不健全鎮守府   作:犬魚

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必殺技?そんなもの……持っているのが当たり前だろう?

【登場人物】

提督(知性)
得意な痴漢技はア●ルアナライザー

Nelson(ビッグセブン)
驚異の必殺技、ネルソンタッチの使い手、ただし使用する為の条件は厳しい

長門(ビッグセブン)
48の殺艦技+2を使用するタフ・ガイ


提督と戦慄!Nelson Touch!

晩夏の作戦も終わり、初秋になった今日この頃、秋の防災運動のポスターでも掲示板に貼って回るかと基地施設内を歩いていると、なにやら運動場の方からクソガキどもがキャッキャとハシャぐ愉快な声が聞こえてきたので何事かと思って覗いてみると、先日ウチに配属されたばかりの大貴族様がガキどもに囲まれていた…

 

「すげー!ネルソンタッチすげー!」

 

「たーのしーい、もう1回!もう1回やってー!」

 

「ハッハッハ、待て待て、順番だ、順番、子供達よキチンと並ぶのだ」

 

…ナニやってんだあの貴族様は?っーかネルソンタックルってなんだ?

貴族様はクソガキどもに順番に並ぶように伝えつつ、次なる順番らしい文月と皐月をヒョイっと持ち上げ、自分の艤装をまるでAGPのアレみたいにトランスフォームさせた

 

「フッ、見よ……各々方!コレがNelson Touchと言うモノだーッ!!」

 

まさにその形態こそ突撃形態ッッ!!2人を艤装に乗せながらも突進をやめない!なんという爆発力!なんという根性!まるで重機関車のようだッッッ!!

 

グシャァッ!!(Nelson Touch!)

 

これまさしく夢の超特急にして煌めきの流血列車!ネルソンタックルは勢い良く木人を木っ端微塵に破壊し、キラめく勝利のイマジネーションを輝かせながら停車した…

 

「フッ、これがNelson Touchだ…」

 

「スッゲー!次オレ!」

 

「私も!私も!私もー!!」

 

「ハッハッハ、順番だ、順番!ほら、良い子にはcookieをあげよう、最高級のな…」

 

「うんめー!」

 

「なんだコレ!陛下から貰ったヤツぐれーうめーゾッ!」

 

「ハッハッハ!」

 

…どうやら大貴族様はガキどもに大人気らしい、まぁ、仲良き事はそう悪いコトではない、むしろ歓迎すべきコトだろう、うん

 

そんな事を考えつつ、遠目から微笑ましき光景を見ていた俺だったが、ふと、その微笑ましき光景にバリバリと音を立てて裂ける暗黒のクレバスのようなドス黒い剥き出しの敵意と悪意を物陰から向けているヤツの存在に気付いてしまった…

 

「許さん、絶対に許さんぞ…このビッグセブンを差し置いてキッズ達の人気を独占しようとは……絶対に許さんぞあのクソスクラップが…」

 

「ナニやってんだ?オマエ…」

 

「…ん?おぉ、同志提督か」

 

「同志じゃねーよ、蹴っとばすぞテメー」

 

ステゴロなら“怪物”武蔵にすら殴り勝つと噂されている“怪物を超えた怪物”……その、広くてデカい背中がメチャシブいと駆逐艦のキッズ達から憧れと尊敬の眼差しを向けられているまさしく最強の名に相応しき(くろがね)の城、長門ッッ!!

 

ちなみに、ロリコンである

 

その(くろがね)のロリコン長門は、駆逐艦のアホガキどもに囲まれてちやほやされているネルソンに対し、ドス黒い感情を剥き出しにしながら爪をガリガリと噛んでいた

 

「フッ、やはり同志提督も気になったか?ヤツの……ネルソンの持つ特技、ネルソンタッチの恐ろしさが…」

 

「あ?あぁ?あネルソンタックル?いや、タッチか?」

 

「あぁ、たったイッパツで駆逐艦のエンジェルス達の人気を独り占めしたあの技……このビッグセブン、かつてない脅威を感じたぞ」

 

「ふ~ん、ま、スゲーんじゃねぇの?」

 

「そこでだ、同志提督」

 

