不健全鎮守府   作:犬魚

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久々に今日は二本立て!人造艦娘編の真の最終回!

【登場人物】

エイナス(気が強い女)
夕張の娘で未来夕張型軽巡の未来艦娘、過去では夕張の仮の名前を使い、アヤセと名乗っていた
基本的にはシリアスな世界観で生きてきたので真面目な感じだが、ちょいちょい父譲りの短絡的でゲスな面もある

夕張(未来)
艦娘の力を失った未来の夕張、単独でタイムマシンを作り上げた天才で、娘にはわりと厳しく、若い時はマゾだったらしい

しーちゃん(実験体)
過去の世界で人造艦娘の実験体にされていた謎の子供







未来軽巡ともう一つの結末

人造艦娘の恐怖に怯える絶望の未来を変える為、過去の世界へとやって来た未来艦娘アヤセ(仮)と提督の未来を変える戦いは終わり、アヤセ(仮)は無事、人造艦娘への対抗手段を手に入れて未来へと帰っていった…

 

そして、これは絶望の未来が辿ったもう一つの結末…

 

---

 

「この………クソだらァァァァァァ!!」

 

無事未来に帰還し、迎えてくれた母、夕張に人造艦娘の真実とその対抗手段を手に入れてきたと報告した未来夕張型軽巡エイナスは少し休んだ後、すぐに人造艦娘が暴れているという現場に直行!過去の世界で、天才 Dr.モロにより手を加えられたNEW未来夕張型艤装の力を全開にし、あれほど強く、誰も手も足も出なかった人造艦娘を圧倒的な力で粉☆砕したッ!

 

「なるほどォ!シャイニングフ●ンガーとはこういうものかーッ!!」

 

憎っくき人造艦娘のドテっ腹に手刀を突き刺し、そのまま胴体ごと持ち上げて人造艦娘を爆☆散したエイナスはガハハハハと父親譲りであろう品の無い高笑いをあげ、遂に、人造艦娘の恐怖にさらされていた未来の世界を救ったのだった…

 

そして、人造艦娘の脅威が去った世界は、僅かづつだが復興を始めていた

 

◇◇◇

 

「…ナニこれ?」

 

「炒った豆よ、好きでしょう?」

 

「いや、まぁ…別に嫌いじゃないけど、いや…なんかこう……もっと他にないの?私、オムライスとか食べたいかな~って」

 

未来世界を救った英雄の家の晩餐は質素だった…

いや、質素と言うか、そもそも未来ではワリとこれが当たり前であり、過去の世界に行った際、今まで見たコトないような美味しいモノを食べ、贅沢を覚えてしまったエイナスには炒った豆がとても悲しいものに見えた

 

「我慢しなさい、ただでさえ食い扶持増えたせいで余計に食料を切り詰めないといけないんだから」

 

「…はい」

 

母、夕張のド正論に、エイナスは頷いて炒った豆を口に放り込むと、隣に座っている白髪の子供ことしーちゃんも炒った豆をボリボリと食べ始め…

 

「おいしくない」

 

「知ってる」

 

「タイホーママのハンバーグたべたい」

 

「知ってる、アレ美味しかったよね、美味しい肉ってあんな味するんだねー」

 

エイナスとしーちゃんはお互いにため息ついてアレ美味しかったなぁ~と言いながら炒った豆をボリボリ食べていると、若干怒った夕張がテーブルをダァン!した

 

「ちょっとアンタら、黙って食べなさい!!」

 

「…はい」

 

「…はい」

 

「ったく……ま、明日は食料の配給あるから炒った豆よかマシなもの作ってあげるわ」

 

---

 

過去から未来に帰還したエイナスが持ち帰ったのは人造艦娘への対抗手段だけではなかった

 

過去の世界で、Dr.モロから預かった謎の子供ことしーちゃん…

Dr.モロ曰わく、おそらくは未来で暴れている人造艦娘のプロトタイプ的な存在らしく、色々と事情があってDr.モロの庇護下に居たそうだ

 

エイナスから人造艦娘の情報を得たDr.モロはその断片的な情報だけで“この私がそんな欠陥品作るワケがないでしょう?まったく……私を誰だと、いえ、作りましたね、欠陥品、いやいや…アレは欠陥を持つ事こそが完成であるとも言えますか、はい?あぁ、彼の話を聞きたいですか?あの男、槇…”………面倒くさいのでエイナスは聞かなかった

 

 

「えいなす、ナニこれ?」

 

「コレね、そう…コレはね、この世界を守る為に戦った戦士達のお墓よ」

 

街の復興が進んでいるよく晴れた日、エイナスはしーちゃんを連れて街外れに作られた簡素な墓地へと来ていた…

 

戦いの日々は終わったよ、と短く告げ、エイナスはそこらで拾ってきた花を墓に添える

 

「清霜さん、私、やったよ…」

 

幼いエイナスに、強さと優しさを教えてくれた偉大な戦士、清霜

過去の世界で、あんなに強くてカッコ良かった清霜さんがアホな子供だった事に多少目眩がしたが、やはりエイナスにとって清霜は特別な存在である事に変わりなかった

アホな子供の清霜に、強く…!強く生きてください!と伝え、清霜が持っていた光る球をコッソリ別のよく似た球にすり替えてきたが…

 

「えいなす、おなかすいた」

 

「はいはい、じゃ、帰ろーか」

 

「おー」

 

「今日たしか母さんがカボチャ貰ってくるから楽しみにしてろよコノヤローとか言ってたし」

 

「おー!」

 

エイナスは立ち止まり、もう一度、戦士の墓に頭を下げてから歩き出した…

 

絶望の未来はもうない、この先、どんな事があろうとも未来は自分が守る!そう心に決めて…




次回こそ秋刀魚っぽい話かもっぽい…

夜は秋刀魚行ってきます

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