援軍が来るまで待てない我慢弱いセンチメンタルな男だよ
【登場人物】
戦艦仏棲姫&港湾夏姫
集積&船渠とは比べ物にならない厄介さを誇る凶悪タッグ
圧倒的なタフネスと地味に高火力を誇り、小鬼や砲台も連れてバランスもいい
Richelieu
遂に覚醒めた自称最強戦艦、かませ犬?ふ・ざ・け・な・い・で
今作戦最終海域、安心のトリプルゲージで待ち受けるこの海域攻略の緒戦、前海域にも現れていた深海ナンバー1ディフェンダーの異名を持つ戦艦棲姫…ではなく戦艦夏姫が再び登板…
「オラァ!!なんだそのケツは!誘ってんのかオラァ!四つん這いになってケツこっちに向けろよコラァ!」
「それじゃ見えねーだろーが!もっとみんなによく見えるようにするんだよ!」
緒戦を何事もなかったように制し、続く第2ゲージの殲滅へと乗り出した攻略部隊…
しかし…ッ!!
第2ゲージを守護する北太平洋深海艦隊ブレスト軍港部隊は我々の予想を遥かに超えるフォーメーションで待ち受けており、攻略部隊は苦戦を………強いられていた!!
ーーー
「水上と陸上と小鬼が交ざるとここまで厄介とは…」
「しかも道中の潜水艦を無視できない感じがまたイヤらしいですね」
「フーッ〜………オイ、灰皿は?」
「知りませんよ、外じゃないですか?」
どこやったかな、灰皿は……まぁいいや、とりあえず俺は窓を開けてタバコの灰を外に落とし、缶コーヒーを飲み干して灰皿代わりに使うコトにした
「さて、どうしたものか…」
「まぁ、攻略部隊の人にガンバって頂く他はないかと?」
「五月雨よ、俺の好きな言葉を教えてやろう…“頑張る”と“努力する”だ」
「はぁ?私はまたてっきり“息をするのもメンドクセー”かと思ってました」
この青髪ロング子、なんてコト言うのかね…
◆◆◆
堅牢なディフェンスを発揮する北太平洋深海艦隊ブレスト軍港部隊!その、北太平洋深海艦隊ブレスト軍港部隊を率いるのは帰ってきた大いなる仏!戦艦仏棲姫、そして、先の海域でボコられてここまで逃げ込んできた港湾夏姫のダブルエースに加え、瞳孔が開いたチャーミングな瞳とコワレチャウが口癖の飛行場、さらには小鬼や砲台まで含めた鉄壁のフォーメーション!
このフォーメーションを打ち破るにはどうすればいいか…?
攻略チームメンバー達が考えに考えぬいた結論はシンプルな答えだった…
「まっすぐ行ってブッ飛ばす!」
「右ストレートでブッ飛ばす!」
『マジカコイツラ…!?』
『ウッソダロ…?ナニモ考エテナイチャウカコイツラ!?』
旗艦ビスマルク率いるチームの弾きだした答えはこうだ、相手のディフェンスはたしかに堅い、そして厚い、もう一歩、あと一発の力が足りないのならば、足りない分は“勇気“で補う!!
「フッ、戦艦リシュリューよ!どきなさい!」
『オゴォ!!』
リシュリューのマグナムパンチが戦艦仏棲姫のお腹に突き刺さり、仏棲姫はビチャビチャと光る吐瀉物をブチ撒けながら海上を転げ回った…
『コ…コイツ!』
『バカナ!デ、データニナイゾ!コイツハタシカ“かませ犬のりしゅりゅー”ノハズ…』
豪奢なキンパツをぶわぁっと流し、かませ犬のリシュリューとディスられていたハズのリシュリューはここには居ない、そう、リシュリューは生まれ変わったのだ…
あれは、そう…出撃する前日、執務室に呼び出された日の事…
『ア、回想スル気ダヨコイツ!』
『誰カ止メロヨ!』
…出撃前日
「ダブルニークラッシャーッ!!」
「ギャーッ!!!」
出撃メンバーに選ばれた私はamiralから執務室に呼び出され、意気揚々と執務室を訪ねると、amiralはよく来たな…と言って私をまるでオヒメサマ・ダッ・コーのように抱き上げたと思ったら、勢い良く落下させて両膝を破壊された…
「な、な…ナニするのよ!!」
「俺のダブルニークラッシャーを受けてまだ立てるか、なるほど、さすがは自称最強の戦艦なだけはある」
「じ…ジショー?」
そしてamiralは今の私に足りないモノをアツく指導してくれた、たしかにこのRichelieuは自由・平等・博愛を兼ね備えた戦艦かもしれないが、この国の戦艦を見ろ!無秩序・無軌道・無慈悲の権化であり、鍛え方が違う!精根が違う!理想が違う!決意が違う!と…
必要なモノは自由でも平等でも博愛でもない!残忍・残虐・残酷の心こそ、このRichelieuを強くするのだと!
そして、amiralは執務室置いてあった木人を持ち上げ、私に向けてブン投げてきた!