「同志じゃねぇって言ってんだろーが、なんだ?もしくだらねーハナシだったら膝の皿叩き割るからな」

 

まぁ、イヤな予感しかしないのだが、そして…コイツのコトだから自分もネルソンタッチだかネルソンタックルにも勝る殺人技、ナガトタッチを考案したいと思うだの言うのだろう…

 

「フッ、ヤツ……ネルソンはこの長門や陸奥と同じくビッグセブンに数えられたと聞いている、それはつまりアレだ、この長門にもヤツのネルソンタッチにも劣らぬ必殺技(フェイバリット)が可能だと言うコトだ」

 

「ふ~む」

 

「勿論、自分も駆逐艦のエンジェルス達にちやほやされたいなど性根の腐った考えではない事を先に伝えておこう…」

 

「うるせーよ、性根の腐ったヤツが」

 

わかっていたけどダメだなコイツは

 

「だいたいオマエ、今更そんなモン必要ないだろ」

 

この長門、ステゴロ最強の名は伊達ではない、ハッキリ言ってただのパンチやただのキックですら必殺級の破壊力を持つ生粋のモンスターだ、鋼の腹筋に目がいきがちだが、その、バーベルトレーニングなど不自然(アン・ナチュラル)でないトレーニングでは決して獲得られない鍛え抜かれた打撃用筋肉(ヒッティング・マッスル)から繰り出される拳は、あの陸奥ですら“まともに受けるべきじゃあない…”と薄笑いを浮かべる程だ

 

「フッ…私はな、駆逐艦のエンジェルスにちやほやされたいんだッッッ!」

 

「こ…コイツ!あっさりと本音をッ!」

 

恐るべきはビッグセブン……そう言えばコイツ、駆逐艦と遠征に行きたい一心で大発を積めるように己の肉体を改造したぐれーだ……もしかしたら、コイツならヤれるかもしれん

 

「…いいだろう、長門、オマエには俺の、とっておきをくれてやる」

 

「本当か!?」

 

「あぁ、動機は不純以外の何物でもないが、オマエのそのアツい心意気は伝わった、ついて来い、早速教えてやろう…」

 

「うむ!」

 

こうして、俺と長門はネルソンタッチに対抗する為の新必殺技習得の為に行動を開始した…

 

◆◆◆

 

提督不在の執務室…

 

「やっほ〜…あら?やっぱ五月雨ちゃんだけしか居ないのね?」

 

「陸奥さん、こんにちは」

 

提督が仕事をサボって長門さんと地下にこもって丸3日…

執務室にやって来た陸奥さんから手土産にとケーキを貰い、せっかくですのでコーヒーでも如何ですか?と勧めたらやんわりと断られた…

 

「長門もまだ部屋に帰ってないのよねぇ、なんかネルソンタッチがどうのこうの爪をガリガリ噛んでたし、たぶんアレかな〜…って思ってたけど」

 

「まぁ、やっぱりそうなりましたか」

 

たぶん2人してネルソンタッチにも勝るとも劣らないワケのわからない必殺技でも練習してると思いますが…

 

陸奥さんとそんなアホどもの話をしていると、執務室の扉が開き、まるで3年は修行してきたような風貌の長門さんが……帰って来た

 

「フッ…」

 

とりあえず、長門さんはケーキをつまみつつ紅茶を飲んでいた陸奥さんに“オマエの不敗伝説は今日で終わりだ”とか言ってケンカを売り、陸奥さんはすごく面倒くさげにため息を吐いて立ち上がった…

 

「五月雨ちゃん、コレ?医務室送りにしてもいいのよね?」

 

「えぇ、まぁ…」

 

 

後日、怪物を作り出し、これ以上神様に喧嘩を売る事はできないと謎の手紙を残して失踪していた提督は近所のパチンコ屋の前でうなだれているところを発見され、とりあえず、サボってた分の仕事をしてくださいと窓のない部屋に放り込みました

 

あと、長門さんは陸奥さんから虎砲っぽく見えるけど全然別物の奥義を喰らって医務室送りされてました




次回か次々回から再び短編ifエンド回です
前回書ききらなかった話と、新たにナニかあればご提案あれば一考してみますのでお気軽るにどうぞですって

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