戦艦の締め括りとしたい!」
金剛からの挑戦ッッッ!!それは、このトーナメントに必ず優勝するという宣言ッッッ!!
「飯を喰らい、気を喰らい、喜びを喰らい、悲しみを喰らい、愛を喰らい、嘲りを喰らい、女体を喰らう………取るに足らぬハズだった脆弱な子猫はいつしか、俺の視線をまともに受け止める獅子へと進化を遂げ、更なる変貌を諦めず、更なる熟成を諦めず…」
『み、認めています!!提督が金剛さんを敵として認めています!解説の初春様!これはどーゆーコトでしょうか!?』
『うむ……認めておるのぉ』
観客席から飛び降りた俺は金剛の前に立つ!!
「やがて、俺の“餌”として完成を見る」ニマァ…
『え…餌っ!?』
『な…なんと言う強い自負心ッ!』
俺は再び観客席に上がり、金剛を指差してから“上がってこい、ここまでな”と自らの喉元をトントンと差すと、金剛は“ブッ殺す”とわかりやすいジェスチャーで返し、闘技場から去って行った…
「フッ…」
………冗談じゃねぇぞォォォォォ!!あの野郎ォ!なんてコト宣言しやがるんだよ!誰があんなバケモノの挑戦なんか受けるかよッ!誰か!誰でもいい!アイツを止めてくれッ!
◆◆◆
デスマッチワンデイトーナメント、全艦種最大トーナメント1回戦…
第1試合は金剛の瞬殺劇に終わり、とりあえず喫煙席(立ち見)に来た俺は1回戦の対戦カードが書かれた紙を手にタバコに火を点けていた…
【ブロックA】
①金剛(戦艦) VS サラトガ(正規空母)
②潮(駆逐艦) VS 山風(駆逐艦)
③Samuel B. Roberts(駆逐艦) VS Jervis(駆逐艦)
④天龍(軽巡) VS 木曾(雷巡)
【ブロックB】
①武蔵(戦艦) VS 長門(戦艦)
②大和(戦艦) VS Iowa(戦艦)
③Nelson(戦艦) VS Гангут(戦艦)
④Richelieu(戦艦) VS 鈴谷(航巡)
【ブロックC】
①足柄(重巡) VS 羽黒(重巡)
②Ark Royal(正規空母)VS 大淀(軽巡)
③祥鳳(軽空母) VS 呂500(潜水艦)
④雲龍(正規空母) VS 日向(航戦)
【ブロックD】
①夕張(軽巡) VS 明石(工作艦)
②秋津洲(水母) VS 香取(練巡)
③清霜(駆逐艦) VS 早霜(駆逐艦)
④熊野(軽空母) VS 対馬(海防艦)
………っーかBブロックが死のブロックすぎるだろ!なんだこの悪意に満ちた組み合わせッ!もうここだけで最大トーナメント決勝でいいだろ!
「ったく、全員揃ってクジ運悪すぎか…」
まぁいい、あとは、負傷退場などした場合の為に超A級リザーバーを用意してあるのだが………正直、その正体は俺も知らない、全員、目深にソフト帽を被りトレンチコート着用のイタリアンマフィアみたいなヤツらだったが…まぁどうせロクなヤツらじゃないだろう
「フーッ〜…」
「あ、提督、ナニしてんのー?」
「ゲッ…!由良さん」
「ゲッ!は失礼じゃない?ね?」
アツアツのブタマンジュウの入ったビニル袋を片手に、ヘラヘラ笑いながら歩いて来たのはバイオレンス軽巡由良さん…
「由良ブタマンジュウ買ったから提督にもあげよっか?ね?ほら、口開けて、ね?」
由良さんはビニル袋から取り出したブタマンジュウを俺の口にグイグイねじ込み、ペットボトルの茶をくれるのかと思いきや目の前で飲み干した
「ゲーフッ………そういや由良さんは出ないのな」
「ナニが?」
「ナニって、最大トーナメントだよ」
「あぁ、別に由良お金には困ってないし、提督の言うコト聞かせる券とかなくても殴ってから頼めばいいじゃない?ね?」
「なんてコト言うのかね、この娘は」
バイオレンスが服を着ているバイオレンス軽巡由良さん、相変わらず言ってる事もやってる事もバイオレンスである
「提督も見るんでしょ?ほら、あっち空いてるから、ね?」
「やだよ、俺は喫煙席から動かねぇ」