「悔しかったら…その技一つでコイツを倒せるくらいまで、徹底的に磨きあげてみろーっ!」
「!?」
「オマエの名前はなんだーっ!」
「私は……私は、私の名前は!戦艦Richelieuよーっ!!」
グワァキィィィィ!!!
…回想終わり
「強靭ッ!無敵ッ!そして最強!!このRichelieuが新たな力でアナタ達を粉・砕してやるわ!」
新たな力を得た?リシュリューはとりあえず手近にいた飛行場の身体を掴み上げ、amiral直伝のダブルニークラッシャーで両膝を破壊し、ついでにストマックもクラッシュしてやると飛行場は痙攣した後に動かなくなった…
『グヘァ!!』死ーン
『コ…コノ!コイツ!フザケンナテメェーッ!!』
大事なダチである飛行場を失い、港湾夏姫はとりあえず手近にあったバールのような鈍器でリシュリューの頭を強打すると、リシュリューは前のめりで海面に倒れたもののユラっとユラめきつつ立ち上がり、額から流れ出る血をペロリと舐めた
「………イタイわ」ニマァ…
『ヒッ…ヒイイィィ…』ガタガタ
◆◆◆
「意外とやるな、アイツ」
「リシュリューさん椅子に座らせて洗脳かナニか何かしたんですか?」
執務室のテレビで現場の様子を見ていた俺は、五月雨の淹れたアツい茶にアツゥイ!と言いつつ飲み、執務机に置いた
「失礼なコト言うんじゃないよこの子は」
「もうリシュリューさん、完全に殺戮の為のマシーンみたいな目ぇしてるじゃないですか、シュークリーム持って来てツンデレ発言吐いてたリシュリューさんの面影ゼロじゃないですか」
「バカ言うんじゃないよこの子は」
そうか、リシュリューは力を求めていたのか、そして…私はそれを煩わしいと感じ、マシーンとして扱ったのだ…
「あ、今いいの刺さりましたよ、仏姫のパンチ、今かなりイイ感じでリシュリューさんのボディ貫きましたよ」
「あぁ、ありゃ立てんな」
中継映像の中で、怒り狂った戦艦仏棲姫のカエル跳びアッパーがイイ感じでリシュリューのボディを貫き、リシュリューはきりもみ状に回転しつつブッ飛ばされた後にゴシャアッ!!と海面に叩きつけられ、動かなくなった…
まぁ、リシュリューとしては良くやったと俺は評価する
◆◆◆
昼戦の死闘を制し、決着の夜戦!!
まずはドイツJr.が誇る天才ッッッ!!プリンツ・オイゲンのマグナムが火を吹いた!
「唸れ!この、プリンツ・オイゲンのスパーブロー!!」
BAKOOOOOOOOOOOOOON!!
『オゴォ!!』ビチャビチャ…
「な、ナニィィ!!野郎、あのパンチを受けてなお倒れてないと言うのかーッ!」
「な……なんてタフなヤツ!何が一体ヤツを支えているのと言うのだ!」
プリンツ・オイゲンのスパーブローにも耐えぬき、なお沈まぬ不沈艦!!仮に、ヤツを沈められる可能性があるとするならば、無敵の北上か、最強の雪風、もしくは帝王・時雨、または初霜ぐらいしか可能性がないのでは…?と皆が戦慄しかけたその時、一人の駆逐艦が…
ザッ…
「…フッ、Jervis, enemy is in sight!」
オシャレな帽子の位置を直し、カメラの位置を気にするように前に出たLucky Jervisことロイヤル駆逐艦、ジャーヴィスは既に気力だけで立っているであろう戦艦仏棲姫にツアーッ!と言って蹴り上げ、空中でパワーボムの態勢から相手と背中合わせとなり、後ろ手に相手をホールドした状態で勢い良く落下した!
「喰らえ!ワタシとDarlingのBurning Love!!」
『ウゴ、ウゴゴゴゴ…!?動ケナ…!ウッギャアアアアアア!!』
勢い良く頭から海面に叩きつけられ、堅牢なディフェンスとタフな体力を誇った不沈艦、戦艦仏棲姫はジャーヴィスのバトルシップ・シ●クにより、遂に撃沈され、ブクブクと気泡を残し沈んでいった…
「Battle honor?Lucky! I'm glad I have been able to help! Darling!」ビシッ!
戦艦仏棲姫 42分42秒 撃沈KO(バトルシップ・シ●ク)
「あ…あの野郎、ヤリやがった……ナニ言ってるかワカんねーけど
「フッ、まさかあのチビがな…ナニ言ってるかワカんねーケドー」
「どうやら認めるしかないらしいな、ヤツの…“幸運”ってヤツをよぉ、ナニ言ってるかワカんねーけどよぉ」
……こうして、今作戦海域で最もタフ&ハードな死闘を繰り広げた戦いを制し、チームは遂に作戦海域の最奥部への挑戦権を手に入れたのだった…
次回は海域攻略最終回、後半戦
激突!謎のマスクマン!